教育年報1958年(S33)-066/83page
§ 7 福島県教育調査研究所
教育調査研究所の目的とするところは,本県教育
の進歩改善に必要な諸問題を調査研究し,本県教育
の振興に寄与するところにあるが,教育の各領域に
わたる調査と研究の結果は,広く県下に報告書その
他の刊行物として一般の利用に供してきた。
また付属施設として教育図書館をもち,教育に関
係ある図書,各府県における研究紀要等数多くの資
料を教育関係者および大学学生を対象として貸出し
ている。
このほか,県教育委員会の機関誌としての「月報」
の編集刊行,県教育委員会の年次報告としての「年
報」の発行配布にも当ってきた。
1.調査統計
昭和33年度の事業概要は,国で行う統計法にもと
づく教育関係諸調査をはじめ,文部省が毎年行う定
期的調査があり,その一部については県統計課と協
力して調査を実施した。その結果は別項のとおり報
告書および資料として刊行し教育施策の基礎資料と
して利用に供してきた。
A 学校基本調査
県統計課に協力し文部省との協議打合せと県内説
明会に出席した。その調査結果は「学校統計要覧」
の編集資料とした。
B 学校現況調査
学校基本調査と同一期日をもって,公立学校教員
構成,小・中学校児童の転出入(県内外)状況を調
査した。
教員構成については高等学校を除き学級規模区分,
出張所別などに編成し,その結果を資料第23号で公
表した。
C 地方教育費の調査(教育行政財政調査)
文部省と県教委が毎年実施している共同調査であ
り本県でも全公立学校と地教委を対象として実施し
た。この調査結果は地方教育費の財源と使途とに若
干の分析と年次推移を添えて解説し,書名「教育費
の実態」で報告書を刊行した。
D 高等学校教育課程調査
文部省からの依頼により本県でも公私立高等学校
全部につい調査を実施した。この調査は教育課程の
実態を教科,科目の編成状況,生徒の単位履修状況
などから把握して今後の教育課程改善のための参考
資料とするものである。
E 育英事業調査
文部省からの依頼により実施したもので育英奨学
制度改善の参考資料とする目的をもって公・私立高
等学校および盲ろう学校について調査した。
F 長期欠席児童生徒調査
文部省が公立小・中児童生徒の就学奨励,不良化
防止などの資料とする目的をもって,年度間50日以
上欠席した者について,1.欠席の理由,2.欠席
中の状態,3.児童生徒の環境などを調査した。調
査結果は追って公表の見込である。
2.教育研究
福島県教育調査研究所における研究担当者は
(1)発足の昭和27年から28年の2カ年は8名
(2)昭和29年から31年までの3カ年は2名
(3)昭和32年度は一躍倍加して4名
(4)昭和33年度は更に1名が加えられて5名
という変遷を辿って,昭和29年以来の実に恵まれた
年を迎えたのであったが,8月には統計処理を担当
した西田所員を送りそのまま空席,更にまた1月か
らは診断的性格を帯びた福島県で,標準化した学力
検査問題の算数,数学の作成を担当した河野所員の
病気による欠席となって,事業遂行の上に大きな打
撃をこうむった。
こうした悪条件の中にあって一応次のような結果
を納めることができた。
A 診断的性格を帯びた福島県で標準化した学力検査
問題
a 学力検査問題の作成・標準化
3ヵ年計画の第2年にあたる本年は
(1)小学校の第3・4学年
(2)一中学校の第2学年
の国語,算数,数学の問題作成にあたっては,昨年
と同じ考え方,作成の過程を踏むことにしたが,た
だ学力検査問題作成委員会のもち方については,昨
年の反省にもとづき,領域の決定・領域内に含まれ
る各教材の理解事項の分析のできあがったところで
第1回の委員会を開き,委員各位の意見をこの段階
において十分に取り入れることにした。
標準化のための学力検査の標本決定にあたっては,
各学年とも標本校42,標本児童・生徒1,500名を目
標として,小・中学校とも学校規模による層別を行