教育年報1969年(S44)-069/241page
3) へき地手当の支給
へき地勤務の困難さ、勤務する地域の特殊性にかんが
み、給料と扶養手当の月額の合計額に、1級地は8%、
2級地は12%、3級地は16%、4級地は20%、5級地は
25%を乗じて得た額がへき地手当として毎月支給されて
いる。
4) へき地教職員の特別昇給制度の実施
人事委員会指定のへき地1級地から5級地の学校に勤
務した教職員に対し、1年間勤務について、5級地、4
級地は6か月短縮昇給、3級地、2級地は4か月短縮昇
給、1級地は3か月短縮昇級の特別昇給制度が実施され
ている。
(3) へき地学校教職員の実施配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき地
学校に勤務する教員、および職員の決定について、特別の
考慮を払わなければならない」とある。
さらに、「公立義務教育諸学校の学級編制および教職員定
数の標準改善」について、本県としては、へき地学校教職
員の定数配置について、次のような特別措置を行なった。
1) 小規模学校に対する補正教員(分校補正)の配置
〇 分校3校以上を有する学校に教員1名を増員する。
〇 本校3学級以下で、分校を有する学校に教員1名を増
負する。
2) 単級、5複、4複の解消
3) 3複について新法通り児童数15人までを1学級とする。
4) 2複について1学級あたり児童生徒数を小学校では23
人まで、中学校では15人まで引き下げる。
5) へき地検おおよそ9校につき1人の割合で養護教員を
増員する。
(4) 県へき地教育振興会、および教育事務所指定の解除
C地区学校数の県全体の学校数に対する割合が大きく、
円満なへき地交流がきわめて困難であること、および交通
事情その他の改善によるへき地度の変化等から検討し、県
へき地教育振興会、および教育事務所指定校を下記のとお
り解除した。ただし、解除年月日は昭和45年3月31日とし
た。
福島県へき地教育振興会指定校数
年度 小学校 中学校 計 指定校数 県全体
との比指定校数 県全体
との比指定校数 県全体
との比昭和44 110 15% 30 10% 140 13% 〃45 96 13% 28 9% 124 12%
教育事務所指定校数
年度 小学校 中学校 計 指定校数 県全体
との比指定校数 県全体
との比指定校数 県全体
との比昭和41 117 15% 33 11% 150 13% 〃42 85 11% 25 8% 110 10% 〃43 67 9% 22 7% 89 8% 〃44 37 5% 11 4% 41 5% 〃45 29 4% 9 3% 38 4%
(5) 学校、学級規模の適正化
本県のへき地学校には、小規模校や分校が多く、また、
児童生徒数が少ないため複式学級が多いので学習指導に困
難をきたしている。
したがって、可能なかぎり学校の統廃合をはかり教育条
件の改善をはかるための諸施策を講じてきた。
なお、本年度中に統廃合の行なわれた学校数は下記のと
おりである。
廃止学校数表
本校 分校 季節分校 計 小学校 3 7 1 11 中学校 1 - - 1 計 4 7 1 12
(注) へき地指定校のみ計上
(6) 寄宿舎、スクールバスの設置
1) 寄宿舎の設置
寄宿舎に関する調査 (44.11.1)
通年制 季節制 合計 寄宿舎数 児童
生徒数寄宿舎数 児童
生徒数寄宿舎数 児童
生徒数小学校 - - 10 127 10 127 中学校 4 105 28 1,083 32 1,188 計 4 105 38 1,210 42 1,315
2) スクールバスの設置
〇 国庫補助によるもの 4台
〇 県費補助によるもの 3台
〇 ジープ (国庫補助によるもの)
3 今後の問題点
(1) へき地教職員の充実をはかること
へき地には経験の少ない若年層が多く、中堅教員が少な
い。これを解決するためにへき地に勤務する教職員の優遇
策、教員の受入れ体制の整備、へき地派遣制度等の推進が
必要である。
(2) へき地優先の人事行政をすすめること
福島県へき地教育振興会指定校および教育事務所指定C
地区校の一部指定解除によりC地区校の逓減方策をとって来
たが今後さらに検討を加えるとともに高度へき地校に勤務
する教職員の転出、へき地校を多くかかえている会津ブロ
ックと他ブロックとの交流等についてへき地優先の人事行
政を推進する必要がある。
(3) 施設設備の充実と学習指導法の改善をはかること
へき地における学習指導法の困難性を打開するために、
教育機器の導入等施設設備、教材教具の充実をはかり学習の
能率化や個別化を促進し教育水準を向上させる必要がある。
(4) 学校給食の完全実施をはかること
へき地は地理的条件ならびに諸般の要因から住民の食生
活水準が低く、児童・生徒の体格は、他地域に比して低い
水準にある。したがって学校給食の完全実施がのぞまれる。
(5) 県へき地教育振興会の事業の検討
本県へき地教育振興会は、昭和25年に県民の友愛精神か
ら発足し、以来20年間の長きにわたりへき地教育振興のた