教育年報1960年(S35)-026/135page
るため円滑な交流が行われるよう努力した次第である。
交流についてかえりみると,
(1)へき地と平地との交流は,全県的に歩調をそろえ計
画的に実施したため,へき地勤務者に明るい希望を与
えた。
(2)他管内との交流については,一対一の交流が解消さ
れつつあることは喜ばしいことである。
(3)教育効果第一主義の交流に主眼をおいて実施したが
まだまだ希望人事の傾向がのこされている。
(4)他県との交流は相当数の実現をみたことは,各県人
事関係者の協力によるものと考えられる。
B 県立学校
a,年度末人事異動の概要
県下全域にわたり教育の向上と刷新充実をはかるべく
教職員の適正配置に大きな努力が払われた。
しかしながら,勿来工業高校の新設をはじめとし,
福島工業高校,会津工業高校の電気科,電子科の新設,
福島工業高校,会津工業高校,小名浜水産高校の産業科の
新設等,工業関係諸学校への増員が行われたにも拘わら
ず,一方においては,中学校卒業者数の減少を考慮して
の募集停止や定時制の廃止等にともなう減員の措置を要
する面も生じ,この両面の調整に種々なる配慮が行われ
た。さらに,また退職者の後任補充及びこれにつながる
異動を中心としたいわゆる欠員補充の異動が主となり,
その他の交流について考慮を払う余裕がなかったため今
回の異動の初期の目的をじゅうぶんには達成できなかっ
たことは遺憾であるが,各学校長各位のご協力によって
過員を最小限に止め得た点は幸であった。
b,内容の主なもの
1,異動件数は事務職員雇傭人の異動を除いて約300件
にのぼったが,工業関係学校への増員と退職者の後任
補充のためのものが大部分で,その他の異動について
は必要最小限度にとどめた次第である。
2,この異動件数のうち,全日制と定時制との交流及び
僻地から平地への転出が約40件含まれている。
3,療休者の復職が相当数あり,補充として採用してい
た教員は,いずれも優秀な教員であるので優先的に欠
員補充に採用し,全員教諭に任用することができた。
4,高等学校から小・中学校に転出した者の数は12名で
小・中学校から高校への採用は主として工業関係の教
員であるが,15名の多数にのぼっている。このうち高
校教員から中学校長への採用1名が含まれている。
5,新採用については,教員の定数増がなかったにもか
かわらず,自然退職,他県転出が意外に多かったので
中学校から15名の採用をしたほか,約40名の優秀な教
員を採用することができ,清新の気を注入し得たこと
は,よろこびにたえないところである。
6,校長の新採用については,社教課長の校長転出の外
部長,教頭から4名の校長新採用ができたことはよろ
こばしい次第である。
7,年度末ご勇退いただいた方々は校長を含めて26名で
あるが,これらの方々が多年にわたり本県教育界に貢
献されたご功績に対し深甚なる敬意と感謝を捧げる次
第である。
又,退職年令についても逐年その延長を見ていること
はよろこばしいことである。
2学力の向上
A 概 説
「児童生徒の学力の向上は,その学習指導にたずさわ
る小・中学校の教職員の資質の向上と指導法の改善が先
決されなければ達成は望めない。それゆえ,現職教育を
充実し,資質の向上をはかるとともに,指導組織を強化
して,効果的な助言を行ない,学習指導法の研究を推進
する必要がある。また教育研究団体による自主的研究を
盛んにし,あわせて教員一人一人の自己研修をも振興す
る等,あらゆる面から研修態勢の充実強化をはかったの
である。
教育課程の改訂は,小・中学校は移行期間から実施へ
と確実な歩みを続け,小学校は36年度から,中学校は37
年度から実施の段階にはいるので,教育課程研究協議会
も第2回目を開催,関係教員の3分の2以上の研修を終
了した。また高等学校の教育課程も,小・中学校に引き
続き改訂され,38年度から学年進行によって実施するこ
とになり,本年第1回の教育課程の研究協議会が開催さ
れた。
その他一般の研修としては,従来の中心の研修に転換
実施し,また新たに文部省と共催で小中学校長研修会を
実施した。各教科目の研修のためには,研究指定校の設
置のほか,教育研究団体の助成を強化し,研究活動の活
発化をはかった。学校長等の海外教育事情視察について
は,今年度は中学校長代表として福島第二中学校長西沢長吉氏
を派遣した。
B 指導組織の強化
本庁の指導係の組織は,10名の指導主事と3名の指導
委員により構成され,教科指導を中心とし,指導行政全
般に当っている。出張所32名の指導係は,小・中学校全
般の指導を担当し,管内学校の教職員に対する指導助言
を担当し,本庁との連絡により確実な効果を挙げている
これら出張所指導係は本年度から全員充て指導主事に任
命され,従来より安定した気分で存分に活動することが
できるようになった。
指導委員は80名は,前年度に引続き伴なう教科を中心
とし,指導係の相談役として,教科学習指導技術の向上
に協力し,多大の成果をおさめた。
昭和35年度指導委員
信夫 音楽 山田公子 大森中
〃 図工 吉田為明 福女高
〃 職業 渡辺好光 福工高
〃 家庭 堀川千枝 福農高