教育年報1963年(S38)-125/180page
保健体育
第1節 概 要
昭和38年度は,オリンピック東京大会を控えてのスポ
ーツの振興強化と併行し,保健教育の充実とさらに本年
度は,特に,国の施策に呼応し,ミルク給食の完全実施
を目標に事業をすすめてきた。以下これらの事業の概要
を述べる。
1 スポーツ関係施設の拡充整備については,県営体育
館建築は実質的に工事作業に着手し,39年3月末日まで
には70%の完成をみる予定である。
また,現在の漕艇場,スキー場,スケート場,野球場
陸上競技場などについてもそれぞれ整備をはかった。
2 スポーツ選手の強化については,国体の成績向上を
目標にし,昭和38年度の山口国体においては,天皇杯第
15位の成績をおさめることができた。
また,オリンピック東京大会の候補選手が11名にのぼ
り,日本代表候補の誇りをもって努力が続けられている。
この間,各競技種目とも強化合宿練習会や指導者自身
の研究会を開催し,また高校スポーツ研究校を設置した
ほか,高体連,中体連の運営にも助言をあたえ,その適
正をはかった。
3 一般住民および青少年スポーツの普及振興について
は,各市町村の体育指導委員の活発な活動により各般の
行事が円滑に運営実施された。特に,スポーツ教室の開
設数が増加し,地についた指導と運営がなされるように
なった。また,各市町村ともスポーツ振興のための組織
づくりが研究検討されたことはスポーツ振興のための基
盤をなすものとして効果をあげつつある。
4 スポーツ少年団の結成については,オリンピック東
京大会開催を契機として本県においても努力をなしてき
たが,39年に入ってから,特に聖火リレーコースに関係
する市町村にこれが結成を促進した。現在330有余に達
している。
5 学校体育の充実振興については,例年の本県独自の
体力テスト実施要項により小学校を対象に実施し,全国
との比較によりその立場を明らかにしその起因を探究
し,指導上の諸問題を計画的に解決する基礎資料を得
た,中学校については文部省より発表になった体力テス
トと実験的に実施した。
学校体育の振興の基盤を体育研究学校におき,16の学
校での研究が地域全体に滲透することにつとめ,成果を
おさめた。また,教職員の資質の向上のため,水泳研修
会,各運動領域の実技,スキー実技等の講習会が活発に
開催された。
6 スポーツ振興審議会については,本年度で3回の会
議を開催し,本県のスポーツ振興の基本方針とその具体
策を明確にし,1月20日,県教育委員会あてに答申し
た。今後はこの答申により,さらにこれが実現に努力す
る必要がある。
6 学校保健については,児童生徒が学習しながらもっ
ている学校病の撲滅対策を図るとともに,保健環境の整
備,指導者の資質の向上を図った。また,教職員の健康
管理では,特に,結核の健康診断の結果,有所見者につ
いて,精密検査及び面接指導を行ない健康管理の強化を
はかった。最近学校における事故災害が続発する現状な
ので,交通事故防止,水死事故防止など学校安全の管理
と教育に努力した。
7 児童生徒の体位の向上の要因は,食生活が基盤であ
るところがら,学校給食の普及充実,特にミルク給食の
普及に努力し,その効果があらわれた。
なお,本年は東日本給食研究協議会が開催された。こ
れにより,学校における給食指導がさらに向上した。
第2節 学校保健
1 第11回福島県学校保健研究大会
7月16・17日の2日間,相馬市立桜ケ丘小学校におい
て開催した。参加人員約1,000名,開会式・表彰式・研
究発表・講演・分科会などあり,学校保健の理解と深化
に役だった。特別講演「学級における保健活動の進化」
と題する金沢大学教育学部名誉教授村上賢三氏の講演は
学校保健関係者はもちろんのこと一般教員に対し深い感
銘をあたえると共に,今後の本県学校保健の推進につい
て大きな示唆をあたえた。
研究主題は「学級における保健活動の進化をはかるに
はどのようにするか」とし,校長・保健主事・養護教諭
など11分科会に分かれて,各職域別に,それぞれの立場
から研究発表ならびに研究討議がおこなわれた。
なお,本大会に県内の学校保健功労者,相馬郡鹿島町立八沢小学校長
外10名が,万雷の拍手の裡に表彰され,
同時に学校安全優良学校として,郡山市立小原田小学校
外10校が,また,相馬郡小高町立福浦小学校長伊賀好氏
外2名,6団体の表彰が行なわれた。
本会の研究集録を編集し,その内容を県内各学校関係
者に配布した。
2 学校保健講習会(学校病)
児童生徒が学習しながらもっている病気は数多くある