り扱い状況ならびに意見調査を実施し、調査改善に関す
る資料をまとめる。
3 地域教育振興に関する研究―その基盤
としての学力向上
(1) 研究の趣旨
当研究所では「望ましい学習指導法の組織化の研究」と
いう主題で主体的学習態度の形成のための研究を、昭和37
年度から4年間にわたって行なってきたが、その結果を検
討してみたとき、その有効性をさらに発揮するためには、
次の3つの要件が満たさなければならないと考えた。
1) 小学校、中学校の学習指導に正しい脈路が保たれてい
なければならない。
2) 小学校、中学校をとおして、また、地域をひっくるめ
て、学校教育と家庭教育とが機能的に協力しあわなけれ
ばならない。
3) 学習指導の中に生活指導の機能がじゅう分生きていな
ければならない。
これらの要件が満たされたときはじめて、子どもたちの
真の学力が身につき、地域における教育振興の基盤が形成
されたといえよう。
以上の考えに立って、本研究は「望ましい学習指導法の
組織化」の研究発展として、この3つの要件に関する具体
的方策を解明し、子どもの学力向上、ひいては、地域にお
ける教育振興のための資料を得ることを目的とするもので
ある。
(2) 研究の実験
「望ましい学習指導法の組織化」の理論と方法とを、小・
中学校に一貫して適用し
〇小・中学校における学習指導の連けいのあり方
〇地域における学校と家庭の機能的協力のあり方
〇学習指導と生活指導の一体的なすすめ方
について研究するために、中学校1校、ならびにその学区
内の小学校全部を含む地域を実験地域として3ヵ年の継続
研究とした。本年度はその第1年次である。
1) 実験地域
〇地域 伊達郡 伊達町
〇学校 伊達町立 伊達中学校
同 伊達小学校
同 伏黒小学校
同 箱崎小学校
2) 研究過程
ア. 第1年次 5月〜7月 準備段階
〇文献研究 「望ましい学習指導法の組織化」(紀要
52号) 他
〇基礎調査 知能検査 学力検査 学習態度調査 生
活態度調査 地域における教育に関する意識調査
〇研究主題に関する研究計画の立案
イ. 第1年次 8月〜3月
〇授業研究 実験学校における「望ましい学習指導法
の組織化」による教材研究、予習的課題の出し方、
指導法等の研修
〇研究教科 伊達中 国語、社会、数学、理科、英語
伊達小 社会、理科
伏黒小 算数
箱崎小 国語
ウ. 授業研究回数
伊達中 15回
伊達小 16回
伏黒小 16回
箱崎小 16回
4 学習指導法の改善に関する研究
(1) 目 的
昭和31年以来おこなわれている学力調査の結果、児童・
生徒の学力の欠陥が指摘され、また欧米各国ばかりでなく
本邦においても、学力ないし教育課程に対する批判や要請
が生じている。
これらに着眼した教育研究は数多いが、本研究は本県の
実情に即し、本県の学習指導の改善に資する、
(2) 内 容
教科の本質にもとづいた学習指導の能率や効果をあげる
ため、学習指導の個別化、集団化、教育工学的手法等を導
入した学習指導法について研究する。
(3) 計 画
1) 研究教科、社会、理科、英語とする。ただし理科は第
2年次よりおこなう。
2) 実験学校 福島市立松陵中学校に委嘱する。
3) 年次計画
3ヵ年継続研究とする。
ア. 第1年次(昭和41年度)
文献研究 仮説樹立のための調査および実験授業、
仮説の樹立
イ. 第2・3年次(昭和41・42年度)
仮説にもとづく実験研究による検証
(4) 本年度(研究第1年次)研究の概要
―社 会 科―
1) 研究対象 中学1年(地理的分野)
2) 実験授業の概要
第1次実験授業
ア. ね ら い
思考力形成過程の実態、とくに思考の傾向と思考の
つまずきの要因を明らかにし、学習指導過程の主要な
要素との関連において学習指導上の問題点について究
明する。
イ. 実験単元 中部地方の農業
ウ. 結果についての要約
学習指導過程は、地理的事象を確実にとらえさせ、
地域性とこれを構成する要素についての予見によって
課題意識を強め、既有の知識・経験等学習対象に対す
るレディネスを確認し、高める方策を構ずること。さ
らに課題解決力を養う典型的な教材を選択し、年間計
画に位置づけ、それに応ずる指導方法がくふうされる
必要があること等が本実験授業でとらえることができ
た。