教育年報1960年(S35)-002/135page

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 道徳の時間については,研究と実践が各学校,各地区

において進められてきている。各地区の道徳教育研究会

における研究発表や実践報告によっても,道徳の時間の

指導は,一応計画に従って実施されていることがわかる。

 なお,指導の方法・技術・資料等についての研究とく

ふうのつみ重ねが,いっそう具体的に推進されるよう研

究会・講習会の実施の充実を期していきたいと考える。

 特に,生活指導との関連についてはっきりおさえるこ

とが必要になってきておるので,計画の上にも,実施の

面においても,それがすっきりしたものになると同時に

補充,交流ということが密接に行なわれるようにしてい

かなければならない。

 教科外活動,特別教育活動については改善がなされて

きているが,道徳の時間との関連と調整について具体的

な研究とくふうが望まれてきている。特に年間を通じて

の指導時間を確保することについて,いっそうの配慮が

なされなければならない状況にある。

 学級会,ホームルーム,児童会,生徒会における児童

生徒の組織と運営についても,その自主的活動を活発に

する必要が認められると同時に,一部においては行きす

ぎと考えられる面もあるので,児童生徒の実態,実情に

応じ,教科外活動・特別教育活動の本来の目的から外れ

ないよう適切な指導をするようにしていきたいものであ

る。

 なお,中・高等学校において,施設・設備等の関係か

ら,クラブ活動が軽視されるむきが見られるが,その重

要性にかんがみ,そのじゅうぶんな実施をはかるよう配

慮し成果を期したい。

 生活指導については,児童生徒の実態や学校の実態,

地域の状況に応じて,改善が加えられてきていることは

よろこばしい。

 しかし,問題を率直に話し合い,全教師の協力によっ

て問題の解決をはかることについてはますます強化充実

を要する。

 各学校間の協力態勢,関係各機関団体との連絡提携に

ついては格段の推進がなされ,特に,保護委員会等の校

外生活指導組織が充実されて活発な活動が行なわれるよ

うになったことは,35年度における特筆すべきこととい

えよう。

 しかしながら,児童生徒の不良化や非行の問題が増加

の一途をたどり,年令が低下し深刻化してきていること

は周知のとおりであるので,今後各方面と力を合わせ道

徳教育,生活指導のいっそうの徹底強化をはかっていき

たいものである。

d 児童,生徒の学力向上につとめる。

 戦後,新教育の実施以来,早くも十数年を経過し,県

内各学校における教育の成果は,多とすべきものがあ

る。県教育委員会としては,数年来継続的に重点施策と

して学力向上の問題をとりあげ,教育の施策のすべてに

わたり,たとえば人事の刷新,施設設備の充実等も,帰

するところ学力の向上に結びつくように配慮してきた。

全国学力検査,高校入試その他の検査および調査の結果

からみると,例年,本県児童,生徒の学力については,

決して楽観の許されない状態にあった。しかし,本年度

行なわれた文部省全国学力検査(社会科・理科)の結果

からみると,前回(社会科・理科については昭和32年度)

にくらべ,小・中・高等学校とも,向上のあとが示され

ている。これは各学校の努力が,しだいにみのってきた

ものと思われ,喜ばしいことである。なお,資料をしさ

いにみると,素質的には相当に優れた児童・生徒が少な

くないことも認められるのであって,本県の児童・生徒

の学力の将来については,明かるい希望をもつことがで

きるわけである。

 思うに学力の問題は,児童・生徒自身はもちろん,家

庭,学校,地域社会,その他きわめて多岐にして複雑な

条件のからみあいによって規正されているものである。

学力を向上させるためには,これらの諸条件の一つ一つ

について的確な改善策を考えるとともに,総合的,関連

的な立場からの検討が必要であり,そこにこそ根本的な

改善策が見出されるものと思われる。

 われわれは,このような対策の実施を目標とすること

はいうまでもないが,なかでも直接指導にあたる教師の

研修により,指導技術の向上をはかり,毎日の授業その

ものを充実させることに,特に重点をおかなければなら

ない。その意味で,本年度は各種の研修行事の効率的な

開催や研修図書の刊行等にも力を尽くしてきたしだいで

ある。

 近年における文化や科学,産業などの急速な発展は,

まことにめざましいものがあり,学校教育もこれに即応

するため,小・中・高等学校の学習指導要領が改訂され

それぞれ昭和36年度,37年度,38年度から全面的に実施

されることになった。これに即応するため,本年度は教

育課程の移行措置について指導するとともに,趣旨徹底

の研究協議会を実施した。

 なお,新指導学習要領によれば,学力は,質的にも量

的にも,画期的な水準の向上が要請されてきている。こ

の点について県教育委員会は,各学校の教育課程の改訂

と,その実施に必要な設備の充実について指導し,また

工業関係高等学校の増設計画や,昭和38年度からの生徒

増に応ずる高等学校増設計画をすすめてきた。明昭和38

年度は,その実現について,いっそう努力したい念願で

ある。

e 青年・成人の研修の機会拡充につとめる。

 この努力目標を達成するために昭和35年度は県・市町

村一体となって講座,学級,研究会等を開いて機会の拡

充につとめるとともに,自主的団体の育成援助を強化す

ることに意を用いた。

 具体的には,青年学級の運営改善をはかり一部に不振

を叫ばれている学級を強化する目的をもって青年振興対

策協議会を設置し,各方面から現状を分析してこれが振

興策を講じているが,今後に残されている問題も多い。

 青年団国内研修旅行は第2年度目を迎え,昨年度の反

省をもとにして,本年度はじめての試みである婦人国内

研修旅行とともに,各地域の学習活動の中心となる指導

者の養成を目的として大きな成果を納めた。

 さらに実験青年学級,婦人学級,文部省委嘱の婦人学


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