教育年報1961年(S36)-182/193page
SC 特殊資料(戦争,軍事以外の)
2 蔵書目録の作製
会社や工場は勿論,デパート,商店においては,営
業品目とかカタログをそなえつけ,チラシやその他の
方法でPRにつとめているが,図書館の蔵書目録は,
その営業品目のようたものである。図書館に来て,書
棚を見たり,問合わせたければどんな図書があるか,
また,求める資料があるかどうかわからないようでは
図書館奉仕が十分とはいえない。特に県立図書館は県
内の全地域にサービスするのであるからなおさらのこ
とで,南会津でも,浜通でも,蔵書目録があれば県立図書館所蔵
の資料がわかり,わざわざ福島市に出て来
てむだ足をふまなくともすむことになる。
このように県立図書館として全県的なサービスと,
県内は勿論,全国の図書館との相互貸借の必要から,
全蔵書の目録作製の計画をたてた。昭和28年から全
蔵書の再整理に着手し整理の終ったものを逐次,冊
子目録として刊行してきた。本年度は昨年度に引続い
て産業関係の資料約3,000冊の整理をおこない,
産業篇として37年2月印刷を完了した。
今までに刊行した蔵書目録は次のとおりである。
郷土資料蔵書目録 30年3月 蔵書目録 総記・哲学篇 31年3月 〃 歴史篇 33年3月 〃 社会科学篇 35年2月 〃 自然科学・工学篇 36年3月 〃 産業篇 37年2月 3 製本について
図書館活動が活発になり,図書の利用が高まるのに
比例して,破損する図書も多く,読まれるものほど汚
損が甚だしい。これらのものを放置しておくことは,
残骸をさらしておくようなもので,利用は勿論,再び
日の目を見ることはなくなってしまうことになる。そ
れでこれらのものを整理して,生きかえらせ再び利用
者の手に渡すことが重要な仕事になる。
また,唯一の貴重な郷土資料など補修して保存しな
ければならない。毎日入ってくる新聞,雑誌その他の
逐次刊行物はすぐ閲覧に供されるが,散逸を防ぎ,保
存するためには,一定期間のものを合本する。このよ
うに整理,合本を必要とするものが各係から集まって
くる。2名の技能員が製本にあたっているが,処理し
きれない状態である。本年度中に処理したものは,図
書1,684冊,新聞268冊,雑誌727冊その他
1,356件となっている。
第3節 館内奉仕
昭和36年度の努力事項の一つとして,冒頭に図書
館奉仕の徹底を掲げている。図書館の最前線ともいう
べき奉仕部門における館内奉仕の業績をふり返ってみ
ると,重点目標として一般社会人の利用者の拡大及び
効果的な施設の開放をはかり,資料の充実と相まって
利用の効果を高めるように努めたが,依然として学校
教育を援助するという補助的な役割の面にウエイトが
かかり,公共図書館本来の姿である一般成人の利用向
上が伸び悩みであり,それに反して学生,生徒が圧倒
的に多かった。
このことはひとり本館ばかりでなく,全国図書館に
おいても同じ現象を示している。毎年この問題につい
て公共図書館関係者はその対策を検討しているが,本
館においてもこの傾向に対して適切な処置を講じ,一
般社会人の利用の増大をはかって名実ともに県立図書
館の奉仕部門の充実を期したい。
1 館内利用者に対する施設の
改善はどのようにされたか
一般社会人の利用を高めるためには,まず,資料の
充実をはかる一方,館内の設備,環境を整備し,快適
な読書ができるように改善することが最も重要である
そこで今年度は,下記の点について重点的に改善を
加えた。
1) レファレンス室の整備と専門職員の強化
2) 図書館施設の開放
3) 座席の増設(冬のみ展示室・特別参考室を開放)
4) 各読書室に扇風機取付
5) 小売店(パンと牛乳)設置等
2 利用状況と利用者対策
1) 公共図書館の利用者の対象は一般成人に求めるこ
とは当然であるが,現実には学生,生徒によってその
大半を占められているのが実情である。
学生,生徒の82.5%を除いて,一般成人の利用
状況をみると,無職が第一位で(これは浪人も含まれ
ている)次に公務員,その他,銀行,会社員となって
いる。公務員,銀行,会社員の事務従事者が昨年に比
して館内,館外(個人貸出)とも増加して来たが,職
業上の仕事のための利用者が目立っている。それにひ
きかえ,労務従事者,家庭の主婦の利用者は依然とし
て低下している。
今後,一般の利用者の巾を拡張するためには,電話
または文書によるレファレンスの普及をはかることが
先決でそのためのPRの必要を感ずる。
次に学生,生徒の利用状況をみると,利用者の全体
からみて圧倒的に多く,学期末,進学受験を迎える学
生,生徒が,正午前後から閉館時(午後6時)までほ