教育年報1959年(S34)-112/121page

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B,回答者の地域別,職業別,年令別,および性別につ

  いて

(1)地域別にみると,旧市内が全体の59%,新市内が19

%であって,その合計は78%となり,入館利用者の大部

分が福島市民である。

 なお,県南から1名,県外から1名の利用者があった

が,これは集計の都合上安達郡に入れた。

(2)職業別に見ると,高校生が56%,受験準備中が13

%,大学生が18%であって,その合計は87%となり,入

館利用者の大部分は学生生徒である。

 公共図書館が一般社会人を主なる対象としていなが

ら,事実はかくのごとくである。

(3)年令別に見ると,したがって10代が69%,20代が25

%であり,その合計が94%となって,入館利用者の大部

分は10代及び20代の若人によって占められている。

 前述した金曜日,土曜日,日曜日の三日間の意見も,

これらの若い世代の人々の意見だということを確認して

おく必要がある。ついでに成人たちの意見をきくため

に,館員が手わけをして,館外に出ていって調査を開始

した。 (その結果については,館内利用者の意見と対比

して考察して見たい。)

(4)男女別に見ると,男が70%弱で,やはり女よりは遥

かに多い。

(5)以上のことから,福島市に住む若い男の学生が入館

して勉強している。ということが確認されるわけである

が,これだけでいつまでも自己満足してはならないもの

であろう。県立の公共図書館は,県内全般にわたる一般

社会人に重点を置いて,図書館奉仕を行うとすれば,何

といっても 「館外利用者の拡大」という方向をとり,

「館内で読む」よりは「借りていって館外で読む」とい

う仕組を強化していくことが大切である。

(6)過去の図書館は,「くもが,くもの巣を張って,そ

の巣にエサが飛び込んでくるのを待っている」ようなそ

ういう姿勢だけで図書館奉仕を実施して来たところが多

かった。今日の図書館はそれだけではとても足るまい。

少なくとも本館及び分館からいつでも,一般社会人が・

個人としても,読書グループとしても,本を借りられる

し,またその外の図書館資料についても相談に応じても

らえるようにしていくとすれば,館員が日曜日まで館内

にとぢこもっているような奉仕は時代錯誤である。むし

ろ,館外に出ていってお手伝いする体制をととのえるこ

とであろう。

必ずしも図書館に来るとは限らない利用者(社会人)を

対象として調査した結果についての解説

A,調査対象と担当分野及びその経過

(1)銀行,会社は,東邦と中合 担当者は藤田

  公務員は,県庁,測候所,税務署 〃  海野

  教員は,2小,附中,及び福高,福女 〃  半沢

  運輸,通信は,国鉄,電鉄及び電々公社 〃  藤田

  商業は,山田,西沢,草野,及び小浜印刷所

              〃  古川及び斎藤(善)

  農業は,農村地帯の読書会とし 〃 斎藤(光)

  工業及び技術者は,東北自動車及び蚕糸工場

                  〃  藤田

  自由業は,医師,弁護士,僧侶,牧師及び著述業

                  〃  海野

  主婦は,特に婦人学級生 〃  海野

  その他限定しない社会人は,市内の名流婦人及び

  図書館に関心をもつ男子 〃  海野

(2)以上の10分野のうち,福女が突然焼けたので,福女

からの意見はとらなかった。

 それから日産は郵送したというが,到着していないの

で集計には載っていない。その他はだいたい予定通り。

(3)以上のうち,前半は結局「月給取りの意見」という

風にまとめていい。商業といっても中小企業体の中の月

給取りである。

 後半は「必ずしも月給取りでない」人々の意見という

ことになる。月給取りは必ずしも日曜日に開館してもら

わなくとも,ウィ一クデイに時間を延長してもらえば,

何とかなるのである。

B,館内利用者の統計と比較して

(1)図表を見るとわかるように,第一の問に対して「よ

い及びかえってよい」の合計が,館内利用者とはちがっ

て,「こまる」よりも僅かではあるが,多い数字を示し

ている。

 つまり,「日曜日を休館してもよい」という意見が,

館内を現に利用している者よりは,たしかに強いわけで

ある。

(2)第二の問に対しては,だから「それならよい及びそ

れならますますよい」の和が,遥かに「それでもこま

る」よりは多いのは当然である。

 「開館時間を延長して日曜日は休館してもよいでしょ

う」という意見が,一般社会人の間でたいへん強いわけだ。

(3)年令の点から見ると,館内利用者では,10代,20代

の青少年が圧倒的に多かったので,だいたいにおいて館

内利用者の意見はこれら10代20代の青少年の意見と見て

よかったわけだが,今度は20代をトップにして30代40代

の男女が(全体の半数)発言をしているので,いわば青

年及び壮年の意見といって差支えない。

 だから,いいかえると,青壮年は青少年より,「開館

時間を延長すれば日曜日は休館もまたやむを得ない。

むしろそうしてよろしい」という支持を与えている。

(4)地域別や性別においては,特筆すべきものを発見し

ない。

C,特に有識者たちの意見について

(1)弁護士A

イ,夜の勉強する人の為に開館時間をのばすがよい。

ロ,専門書を備付けることを希望する。

  雑書は何の役にも立たない。

  立派な図書館も真に役立つ専門書がなければ無意味


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