教育年報1960年(S35)-120/135page

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§8県立図書館

  1総説

 昭和35年度をかえりみると,5月の全国図書館大会を

ピークとして,それからずっと図書館奉仕の体制を,徐

々にではあるが,整えてきたといえる。

 昭和34年度の全国図書館大会は,新装成った

愛知県文化会館を中心としてまことに華やかに開催され,スケー

ルの大きい建物とともに,その多彩なプログラムゆえに

参加者の「どぎも」を抜いたようである。この名古屋大会

のあとを受けて,福島大会を開こうというのであるか

ら,決して容易なものではなかった。

 この全国大会が終ると,今度は,新しい図書館にふさ

わしい諸規則の制定という仕事が待っていた。6月20日

である。「福島県立図書館利用規則」,「福島県立図書館処務規程」,

「福島県立図書館に勤務する職員の勤務時間の特例に関する規程」,

それから昭和34年10月1日に出た「福島県立図書館組織規則」

の一部を改正するという,以上四つの規則類である。

 次いでブックモビールの巡回計画を中心にして,館外

奉仕の計画を全面的に改めた。つまり,今までは,分館

貸出文庫のあるところもないところも,また青少年巡回

文庫がうまく運営されているところも,そうでないとこ

ろも,殆ど無差別の状態でブックモビールを動かしてき

たのであるが,今度は,分館に重点をおくところ,青少

年巡回文庫に重点をおくところ,およびブックモビール

に重点をおくところ,といった具合に全県下を三つにわ

けて館外奉仕のための重点地域を設定した。

 最後に,目立ったことといえば,館内の整備をしたこ

とである。例年行われる10月の曝書期に,参考事務室を

独立させて,利用者のために積極的に相談に応じようと

したこと。一階の児童室を3分の2は必ずしも児童に限

らないことにしたこと。つまり,お母さんでも利用でき

るし,高校生でも,大学生でも,2階や3階だけで間に

合わないときは,この1階の3分の2のところを開放し

ようとしたこと。これはかなり大きな変化であったと思

われる。

 2月に入ってから,昭和36年度分として認められた設

備費―利用者の机と椅子―を,昭和35年度に繰りあげて

使用してよいとの許しを得たので,あふれ出る利用者の

ために,急ぎ机と椅子とを注文した。三学期は,受験期

であるため,連日超満員であって,開館前は長蛇の列を

なし,開館後は展示室に在って机と椅子の空くのを待つ

学生でいっぱいである。

 もう一つ,昭和35年度の特長は,昭和34年度の第4四

半期において実験的にこころみた「日曜日のA班及びB

班の交替制勤務」が固定化したことである。

 もう一度,昭和35年度の特長を反省してみると,(1)5

月の全国大会の開催,(2)6月の諸規則の制定,(3)7月以

後のブックモビールの運行,(4)10月の曝書期における二

つの部屋の模様がえ,(5)2月に入って財政当局の理解か

ら机と椅子とを約50人分増やすことができたことである

A 全国図書館福島大会

 正規の大会は,5月25日から27日までの三日間であっ

たが,大会開催の前日,即ち24日は,各部門別の総会が

開かれ,前々日の23日は各部門別の役員会が開かれ,け

っきょく合計5日間の大会の日数であった。

 だから,23日から各部門の役員会のための部屋とか,

各部門別の総会の部屋を世話しなければならなかったし

これらの会議に出席する人々の旅館をも世話したわけで

ある。

 この大会を世話して驚いたことは,第一には予想に反

して800名にも及ぶ参加者を得たこと。第二には世話す

る地元のわれわれが極端に疲れたこと。この二つであっ

た。そして第一の驚きの裏には,参加者は殆ど観光を目

的としているということが含まれ,第二の驚きの裏には

部門別部会の協議題から司会者にいたるまで,殆ど全部

地元が準備して,中心的な主催者の一人である「日本図書館協会」

ですら,「お客さん」に近い存在であった,ということが含まれている。

 そこで,福島大会のねらいをはっきりさせて,福島で

開催したことの利益を確実にしよう,と目論んだ。つま

り,福島大会の意味は,単に図書館関係者のみの自己陶

酔的会合とせず,図書館を利用する一般人の参加をも求

め,その人々に何らかの利益があることを念願した。3

日間の大会のうち,第1日はそういう日に当てようとし

て,長野県,高知県,千葉県等からの報告者をえらんだ

全体会議

 第1日 日時 5月25日 午後2時30分〜5時

    会場 公会堂1階大ホール

読書普及実践報告を中心として

 (1)私達の読書会

        会津若松市嫋竹読書会員 渡辺寿子

 (2)十万人の読書組織はどうしてできたか

        県立長野図書館長     叶沢清介

 (3)若い図書館人たちは何をしたか

    ―高知市民図書館の場合―

        高知市民図書館長     渡辺進

 (4) “お母さんの本棚”について

        市川市立図書館長     山岡寛章

 第2日は,午前が館種別部会,午後が問題別部会であ

った。



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