教育年報1960年(S35)-003/135page
級を中心とする学級活動の拡大もあわせて相当な成果を
みることができた。
青年,婦人関係の各種研究協議会を県主催及び各種団
体との共催により県下各地に開催し,県内各地の実情を
交流し合って連鎖的拡大をはかった。
各市町村においては社会教育法の改正に伴って設置さ
れつつある社会教育主事を中心に,それぞれの地域の実
態に応じて青年,成・婦人の学習の場を拡充強化する態
勢をつくりつつある。
社会教育関係団体としての学習活動のあり方をめぐっ
て若干の問題のあった青年団体も漸次木来の姿にもどり
つつあり,36年度中には軌道にのるものと考えられる。
県の社会教育費は毎年増加しつつはあるが,公民館等
の社会教育施設の充実は県・市町村に課せられている大
きな課題であり,学習の場の整備充実こそ今後の青年,
婦人の学習活動を盛んにするためのポイントの一つであ
ると考えられる。
成人男子の学習活動の問題については残されている問
題の方がむしろ多いことを卒直に認め,その対策を講じ
なければならない。
f スポーツの振興と安全管理の徹底につとめる。
この目標を設定した理由は,スポーツ活動が青少年の
生活を明朗にし,健康の基盤を強固にすることにあり,
この青少年層を中核として,県民全体にスポーツへの関
心を高めると共に正しいスポーツの行い方を普及して行
くことにあった。
時あたかもオリンピック東京大会の開催が決定した年
であり,当然国をあげてスポーツ熱の高まった時だけに
各関係方面より積極的な協力を得て所期の事項をほぼ完
うし,予期以上の成果を得たといってよい。すなわち次
のことがその結果として見られる。
◎ 題16回国民体育大会水泳競技大会の受入態制を確立
し施設の充実を見た。
◎ 原町市を中心とし,相双地区における陸上競技場の
設置を決定し,十数年来の宿願であった県総合体育大
会を開催する条件が整った。
◎ スポーツ振興に対する推進委員会が結成され積極的
に,選手強化策の具体化を図った。
◎ 学校におけるプール,休育施設などの設置計画が非
常に多くなった。
◎ 体育指導委員の連絡会が結成され,一般体育の振興
を図った。
次に安全管理については,学校安全法の施行の年であ
り,日に日に増加する学童の事故を防止してゆくことが
目下の急務であるところがら,特に安全教育と安全管理
の徹底を重点的にねらった。
第10回全国学校保健大会を平市に開催し,この問題を
大きくとりあげたことは県内の保健問題を解決するのに
大きな手がかりとなり各地においても学校保健に対して
大いに関心を高めたことは目標を達成したものと言えよ
う。
特に学校安全会の発足以来,本県においては極めて順
調な運営を見ることができた。公立学校の加入は100%
を示した。私立学校においてやや低率であるが実情から
止むを得ないものがあるので今後この趣旨を十分に啓蒙
し継続する必要がある。
B 本年度教育行政の概要
a 教育行政の秩序の確立
本年は努力目標としての教育の正常化実現の第2年目
の年度であった。勤務評定実施に伴う県教組の反対斗争
もなく,正常に勤務評定が実施される等,教育行政の秩
序を確立し,県・市町村一体の教育行政が推進された。
なお教育の中立性を堅持し,新教育課程の実施と教育
内容の整備を図るとともに,管理体制を強化し,児童生
徒の学力向上をめざし,父母の信頼と期待にこたえるた
めの努力が続けられた。
b 学力向上と教育内容の整備
本年度行なわれた文部省全国学力調査の結果からみて
も,学力向上のあとがみうけられる。これは数年来努力
している学力向上が,しだいに実を結びつつあることの
あらわれであると考えられる。しかし全国的水準からみ
れば決して満足すべき状態ではなく今後特段の努力が必
要である。
なお新教育課程がじゅうぶんな成果をあげるためには
教職員の資質の向上,授業時数の確保,施設設備の充実
等は特に重要である。そこで,自主的研究団体の健全な
育成,行事調整による完全授業の実施,設備基準を資料
としての教育条件の整備が必要である。更に学力向上の
手引や教育課程編成上の留意事項,設備基準等の研究資
料の活用がのぞまれる。
c 社会教育の推進
昭和35年度は県・市町村一体となって自主的団体の育
成援助の強化に努力してきた。その結果,青年学級振興
対策協議会によって青年学級の運営の改善をはかり,青
年団国内研修旅行および婦人国内研修旅行等によって,
各地域の学習活動の中心となる指導者の養成に大きな成
果を収め得ることができた。
今後なお,青少年の健全な保護育成をはかるため,学
校教育と社会教育の緊みつな連けいによる,校外補導の
強化と家庭教育の振興,子ども会等の集団生活を通じて
の社会道徳の振興や,関係機関団体との連けいと協力に
よる社会環境の浄化等に努力しなければならない。
d 保健体育の推進
本年度は第10回全国学校保健大会が開催され,学校保
健に対する関心を高め,学校保健に対する設備も充実さ
れるにいたった。なお学校給食実施校の増加,健康優良
児の表彰,よい歯のコンクール等も実施され,児童生徒
の保健に対する一層の関心が深められた。さらに学校体
育の振興をはかるとともに,学校病であるむし歯,近視
等の防止に万全を期さなければならない。
e 教育行政事務の能率向上
(1)事務能率向上を図るために,文書の左横書きの実
施要領によって文書の左横書きを実施した。
(2)現行の条例,訓令,告示又は通達等で定められて
いた様式のうち縦書きのものを昭和36年4月1日より