教育年報1959年(S34)-117/121page
本年度の文部省から1の補助金は前年と同様70,000円であ
るがこれに県費780,000円を支出して3,387冊を購入し
た。
予 算
年度別 購入冊数及び金額 昭和34年度 3,387冊 内訳 国庫補助金分 県費分 288冊 3,099冊 850,000円 70,000円 780,000円
運営方法は従来どおり,県教育委員会を通じ県教育委
員会事務局出張所に連絡の上,巡回文庫を出張所に送付
し,出張所においては市町村教育委員会連絡協議会なら
びに公民館連絡協議会,郡市連合会,青年会と協議の上
管内利用者を決定し,地方教育委員会,公民館を通じて
青年団体,青年学級生等にこれが文庫の巡回貸出を行っ
た。
青少年巡回文庫配置状況 昭和34年度
県教育委員会
事務局出張所別配置文庫数 配置図書数 信夫 7 203 伊達 7 208 安達 7 217 安積 10 298 岩瀬 6 174 南会津 7 198 北会津 5 151 耶麻 6 169 両沼 10 296 西白河 8 241 東白川 5 136 石川 5 148 田村 9 271 石域 10 291 双葉 10 293 相馬 6 174 計 118 3,468
青少年巡回文庫読書傾向
分類別 比率 総記 0.79 哲学 3.61 歴史 6.89 社会科学 8.2 自然科学 2.12 工業 2.47 産業 7.20 芸術 2.49 語学 0.94 文学 65.29 計 100.00
この青少年巡回文庫については,昨年7月22日県教育
委員会事務局各出張所の社会教育主任との会合のとき次
のような点を指摘された。
a,利用率の高いところほど回収率が悪くなってくる。
亡失対策にばかりあせると逆効果。
b,もっと低俗な内容の本にしてみてはどうか。2/3
は読まれていない本。
c,各地区の巡回計画を県教委出張所と地方公民館連絡
協議会にまかせているのはよいとしても,その後の対策
にとぼしい。
(1)たとえば,巡回費用は地元負担だが,地域の広いと
ころではその費用と手間だけでもうごめんだという。
(2)教委出張所社教主任が巡回先の青年学級あるいは読
書会等での利用状況調査とか,読書相談などに出かけて
いきたくても第一に旅費が考えられていない。
以上のような点にかえりみて,図書選定には十分考慮
を払いまた旅費等の獲得についても努力した。
本県においては,昭和30年以来,終始一貫独立文庫と
して,貸出文庫用図書購入費の大半を投入して,全県下
のへき地を対象として実施してきた。 しかしこの文庫
も運営面で改めなければならない点があるように思われ
る。
そこで,本年度は従来の全県下を対象とした貸出方式
から地域を三方郡に縮小して重点的に実施するとともに
その利用状況及び効果等の調査も行いたい。
C 移動図書館
昭和29年から実施しているこの移動図書館
「あづま号」は県内を5コース(会津,県中,県南,浜通り,
県北)に分けて年2回の巡回をなしている。ただし
会津コースは都合により1固きり巡回しなかった。
この巡回では70カ所の各駐車場で1時間30分駐車し,
1時間はその地域の社会教育関係団体代表の方々に,読
書普及についての話合いを,30分は図書の貸出及び回収
事務にあたっている。
昭和34年度の利用状況をみると配本数6,396冊,利用
者数4,066人で,最も多く読まれたのは文学関係,つぎ
が産業,社会科学,歴史伝記,地誌紀行,修養,その他
の順になっている。
この移動図書館についての問題点としては次のような
ことが指摘できる。
a,それぞれの駐車場で1時間の懇談会の時間をとって
いるが出席率のよいところと極めて悪いところがあるこ
とだ。原因はいろいろ考えられるが,その一つに駐車場
の責任体制が十分でなかったということである。本年度
はこの点を反省して,全駐車場長および係員に対し委嘱
状を発し,責任体制を明確にした。
b,図書の絶対量が足らないことで新刊図書1駐車場平
均10冊くらいではいかんともしがたい。すでに読み古さ
れたものを持って歩いても魅力が感じられない。少くと
も1駐車場平均30冊程度の新刊書を持っていきたい。
c,巡回回数年2回では少い。本年度もふやすことがで
きなかったが,懇談会を止めて貸出時間だけにして日程
を短縮するなど,従来の巡回方式を再検討して巡回回数
をふやすことに努力したい。