教育年報1959年(S34)-111/121page

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    解  説

A,入館者にアンケートを求めるための日割(金曜日と

  土曜日と日曜日)について

(1)金曜日に入館する者の意見,土曜日に入館する者の

意見,および日曜日に入館する者の意見は,当然ちがっ

てくるだろうと考えた。

 金曜日は火曜日から金曜日にいたる,ウィークデイに

おける開館日を代表する一日としてとらえ,土曜日と日

曜日は一般社会における半ドン及び全休の日に開館して

いる特殊事情を考えての上である。

(2)そこで次におこる問題は,連続した金,土,日曜日

をえらぶか,それとも連続しない金,土,日曜日をえら

ぶか, ということであったが, だいたいにおいて今ま

で,土曜日の入館者はかなり多数日曜日にも入館すると

いう傾向があるので,このいわゆる常連ともいうべき利

用者を除外して集計すれば,連続した金,土,日曜日で

あってもその特長はつかめるだろうと考えた。

(3)実際に調査したのは,昭和34年もおし詰まった12月

25日(金),26日(土),27日(日)の三日間であった

が,調査し終って見て,やはり連続した金,土,日曜日

をえらんで何ら差支えなかったと思う。

 むしろ,どのくらいの利用者が,金,土,日曜日と連

続して入館してくるものか,だいたいのところであるが

副産物として知ることができた。

(4)高校生以上の入館利用者で,アンケートに答えてく

れた者,及びその回答から実際に集計できた数は,次の

とおりである。

    入館者 回答者 有効票
(金) 334人 283人 280票
(土) 357人 271人 264票
(日) 400人 148人 147票


(5)日曜日において特に回答者が少いというのは,前々

日(金曜日)または前日(土曜日)においてすでにアン

ケートに答えているからである。

 しかし回答者の全員が当日(日曜日)だけの入館者と

もいえないし,回答しない者の中にも当日(日曜日)だ

けの入館者も若干はおるわけである。いずれにしても楽

な気持で回答してもらったのであるから,回答者の自由

意志が充分に表現されていると見ていい。

(6)さて,金曜日と十曜日と日曜日のそれぞれの異った

意見であるが,残念なことには,予想したようには金曜

日と土曜日の著しい相違点は発見できず,むしろ金曜日

と土曜日は程度の差だけであって,わずかに日曜日だけ

が前二者に比べて少しちがっているといえる。

(7)その第一点は, 「日曜日を休館されては困る」と答

えているのが,日曜日は71%であるのに対して,金曜日

と土曜日は60%及び62%であって,困る度合が非常に低い。

(8)第二点は,上記の第一点を裏づけるものとして更に

重大である。

 「ウィークデイにおける開館時間を延長したら差支え

ありませんか」という問に対して,日曜日休館は「それ

でも困る」が日曜日の回答が全体の47%であって,金曜

日と土曜日の39%及び43%を遙かに越えている。いやそ

ればかりでなく,「それならよい」及び「それならます

ますよい」の合計(44%)を越えている。

 ところが,金曜日と土曜日は 「それならよい」及び

「それならますますよい」の合計が47%及び44%であっ

て,いずれも「それでも困る」のほうが低くなっている

のである。

(9)そこで,三日間を通しての意見はどうか,というこ

とを更に総計票の上で見ると 「それでも困る」 は43%

であって,「それならよい」及び「それならますますよ

い」の合計46%より低いことがわかる。

(10)もう一つ,ここで注意を喚起しておきたいことがあ

る。それは第二問に対する第四の回答であるが,「開館

時間を延長してもしなくても,そんなことはどうでもよ

い」という答えの性格である。

 第一問に対する第四の回答「日曜日を休館してもしな

くとも,そんなことはどうでもよい」 という答えより

も,金,土,日曜日を通して増加しているのを見ると,

やはり何かある意味をもっているように思う。つまり消

極的ながら日曜日を休館にすることに対して支持を与え

ている,と見てよい。

 「それならよい」,「それならますますよい」は,と

もに積極的な日曜日休館を支持する者と見,「どうでも

よい」は消極的支持者と見ていいように思う。

(11)以上のように見ていいとなると,日曜日休館支持者

は,予想に反して過半数を占めることになる。

 つまり積極的支持者46%,消極的支持者11%,その合

計57%となって,調査前に予想された「絶対反対が過半

数を占める」 という意見は,はっきりと覆ってしまっ

た。しかし,これは,改めていうまでもなく,条件づき

なのである。

 ウィークディの開館時間も延長しないで,日曜日を休

館にすることは63%が反対しているのである。

(12)調査者に対して回答者がわざわざ口頭及び文書をも

って申入れをなした要点は,いずれも 「ウィークディ

の開館時間を8時から9時くらいまで是非延長してほし

い」という願いである。とてもそこまでは不可能にして

も 「6時までの延長では僅かに30分の延長であって,

それでは公共図書館の使命を自ら放棄するものではない

か」と強く反対する人もあった。

(13) だが,大勢としては,日曜日休館を案外スムースに

受入れる傾向が感知されるが,それだけに図書館入とし

ては,例えば,福島市以外に在住する勤労者各位にみら

れるように,「日曜日しか利用できぬ人々に対しては新

しい工夫を生み出さなければなるまい」と強く反省させ

られた。


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