教育年報1968年(S43)-087/197page

[検索] [目次] [PDF] [前][次]

   第3回の検討を行なう。

第4回 昭和44年1月28日(於教育委員会室)

 1) 報告事項

   産業教育関係学校視察の報告について

 2) 「本県高等学校における産業教育の多様化について」

  昭和44年1月28日付をもって、県教育委員会に対し、福

  島県産業教育審議会会長須藤仁郎名をもって正式に答申

  する。

(3) 産業教育関係学校視察

 1) 日 程 昭和43年11月21日(木)〜11月22日(金)

 2) 視察校 県立猪苗代高等学校

        〃喜多方商業高等学校

        〃会津中央高等学校

        〃会津工業高等学校

        〃若松商業高等学校

 3) 参加者 副会長 富田 高明

       委 員 斎藤初四郎 高橋キヨ子 津田悌

           鈴木英一 和田敬久

           桜木左久雄 大塚喬清

 4) 視察内容

  ア. 学校長より産業教育諸学科の経営上の要望事項を聴

   取

  イ. 校舎、産業教育施設、設備充実ならびに使用状況視

   察

(5) 答 申 文

                昭和44年1月28日

  福島県教育委員会殿

            福島県産業教育審議会

               会長 須藤仁郎

     本県高等学校における

        産業教育の多様化について

 本審議会は、昭和43年5月30日付で福島県教育委員会から

諮問された標記について慎重に審議した結果別紙の結論を得

たので、産業教育振興法第12条の規定に基づき、ここに答申

いたします。

(別 紙)

 最近における、科学技術の進歩、社会経済情勢の進展は著

しく、これに伴う社会的要請の変化により産業教育の専門的

知識・技術を持つ産業従事者の質的向上と、数的拡充が望ま

れるに至った。

 このような実情に即して、本審議会は教育の基本原則と、

社会的要請を勘案して、地域の実情にそうよう慎重に審議を

重ねた結果、以下に述べるような結論に達した。

 第1 共通に要請される事項

(1) 生徒の能力、適性、進路等に即応する学科を構成する必

 要がある。

  高等学校進学率の上昇により、本県高等学校には現行の

 教育課程を消化しきれない生徒も入学している。したがっ

 て、生徒の能力を開発し、伸長させるためには、能力、適

 性、進路等に応じた学科を構成し、望ましい学校環境を整

 えることが必要である。また、学歴偏重の社会的風潮や、

 産業教育に対する蔑視により高等学校教育をゆがめている

 面もあるので、これらの考えを是正することもたいせつで

 ある。

  産業教育においては質的向上と、数的拡充が社会的要請

 として高まってきているので、職業に確固たる基盤を置い

 た教育が必要である。この際、産業教育の諸学科の専門性

 を高めると同時に基礎教養についてもじゅうぶん配慮する

 ことがたいせつである。

  また、学科を構成するにあたっては、現在設置されてい

 る学科の教育内容を改善するとともに、今般中央において

 「理科教育及び産業教育審議会」が文部大臣に答申した新

 設17学科についても、本県の経済動向、地域の実態、生徒

 の能力、適性、進路等に即して検討する必要がある。

(2) 産業教育に関する学科を置く高等学校の適正配置につい

 て検討する必要がある。

  普通科を卒業して、ただちに就職する者が相当いる。ま

 た高等学校進学の際に、学科の選択志望が、その地域に設

 置されている学科によって制約される傾向もある。これに

 対処するため産業教育の定員増、学科増設、学科転換、専

 攻科設置等の措置を講ずる必要がある。

  なお、女子生徒が、高等学校を卒業して就職する傾向が

 大きくなったので、産業教育における女子向き教育課程に

 ついても考慮する必要がある。

(3) 産業教育の効率を高めるため、単独校とする必要がある。

  本県高等学校の半数は総合制に準じたもので、普通科を

 置く学校に産業教育に関する学科2〜3が併置されている。

 総合制高等学校には、それなりの良さはあるが、現時点に

 おいては、学校経営ならびに教育環境からみて、産業教育

 に関する諸学科の専門性をじゅうぶんに打ち出すことが容

 易ではない例が多い。したがって、併置校は、実情に応じ

 て、産業教育専門の単独校とし、目標を明確にして、これ

 にふさわしい環境のもとで教育する必要がある。

(4) 教育諸条件を整備する必要がある。

  高等学校の産業教育の多様化を図るためには、優秀な教

 員の養成と確保、実験実習用施設・設備充実、実験実習費

 の増額、適切な参考資料の提供等、諸条件の整備充実が重

 要であると認められるので、この点についてじゅうぶん配

 慮する必要がある。

  なお、本審議会が行なった昭和42年7月21日「本県におけ

 る産業教育の拡充整備について」の答申は、産業教育の多

 様化をすすめるうえで、きわめて重要なので、その推進を

 期待する。

  以上、共通に要請される事項について審議の結論を述べ

 たのであるが、専門的な学科や学校の設置等については、

 時代の進展を見通しながら、今後さらに継続して検討を進

 める必要がある。

 第2 産業教育各学科に要請される事項

(1) 農業に関する学科

 1) 農業後継者及び農村婦人の養成を積極的に進めて時代

  の要請にこたえるため、県内各方部に大型自営者養成農

  業高等学校の設置を検討するとともに、生活科の増設を

  図る必要がある。



[検索] [目次] [PDF] [前][次]

Copyright (C) 2000-2001 Fukushima Prefectural Board of Education All rights reserved.
掲載情報の著作権は福島県教育委員会に帰属します。