教育年報1966年(S41)-065/194page

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学校教育

   第1節 概     要

 1 指導行政の基本方針

 小、中学校および高等学校を通じて、ここ数年来努力して

 きた「学力の向上」は、学校教育の基本目標にたちかえって

児童生徒の学力を充実し、徳性を高めて望ましい人間形成を

図ろうとするもので、たゆみない継続的な努力を必要とする

 ものである。県教育委員会においては長期総合教育計画の重

点事項として学力向上の問題をとらえ、昭和41年度の努力目

標に明確に位置づけ、努力を傾注してきた。

 すなわち、第1項に教職員の資質と指導力の向上につとめ

ること。第2項に児童・生徒の学力向上をはかるとともに豊

かな人間性の育成につとめること。第3項に産業教育、科学

技術教育の振興をはかること。第4項にへき地教育、特殊教

育の振興をはかること、を目標として掲げ、他の目標と関連

してその充実徹底に努力してきた。

 また本年は、高校入試の準備のための教育課程のひずみを

是正し、教育の正常化を図るよう強い要望が提起されたが、

主体的な学習態度をそだて、真の学力を形成するみちを開き

つつ、ゆきすぎた補習授業を廃止するよう指導し、公立高等

学校入学者選抜法についても検討を加え、学力検査の教科を

5教科にしぼり、中学校から提出される調査書の活用につい

て改善するなどの措置を講じた。

 指導課においては、このようにして目標達成のため教育課

程の完全実施をすすめ、毎時の授業を充実すること、教職員

の現職教育を強化して資質の向上をはかり、さらに人間尊重

の精神を基調とする道徳教育、生徒指導の充実徹底に努めて

きた。

 2 指導の組織および運営

 福島県教育委員会事務局が、教育庁と改称され組織の充実

を図るにあたり、指導課は小中学校係、高等学校係、産業教育

係の三係と総務がおかれ課長以下23名が指導行政にあたるこ

とになった。

 特に本年度から主幹がおかれ、星課長補佐が兼務すること

になった。

 また、各係の分掌事項を明確にし、責任体制を強化しつつ、

各係の協力をいっそう緊密化するよう努力した。

 各教育事務所には2〜4名の指導主事を配し、各管内小中

学校の指導にあたっている。

 なお、各管内における指導活動をいっそう充実するために

次の指導職員を委嘱し、指導体制の強化を図った。

〇指導委員

 各教育事務所ごと5名、計80名

 数学(1人)、理科(4人)、音楽(15人)、図工・美術

 (14人)、技家(男)(14人)、技家(女)(14人)、英

 語(16人)、へき地教育(2人)

〇生徒指導委員

 小学校(3人)、中学校(6人)を委嘱し、小中学校の

 生徒指導の充実を促進した。

〇生徒指導主事

  県内5地区(県北、県南、会津、いわき、相双)に1名

 づつの生徒指導主事をおき、主として高等学校の生徒指導

 の充実にあたった。

〇視学委員

  視学委員4名を委嘱して、現地視察にもとづく本県教育

 の実態について忌たんない感想や意見を聴いて参考にし、

 教育行政の適正を期した。

 以上、指導各組織の緊密な連けいと活発な指導活動に加え

て、各学校に有効な指導資料を提供するため、「学校教育」

を隔月に発行配布し、また「望ましい学級経営」を編集し配

布した。

 3 学校教育指導の重点

 指導課として学力向上に対処するために次のような事業を

実施した。

(1) 教職員の資質と指導力の向上につとめた。

 1) 学習指導法講習会や各種実技講習会等を開催し、効果

  的な運営をして、資質の向上につとめた。

 2) 学校訪問による指導を改善し、指導の徹底をはかった。

 3) 文部省主催の各種長期研修講座に教職員を派遣し、資

  質の向上をはかった。

 4) 指導資料の作成配布による指導の充実をはかった。

  「学校教育」の隔月発行

  「望ましい学級経営」

 5) 自主的教育研究団体の育成強化

   福島県小学校教育研究会をはじめ10団体に対し、総額

  530万円の財政的援助を行ない、研究態勢の確立と研究

  意欲の高揚をはかった。

   また、福大教育学部附属小、中学校公開研究会等の各

  種研究大会を共催し、その充実をはかった。

(2) 児童、生徒の学力の向上をはかるとともに豊かな人間性

 の育成につとめた。

 1) 教育課程の研究と改善充実につとめた。

   教育課程研究集会を、小教研、中教研との共催で実施

  し、意欲的な参加者によって研究協議が深められた。な

  お、教育課程の完全実施、教育計画の改善等について指

  導した。

 2) 授業の体質改善の促進につとめた。

   指導資料「各教科等指導の重点」によって体質改善の

  ポイントを明確にするなど、授業の体質改善を促進する

  ことにつとめた。

 3) 学力向上推進校(小、中8校)、へき地教育研究学校

   (小中4校)、研究学校(高校5校)を指定し学校経営

  の合理化、学習指導の充実等、学力向上に関する課題の

  解決について実践的研究を深めその成果を普及して学力

  向上の推進に資した。

 4) 道徳教育、生徒指導の改善充実につとめた。


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