教育年報1961年(S36)-083/193page

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2 新採用教員に対する指導はどうか。

3 教職員研修のための旅費と経費はどうしてまかな

  われるか。

4 教職員の勤務に対する安定性はどうか。

第14 節環境緑化と

          学校植林

  1 環境緑化

 教育課程の改訂と学校の環境緑化は第二次世界大戦

の後に世界各国にあらわれた共通現象である。

 環境緑化は国土緑化推進委員会が文部,農林両省の

後援によって推進してきた事業であって,教育的にま

た,社会環境の整美に大きな意義をもっているもので

ある。

 県教委は昭和36年度努力事項として県下の各学校

にこの事業の推進をはかり,緑につつまれた落着いた

うるおいのある学校環境づくりに努力をした。

 全国学校環境緑化コンクールに入賞をした山田中学校

(勿来市)渋川小学校(安達郡)は学習や生活指導

の面にも,いままで発見されていない新しい教育的価

値と意義を見いだしている。衰微する炭鉱集落にある

山田中学が生徒たちによって学校で作られた花を自暴

自棄になっている父親の心をなぐさめ,家庭をやわら

げている。また,保原中学校(伊達郡)では学校庭園

づくりに協力した父兄たちが,この作業によって教育

と学校に親近感をもたせ生徒の学習や生活の導育に大

きな役割りを果している。

 このようにして終戦直後に見られた砂漠の中の学校

が環境の緑化によって落着きと,うるおいをとりもど

し教育の振興に大きな効果をあらわしていることは注

目すべきことである。県はこの事業をいっそう強力に

推進するために県立学校環境緑化実施要項をつくり実

施校を指定した。

 県立学校環境緑化要項と実施校

1 目  的

   教職員生徒による緑化運動によって学校環境を

  整備し,学習指導並びに情操教育の向上に資する

2 実施内容

 (1) 校地の緑化と整備

 (2) 緑化運動と関係教科並びに特別教育活動の連け

   い

 (3) 教材園,植物園等の設定

 (4) この運動を推進するための委問会または,クラ

   ブを組織して目的の達成にあたる。

3 研究期間

   昭和36年4月から1箇年間

4 経  費

 (1) 事業費の県予算は1校1万円程度とする。

 (2) 事業の目的達成については,学校の実情により

  創意くふうをし,地域の協力あるいは,緑の羽

  根運動の参加等により,協力をすることがのぞ

  ましい。

5 表  彰

  学校環境緑化コンクールをおこない優良学校に

  対しては県森林文化祭にて表彰を行なう。

6 実施校

福島高校 福島商業
福島盲ろう 郡山商業
船引高校 塙高校
喜多方高校 喜多方女子高校
坂下高校 若松女子高校
平盲ろう 小名浜水産
浪江高校 富岡高校
四倉高校 勿来工業
16校

  2 学校植林

 学校林の造成については明治から昭和の初めにかけ

て文部省通牒によって奨励されてきた。これは単に

愛林思想の涵養による森林資源の確保や,学校基本財産

の育成に資するという目的ばかりでなく,学校林造成

の過程において,教育的価値に見るべき点が多い。

 昭和36年度にみられた事例を次に紹介する。

 1) 小学校児童による植林作業は困難である。しか

し,川内村第1小学校においてみられたように母親と

子どもの共同作業によって,りっぱに植樹作業が行な

われた。これから伸びる苗木を植えてゆく作業の中に

わが子の成長を祈って五月の青空にゆうゆうとあげら

れている鯉幟の象徴にもまして,愛情をそそぎながら

母と子どもたちによって一本一本植えられている。

 植えられた苗木がやがて大地に根をおろして亭々と

伸びる大木を念ずる心が学校に学ぶわが子への母の祈

りに通ずるものである。こうした単調な奉仕作業の中

に学校長の指導によって学校林が大きな基本財産とな

り,また,学校と父母を結びつけるくさびともなって

いる。

 2)山に生きる相馬郡の山間地帯の飯館村の小宮小学校

では,幼いうちから郷土愛をかん養するために植

林作業をはじめている。創立90周年を記念して学校

林の設定を思いたった須賀川第1小学校は学校から

10粁ほど離れたところに1ヘクタルの学校林を設定したが,

植林作業にあたってのPTAの用意周到な配慮は称讃

に値いするものであった。植付け後3ヵ月ほどたって

からその情況視察に行ったが活着しなかったものは

3000本の杉苗のうち7本にすぎなかった。更に感銘を

深くしたことは子どもたちが植えた苗木のわきに生長

を祈ってたてた記名の標札が見られたり,兎に荒され

ないように苗木の周囲を木の枝でかこんでいるのを見


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