教育年報1961年(S36)-153/193page

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 ウ 合格者の教科別最高・最低の正答数

 小課程を単位とした114校のすべてに対し,志願者

の選抜目的に対してどの程度にこたえることができた

かを判断する一応の目安として,合格者の最低正答数

の分布範囲を検討してみる。

 1表にみられたように合格率は極めて多様である。

従って及落の境界点における成績も多様である。この

ように境界点における成績が多様であるとするならば

各学校での境界点,すなわち合格者のうちで各教科に

表われた,最低の正答数の分布範囲の広いことが必要

条件となる。

 また合格者は全問に正答することができたか,どの

学校においても合格者の最高の正答数が全問より少な

いならば,選抜の目的からは不必要に難かしい問題が

入っていたことを示すものである。

 各学校における合格者のうち教科別に正答数の最低

最高を調べ,その度数分布を示したのが4表である。

   4表 合格者の教科別,最低・最高正答数の分布
A国語 合格者の最低正答

数の分布

合格者の最高正答

数の分布 

普通課程 2( )〜13( ) 18(2)〜30(1)
農業〃 1( )〜5( ) 10(1)〜
工業〃 2〜11 23
商業〃 1〜5 10
家庭〃 2〜3 15〜25
B社会    
普通課程 0(1)〜19(1) 21(1)〜30(15)
農業〃 1(3)〜5(2) 13(2)〜30(1)
工業〃 4(1)〜13(1) 27(1)〜30(4)
商業〃 2(1)〜10(2) 22(1)〜30(3)
家庭〃 1(3)〜7(1) 13(1)〜25(2)
C数学    
普通課程 0(9)〜18(1) 18(1)〜30(26)
農業〃 0(13)〜1(4) 8(1)〜30(1)
工業〃 0(1)〜12(1) 26(1)〜30(5)
商業〃 1(2)〜7(1) 20(1)〜30(8)
家庭〃 0(15)〜5(1) 10(20)〜19(1)
D理科    
普通課程 0(1)〜9(1) 13(2)〜29(1)
農業〃 1(2)〜7(1) 10(1)〜22(1)
工業〃 1(1)〜7(2) 18(1)〜24(2)
商業〃 1(1)〜6(1) 12(1)〜27(1)
家庭〃 1(4)〜5(1) 5(2)〜19(1)
E音楽    
普通課程 0(32)〜6(1) 11(2)〜15(29)
農業〃 0(16)〜1(1) 4(1)〜15(2)
工業〃 0(3)〜4(1) 11(1)〜15(5)
商業〃 0(8)〜2(1) 12(2)〜15(6)
家庭〃 0(20)〜2(2) 5(1)〜14(2) 
F図画工作    
普通課程 1(9)〜8(1) 11(1)〜15(23)
農業〃 1(3)〜6(1) 9(2)〜15(1)
工業〃 3(1)〜6(2) 13(1)〜15(6)
商業〃 1(2)〜5(1) 10(1)〜15(4)
家庭〃 0(1)〜6(2) 10(1)〜15(1)
G保健体育    
普通課程 0(4)〜10(1) 12(1)〜15(32)
農業〃 0(2)〜4(4) 11(1)〜15(7)
工業〃 1(2)〜6(2) 12(1)〜15(2)
商業〃 3(1)〜7(2) 13(1)〜15(12)
家庭〃 0(5)〜3(2) 7(1)〜12(3)
H職業必修    
普通課程 0(9)〜6(1) 11(10)〜15(8)
農業〃 0(3)〜3(1) 6(2)〜14(1)
工業〃 1(2)〜6(2) 12(1)〜15(2)
商業〃 1(3)〜5(1) 11(3)〜15(1)
家庭〃 0(5)〜3(2) 7(1)〜12(3)
I英語    
普通課程 0(37)〜2(2) 7(2)〜15(5)
農業〃 0(16)〜2(1) 2(1)〜12(2)
工業〃 0(8)〜1(2) 8(1)〜14(1)
商業〃 0(13)〜1(1) 7(1)〜13(3)
家庭〃 0(17)〜2(2) 3(1)〜11(1)

 社会科では合格者に零点のある学校が1校・数学で

は38校,理科は1校,音楽は79校,図工は1校・保体

は11校,職必は17校,英語は91校となっており,これ

らはともにその学校数に応じて,より平易な問題が出

題されていなければならかったことを示している。

 エ 教科別小問の弁別性

 教科の各問には,学力の高い志願者と学力の低い志

願者とを確実に弁別しているか,すなわち,正答率70

%の問いは,その問い対する学力の上位のもの70%に

正答を与え,それより下位のもの30%には誤答を与え

ているか。

 多岐選択肢法による出題形式では,でたらめに選択

肢を選んでもその選択肢が正答である可能性がある。

従ってこの種の問題では,学力の上位の者が誤答し,

学力の下位のものが正答するという現象がおきる。次

にこのような問いのあるなしを検討してみる。

 標本となった志願者を総点によって順位づけ,総点

の上位のもの25%と下位のもの25%とをもって,上位

群・下位群を編成する。この両群についてそれぞれの

問いの正答率を算出し,この正答率に有意の差がある

か否かの検定を行なう。

 この結果から,上位群の正答率より下位群の正答率

が大きい問いが,理科に7問・英語に1間みられた。

 このような問いが混入していると,第1回のテスト

結果と第2回のテスト結果との間に正答数の開きがで


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