福島県教育研究所
第1節 概 要
本県教育の進歩および改善に必要な諸問題を調査研究し、
本県教育の伸展に寄与する目的をもって、教育研究所は次の
ような体制のもとで、各領域にわたる調査と研究および教職
員の研修業務に従事した。
1 事務分掌
(1) 総務係
予算の経理、文書の収受、発送、編集、物品の出納、そ
の他諸係の所掌に属さないこと、教育図書室の運営に関す
る事務。
(2) 研究係
1) 教育に関する専門的技術的事項の調査研究ならびに指
導および助言に関すること。
2) 教育に関する調査研究資料の編集および刊行に関する
こと。
(3) 研 修 係
1) 教育職員の研修に関すること。
2) 教育相談に関すること。
第2節 教育研究
本年度は七つの研究主題を取りあげたが、福島県診断、標
準学力検査問題の作成と高校における学力形成過程の研究を
のぞいては、昭和40年度終了の研究の発展的な研究または本
年度新設の継続研究である。
新設の研究としては、本県における教育史の研究、高校入
学選抜法改善の研究があり、発展的な研究として地域教育振
興に関する研究などがあげられる。この地域教育振興に関す
る研究は、安達町油井小学校外2校を実験学校とした実験的
研究の発展的な研究としてとりあげたものでこの研究は、伊
達町立小・中学校を実験学校に設定し、小・中学校一貫した指
導理念に立った教育の実践により、児童・生徒の学力の向上
をはかり、地域教育振興の基盤を確立することを目的とした。
研究の結果は、「研究紀要」として刊行、指導主事を対象
とした研究結果の中間報告会の開催などにより、指導上の参
考資料として広く活用の便をはかった。
1 本県における教育史の研究
(1) 研究の目的
1) 本県における教育の課題を解決するために、歴史的視
点にたった資料を提供する。
2) 本県の教育関係者に専門的教養を深めるための一助と
して、研究結果を提供する。
3) 教育関係資科の散逸を防止し、価値ある資料を収集・
整理する。
4) 福島県教育委員会発足以来20年間の足跡を記録にとど
める。
(2) 研究の内容
1) 国際的・国内的に影響力をもった教育思潮がどのよう
に受けいれられ、それによって本県教育がどのように変
容したかを明かにする。
2) 本県における教育と教育以外の諸分野との相互作用と
その結果をあきらかにする。
3) 国や県の教育施策
がどのように受けとめられ、どの
ように具体化され、それによってどのような結果が生し
たかを明らかにする。
4) それぞれの変遷の段階で、本県の実践的教育活動の傾
向性や問題点を明らかにする。
5) 本県における各地域の教育条件を分析し、それがどの
ように変質したかを明らかにする。
(3) 研究対象
この研究は、学校教育(県・市・町・村・私立)に関す
る教育施策と教育活動に関するものを対象とする。
(4) 模擬史料収集の実施
前記の研究内容の妥当性、史料保存量とその状態、史料
収集方法の適否をたしかめるために、下記の学校で模擬史
料収集を実施した。
1) 伊達郡桑折町立桑折醸芳小学校 2月 6日 2) 伊達郡梁川町立梁川中学校 2月 7日 3) 伊達郡川俣町立小島小学校 2月 8日 4) 伊達郡川俣町立小島中学校 2月 8日 5) 福島市立湯野小学校 2月 9日 6) 郡山市立桃見台小学校 2月13日 7) 郡山市立行健中学校 2月14日 8) 会津若松市立神指小学校 2月15日 9) 会津若松市立神指中学校 2月16日 10) 白江市立白河第一小学校 2月20日 11) 西白河郡東村釜子小学校 2月21日 12) いわき市立田人第一小学校 2月22日 2 高等学校入学者選抜方法の改善に関
する研究
(1) 目 的
高等学校入学者選抜のための学力検査、調査書の検討を
行ない、とくに調査書の信頼度とその利用に関する研究を
進め、高等学校入学者選抜方法改善のための資料を得る。
(2) 研究方法
国立教育研究所第二研究室が行なった「大学入試改善の
ための研究」によれば、「調査書の成績の高いものは大学
の学業でもすぐれた成績を示す」ということが立証された。
このことは高等学校の段階においても成立するのではない
かという立場に立って、研究対象校を全日制高等学校より
数校設定し、調査書の学習成績と入学試験の学力検査の成
績との対応関係、調査書の学習成績と高等学校の学業成績
との対応関係等について2年間継続調査研究を進め、調査
書の信頼度に関する資料をまとめる。また、調査書の取