教育年報1967年(S42)-169/194page
第8章 福島県教育研究所
第1節 概 要
本県教育の進歩および改善に必要な諸問題を調査研究し、
本県教育の伸展に寄与する目的をもって、教育研究所は次の
ような体制のもとで、各領域にわたる調査と研究および教職
員の研修業務に従事した。
1 事 務 分 掌
(1) 総 務 係
予算の経理、文書の収受、発送、編集、物品の出納、そ
の他諸係の所掌に属さないこと、教育図書室の運営に関す
る事務。
(2) 研 究 係
1) 教育に関する専門的技術的事項の調査研究ならびに指
導助言に関すること。
2) 教育に関する調査研究資料の編集および刊行に関する
こと。
(3) 研 修 係
1) 教育職員の研修に関すること。
2) 教育相談に関すること。
第2節 教 育 研 究
本年度は前年度の継続研究として7つの研究主題を取りあ
げそれらの研究にあたった。そのうち、高等学校における学
力形成過程の研究はまとめの年度にあたり、他は研究第2年
次としての研究にあたった。
特に、「地域教育振興に関する研究」と「学習指導法の改
善に関する研究」とは実験学校の教職員を研究員に委嘱し、
教育現場との共同による実証的研究である。
この「地域教育振興に関する研究」は伊達町地区の小・中
学校を実験学校に設定し、小・中一貫した指導理念に立った
教育の実践により、児童・生徒の学力の向上をはかり、地域
教育振興の基盤を確立することを目的とした研究である。こ
の研究の趣旨の理解をはかるとともに指導上の参考資料の提
供を目的として昭和43年2月5・6の両日本庁および教育事
務所の指導主事を対象として研究の中間報告会を行なった。
学習指導改善に関する研究は福島市立松陵中学校を実験学
校に設定し、社会、理科、英語を研究教科として研究を進め
ている。理科については、全国教育研究所連盟の「学習指導
の近代化」に関する共同研究の一つとしてあわせ研究を行な
っている。
1 戦後の福島県における教育の史的研究
(1) 研 究 内 容
1) 我が国の教育施策が本県でどのように受けとめられ、
どのように具体化され、そしてそれによって生じた結果
や影響がどのようなものであったかを明確にする。
2) 国際的・国内的に影響力をもった教育思潮や、近代化
・現代化を志向する教育目的、内容、方法が本県教育に
どのように浸透し変容したかを明確にする。
3) 本県における教育実践の事実をは握し、その変遷の各
段階における実態を明らかにし、その傾向性をは握する。
4) 本県における教育と、政治・経済・社会・文化などの
教育以外の諸分野の進展との相互作用を明らかにしなが
ら本県教育が教育以外の諸分野に与えた影響や、教育以
外の諸分野からの要請による本県教育の変ぼうを明確に
する。
5) 本県における各地域や学校の教育的な個性が、教育条
件の変化によってどのように伸展し発展したかを明確に
する。
(2) 研 究 対 象
1) この研究は、特に学校教育に関するものに限定して研
究を進めていく。
2) 大学、短期大学、幼稚園ならびに私立の諸学校の場合
はこれを除外する。
3) 昭和20年4月より昭和41年3月までの期間を限定して
研究を進めていく。
(3) 本年度の研究
研究第2年次としての本年度は、年表の作成(昭和43年
度完成)と資料の収集を行なってきた。資料収集対象校は
次の学校である。
石川町立石川小学校 小野町立小野新町小学校
〃 沢田小学校 〃 小野小学校
浅川町立浅川小学校 常葉町立常葉小学校
〃 浅川中学校 〃 常葉中学校
いわき市立田人第一小学校 郡山市立金透小学校
〃 平第一小学校 〃 小原田小学校
〃 小名浜第一中学校 〃 郡山第一中学校
〃 平第一中学校 〃 行健中学校
三春町立三春小学校
〃 三春中学校
2 地域教育振興に関する研究一その基
盤としての学力向上
(1) 意 義
地域における直接的な政治的・経済的・文化的・社会的
な教育諸問題の解決にあたる研究ではなくして、その基礎
になる問題を、学力の向上という視点においておさえ、こ
の問題の解決をはかることによって、地域教育全般の振興
の基礎づくりを行なおうとするものである。
(2) 性 格
1) 油井・平野・半田・西根、各実験学校において研究し
たものの発展的志向において実施する。
2) 特に小・中学校一貫の教育志向を醸成していく。
3) 学校教育と家庭教育の機能的協力をいっそう重視する。
4) 研究方法は、アクション・リサーチを根幹とする。