教育年報1967年(S42)-134/194page
第4節 家庭教育
1 概 況
家庭教育とは、家庭において親が子どもに対して行なう教
育であり、両親の責任においてなされる教育的機能で行政の
直接介入するところではないが、家庭教育学級はこれらの両
親に対し、成人教育の一かんとして家庭教育についての性格
や役割についての学習の機会と場を提供するものである。
本年は国庫補助学級開設第4年目を迎え、住民にその効果
は理解され、必要性は高まりつつある。本年度国庫補助学級
開設市町村は79、学級数267、学級生数13,981人、経費
1,130万円で、自主開設市町村は18、学級数52、学級生数
2,866人、経費105万円となっている。国庫補助学級は頭う
ち状態にあるが、自主開設学級は増加している。男子学級生
は全体の1/6である。今後は無開設町村5の解消と学級数、男
子学級生の増大をはかるべきである。
家庭教育に関する学習は、この学級で組織的、継続的にな
されるが、県においては県下4地区で家庭教育研究集会を開
催し、企画、運営、学習内容についての研究を深めてきた。
また昭和42年9月県社会教育委員会議が「家庭教育の振興方
策について」の答申をされた。これにもとづきいっそうの振
興をはかりたい。
2 家庭教育研究集会
(1) 目 的
家庭教育に関する諸問題について、具体的事例を通して
研究討議し、家庭教育の振興をはかる。
(2) 主 催
福島市教育委員会 開催地教育委員会
(3) 期日・会場・参加者
期日 会場 参加者数 10月13日〜14日 いわき市立四倉小学校 162 10月23日〜24日 福島市市民センター 160 10月27日〜28日 喜多方市厚生会館 187 10月31日〜11月1日 棚倉町立棚倉小学校 152
(4) 参加対象者
〇 市町村教育委員会 公民館 家庭教育担当者
〇 家庭教育学級担当者 企画委員 運営委員
〇 家庭教育学級生 PTA 婦人会員
(5) 講師および助言者
1) 講 師
玉川大学教文学部教授 伏見猛弥
福島大学教育学部教授 島貫快祐
県教育庁社会教育課長 佐藤正義
2) 助 言 者
県教育庁社会教育課員
教育事務所社会教育主事
(6) 研 究 内 容
1) 研究主題
家庭教育学級ではどんな内容を、どんな方法で学習し
たらよいか。
2) 講 義
〇 子どもの知能を高める家庭のありかた 伏見講師
〇 親の教育上の責任と役割について 島貫講師
〇 親の教育上の責任と役割について 佐藤講師
3) 分 科 会
ア. 幼時期のよい習慣形成のための学習内容をどのよう
に編成したらよいか。
イ. 児童期のよい習慣形成のための学習内容をどのよう
に編成したらよいか。
ウ. 家庭教育学級の企画・運営はどのようにしておこな
えばよいか。
4) 全体会
分科会報告 協議 まとめ
(7) 効 果
家庭教育学級の実践記録の展示コーナーを設け、各地教
委における企画、運営等の諸記録が展示され、また、それ
らの具体的事例により研究が深められて、今後の運営に益
するもの多大であった。
よい習慣形成のための学習内容編成の初歩的こころみを
したことは有意義であった。
学級生としては、家庭において子どもを教育する場合の
心構えや、あつかい方、教育上の留意事項など家庭教育の共
通課題について学習し、親の責任の重大さ、学級参加の重
要性を改めて確認された。
第5節 公民館等社会教育施設
1 概 況
社会教育の振興に、最も重要かつ基本的な問題は、社会教
育の中心的役割を果す公民館の整備充実にある。本県社会教
育施設の現状から本年度の指導方針として次の4点をかかげ
た。
(1) 公民館の訪問等により、社会教育施設について理解を
深め、公民館の新築、転用等の実施計画の立案と、備品
並びに学習課題に応じた教材の充実をはかる。
(2) 公民館および職員の適正な配置について再検討し、基
準に基づいた市町村の設置条例に改めるよう理事者、関
係者の理解を深める。
(3) 公民館長、公民館職員研修会等をとおし、公民館運営
の改善をはかる。
(4) 図書館、博物館、青少年の家、児童文化センター等の
社会教育施設の必要性について関係者の理解と関心を高
め早期実現をはかる。
本年度公民館の建設は、滝根町公民館ほか4館で、国庫補
助ならびに県費補助をうけて新築された。県長期総合教育計
画にそって、今後未設置市町村、併置館の解消のために、施
設・設備の充実した公民館が誕生するよう推進したい。
施設については、伊達町公民館等21館に図書、映写機、移
動公民館、録音機、ユニットキッチン一式、アコーデオン、
テレビ、ピアノ、陳列ケース等、国庫補助を受けて整備され
た。