教育年報1959年(S34)-002/121page

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的に高まっていくよう,その活動内容を実際的に価値あ

らしめるよう,充実したものにすることが肝要であると

考えたものである。

f スポーツの振興をはかる。

 学校体育及び社会体育をとおしてスポーツの振興をは

かる。

B 本年度教育行政の概要

a 教育課程研究協議会と斗争の概要

 昭和33年度の教育行政の焦点は勤務評定の実施及びそ

れに対する県教組の反対斗争であったとすれば,昭和34

年度は,教育課程研究協議会の実施とそれに対する県教

組の反対斗争の年であった。

 すでに小・中学校の学習指導要領が改訂され,小学校

にあっては昭和36年度より,中学校にあっては昭和37年

度より改訂教育課程による実施となり,昭和34年度にお

いては,小学校においては移行期の,中学校においては

指導内容の研究が焦眉の急となってきた。

 県教組においては,4月からあらゆる場合に教育課程

改訂及び教育課程研究協議会の反対を唱えてきた.しか

も,その理由は具体性と客観性とをもたず,その論理は

飛躍的であって妥当性に欠け,一般大衆の納得を得るに

は程遠いものがあった。

 かくて7月29日においては会津工業高校における中学

校教育課程(技術・家庭)研究協議会.10月6・7・8

日の3日間においては,北海道,東北地区中学校教育課

程研究協議会の妨害の挙に出たが,関係者の努力により

実害を最少限度に食いとめることができた。

 このことに関連して,12月28日には懲戒処分50数名,

訓告約500名を出すにいたったことはまことに遺憾なこ

とであった。

 もともと教育課程の改訂は,学力・道義心の低下と

か,世界各国の科学や産業の進展に伴って,教育内容を

改善し,世界各国の戦後の驚異な進歩に対処して,世界

各国の国民におとらない日本人の養成のために必要とさ

れてきたものであるから,その内容について,単に反対

のための反対に終始したり,無関心であったりする態度

はまことに遺憾なことであって,むしろ,積極的,建設

的に研究を進めて改善に努力しなければ,敗戦直後の状

態から一歩も前進できないものであることを銘記すべき

ものとさえ思うのである。

 さいわい,若干の妨害はあったとはいうものの,改訂

教育課程の方針,内容は大部分の関係者において理解さ

れ,改善点,問題点の糾明,移行措置への実践,その他

の大きな努力のもとに地味に研究されている状態である

ことをよろこぶものである。

b 社会教育の進展

 学校教育にくらべて,社会教育は,対象が義務的なも

のではなく,任意的な団体であるものが多いため,その

正常な育成のためには,なみなみならぬ努力が払われ,

苦労が積み重ねられるものである。

 ところが,6月の母親会議,8月の五色の集いにおい

て,政治的な活動に傾いたとして6月及び9月の県議会

において取り上げられた。このことから社会教育関係団

体のあり方が一般に論議されるようになり,そうしたあ

り方について関心が払われ,研究が深められていく傾向

になってきたことは,社会教育進展のためからもまこと

によろこばしいことであった。

 また本年度から青年国内研修旅行が実施され,他地域

を身をもって視察し,あるいはその生活,生産活動,文

化活動等を体験し,その成果を郷土建設運動に及ぼそう

としたことは,まことに意義深いものがあった。

c 保健体育の推進

 学校,一般社会の保健体育の振興は近時,めざましい

ものがある.

 特に,学校給食については,県下各所において普及講

習会が行われ,その侵透を図ってきた。また,健康優良

児の表彰,よい歯のコンクール等も行なわれ,児童・生

徒の保健について一層の関心が払われるようになった。

 一方,国民体育大会参加及びそれに伴って県民大会も

夏季,冬季とも行なわれ,相当の成果をあげるにいたった。

 また,社会体育においても体操祭への参加,ユース.

ホステル運動,青少年野外活動も漸次活発に行なわれる

ようになってきた。

d 教育行政秩序の確立

 勤務評定は県教組の反対行動はあったとはいえ,本年

度も混乱することなく実施され,9月中に大部分の提出

を見て,人事管理上,有効な資料が得られることになっ

た。勤務評定については,各方面の意見を参考とし,若

千の改善を加え,完成なものに更に一歩近づくことがで

きた。

 また,教育課程研究協議会についても若干の妨害はあ

ったとはいえ,県教委,市町村教委とも,相互に連絡提

携し,よくその行政秩序の維持に努力し,大きな波乱も

なく終ることができた。

 学校教育においても,社会教育においても,政争の具

に供されようとする危険はまだまだ払拭されてはいない

が,目下の体制においては充分乗り切ることができる自

信を持つことができたことは,さいわいなことである。

 一方,市町村教委教育長の給与の3分の1が本年度か

ら実施され,県下において,平均約4,000円の引上げと

なった。しかし,中には引上げにいたらなかった町村,

もしくは引上げられても依然として低額である町村や,

期末,勤勉手当,等の支給されていない市町村など,問

題はまだまだ残されている現状である。

 市町村教育長給与費の引上げは,その職責に対して行

なわれるものであり,その重大な職責を果し得る人を得

ることが重要なことである。このことは市町村教育行政

の確立を図る上に大きな意義をもつものであることを思

うのである。

 なお県教委においては本年度10月から福島県教育委員


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