教育年報1959年(S34)-051/121page

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§ 5 社会教育

   1概説

  昭和34年度における社会教育の努力目標は

次のようなものである。

  昭和34年度社会教育課努力事項

  1,社会教育指導者の拡充強化

   1,公民館職員等の現職教育の実践

   2,婦人指導員の設置

   3,社会教育主事の養成と設置促進

   4,視聴覚教育指導者の養成

   5,社会教育関係団体指導者の資質の向上

  2,社会教育団体への協力

   1,集団活動による社会道徳の振興

   2,生活に即した学習活動の促進

   3,PTAにおける成人教育活動の徹底

   4,少年団体の育成強化

  3,青年学級および各種学級の充実振興

   1,職業教育科学教育の充実

   2,国際理解のための教育の重視

   3,学習課程の研究と指導法の改善

   4,学習環境の整備と運営の改善

   5,講師組織の確立

  4,社会教育施設の整備と運営の改善

   1,公民館主事の設置促進と資料その他設備の充実

   2,公民館の適正な管理と事業内容の刷新

   3,地域社会教育計画樹立のための調査活動の推進

   4,地域視聴覚ライブラリーの充実強化

   5,機動力をもつ「みどり号」の合理的運営

 5,芸術文化の振興

   1,芸術鑑賞の機会の提供

   2,青少年の芸術活動の促進

   3,芸術文化団体活動の助長

6,文化財の積極的保護と教育的活用

   1,完全な保存のための施策の強化

   2,無形文化財遺跡等の調査促進

   3,福島県文化助資料の発行

  これらの平列的な目標に力点を与えるものは34年4月

30日付で一部改正された社会教育法であり,更には県内

の社会教育の対象の実態である。

 努力目標に掲げた,「社会教育指導者の拡充強化」を

裏づけるものとしては法「第9条の2」における社会教

育主事及ぴ社会教育主事補の設置がある。

 元来,社会教育主事及び主事補は社会教育に関する専

門職員であるから,これらの設置は社会教育の実態のあ

るところに必置されるべきである筈なのに,財政上の理

由から在来は都道府県のみに必置され,市町村は任意設

置となっていた。しかし,今年の改正により,市町村も

原則として必置制となった。すなわち社会教育主事は

市町村にも必置され,村、会教育主事補は市においては必

置,町村にあっては財政事情等を勘案して置かないこと

ができることになった。

 そしてこれら必置される社会教育主事の資格について

も法第9条4において強化され,大学に2年以上在学の

基礎資格と,3年以上の経験年数と,社会教育主事講習

を修了することという。3条件が要請されるようになった。

 県においては法の趣旨に即して急速な社会教育主事資

格所有者の養成を計画し,昨年より2ケ年計画で組まれ

ていた主事講習を新法の内容に切りかえ77名の有資格者

の養成を行った。別に東北大における受講者11名を加え

て市町村の必置に対する需要に備えることができたので

ある。

 本年度までに社会教育主事を設置した市町村は福島,

郡山,須賀川,平,磐城,原町,相馬の7市である。こ

れらの市以外においては今後急速なる設置を期待しなけ

ればならない。

 指導者の強化の第二の施策においては婦人教育指導員

の設置を挙げることができる。これは出張所管内におけ

る指導担当者の手不足を補い,管内婦人教育の助言指導

者として委嘱した16名の婦人有識の者である。しかし,

実際の活動は発令が7月22日に遅れた点などもあって必

ずしも充分とは云い難いが,そのタレントの優秀性は将

来大いに期待できるものがある。

 指導者の強化において第三に注目せねばならぬ点は社

会教育委員の役割である。今次の改正によって(第17条

第3項)「市町村の村会教育委員は,当該市町村の教育

委員から委嘱を受けた青少年に関する特定の事項につい

て,社会教育関係団体,社会教育指導者その他関係者に

対し,助言と指導を与えることができる。という項目が

追加され,社会教育委員の構成員である学校長とか社会

教育関係団体の代表者とか学識経験者といった地方にお

ける指導適任者が,助言指導に当り得る道がひらけたわ

けである。こうした役割を果し得るために社会教育委員

の実質的研修が要望されて来ている。

 努力事項の「社会教育団体への協力」の裏付として,

在来まで禁止されていた社会教育団体に対する補助金が

交付できるようになった。 (旧第13条の削除と新第13条

の設定)補助金は地方にあっては「社会教育委員の会議

の意見を聞いて行うことになっているのであるが,この適正

な運用は今後の課題である。


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