教育年報1964年(S39)-211/232page
県立図書館
第1節 概 要
1 はじめに
本年度は県立図書館にとっては,その運営上に1エ
ポックを画した年であったようである。即ち,
1) 従来日本の図書館の習慣からの月曜休館を「日曜休
館」にきり替えたこと。
2) 館内の座席を一般人を優先させることから,「全席
指定制」にして学生生徒の定員過剰からの混乱を除去
したこと。
3) 昭和36年来寄託を受けて整理にあたっていた約8000
タイトルにおよぶ「佐藤文庫」の目録が完成したこ
と。
4) 利用者の要求するものをつかむということから,館
内においては「図書館利用調査」を実施したこと。
5) 対外サービスを行なううえに,公民館図書部の実態
を把握することから,「公民館図書部の実態調査」を
実施したこと。
等があげられるが,これはいずれも一般人の利用をより
よいものとするために行なわれたものである。以下各節
にわたって詳述する。
2 日曜休館の実施
県立図書館の日曜休館については,昭和34年にも日曜
休館の論議がもちあがり利用者のアンケートをとって検
討した記録が残っている。その当時の記録によれば日曜
休館に反対の意見が70%を越えていた。
昭和39年2月ごろからこの問題が再燃し,懸案事項と
して今年度に持ち越され,慎重審議のすえようやく日曜
休館が実施できたわけである。
(1) 日曜休館を実施する理由
図書館のサービス強化
館の運営の改善
奉仕係の勤務の正常化
以上の休館理由を関係方面に説明してその意見を打診
した結果,おおかたの意見は日曜休館に賛成であった。
(2) アンケートの実施
7月10日に福島市内の選挙有権者から400人を無差別
抽出してアンケートを郵送し回答を求めた。
7月14日に図書館に入館した一般成人100人,大学生
60人,高校生90人にアンケートを配り回答を求めた。
7月16日に福島市内公私立高校5校を選んで計150人
にアンケートを配り回答を求めた。
7月20日に県立図書館の6分館にアンケートを配り広
く地方の人達から回答を求めた。
その結果は次のとおりであった。
入館者別 日曜休館賛成 日曜休館反対 どうでもよい 一般成人入館者 83% 5% 12% 大学生入館者 65% 17% 18% 高校生入館者 48% 38% 14% 市内高校生 51% 23% 26% 市内選挙有権者 74% 4% 22% 福島市以外の県民 63% 12% 25%
以上の結果から県民は日曜休館に賛成であると判断す
ることができた。
(3) 全国都道府県立図書館の状況を調査
全国都道府県立図書館の休館状況について調査した結
果次のとおり既に日曜休館を実施している図書館が多数
あった。
日曜休館中の都道府県数 20 1県に2以上の県
月曜休館中の 〃 19 立図書館を設置す
その他の日を休館日としている 7 るところがあるの
で都道府県数を記
載する。
以上のうち,本県の如く現在月曜日またはその他の日
を休館日としていて,日曜休館を検討中のものが9都道
府県あるので,近い将来には過半数が日曜休館になるも
のと思われる。
(4) 県教育委員会の議決
アンケートの結果やその他の資料を整備して,報道機
関や利用者側の機関団体等の了解を求め,11月7日の定
例教育委員会に懇談事項として提案して了解を得,11月
16日の臨時教育委員会に提案して議決を得,11月24日の
県報に,県立図書館利用規則の一部改正および県立図書
館処務規程の一部改正を登載して12月1日から待望の日
曜休館を実施した。
(5) 日曜休館を実施した結果
今般の日曜休館が,暫定的に日曜でも学生生徒のため
に一室解放となり,更に一般成人にも図書の貸出しを実
施することとなった関係から,日曜日直者2人のうち1
人は必ず司書として,万全の体制を整えてきたが,日曜
に来館する学生生徒および一般成人の数はたいへん少な
い状況である。図書館設立以来はじめて,全職員いっせ