教育年報1969年(S44)-075/241page

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第4章 学校教育

   第1節 概     要

 1 指導行政の基本方針

 「未来をひらく豊かな教育」をめざし、児童・生徒の個性

や能力に応じた適正な教育を行ない、調和と統一のある教育

活動をとおして、「学力向上」をはかることを、学校教育の

基本的な目標として、ここ数年来努力してきたところである。

 昭和44年度においては、前年度までの実績と反省ならびに

長期総合教育計画の重点事項に基づき、努力目標を設定し、

その達成に努力してきた。

 すなわち、第1項に「児童・生徒の能力開発と徳性のかん

養」第2項に「体育・スポーツの振興と健康、体力の推進」

第4項に「教職員の資質と指導力の向上」を目標として掲げ

他の目標と関連して、その充実徹底に努力してきている。

(1) 義務教育課

  義務教育課においては、このようにして、教職員の資質

 の向上をはかるとともに、士気の高揚をはかり、教育の正

 常化を推進してきた。また、教育課程の適正な編成とそ

 の完全実施をはかり、毎時の授業の充実と個々に応じた生

 徒指導の実践のため、教職員の現職教育を強化して資質の

 向上につとめ、さらに人間尊重の精神を基調とする道徳教

 育、生徒指導の徹底につとめてきた。

(2) 高等学校教育課

  昭和43年度は、後期中等教育審議会から「地域別高等学

 校拡充整備計画」について、産業教育審議会から「本県高

 等学校における産業教育の多様化について」の答申を受け

 たが、44年度はその答申の趣旨にそって、指導の重点の目

 標達成をめざし、本県高等学校教育の適正化や充実強化に

 努力をはらってきた。

  なお、変動の激しい時勢の要求に応じて、生徒指導担当

 指導主事を強化したり、「高等学校における政治的教養の

 育成に関する研究の手びき」を編集・発行するなどに特筆

 すべきものが見られた。

 2 指導組織及び運営

(1) 義務教育課

  県教育委員会は、進展する社会の要求に即応して教育行

 政事務を効率的に処理するため、昨年度の教育庁の一部改

 革に続いて、本年度は4月1日を期して、これまでの16教

 育事務所の統廃合を行ない、7教育事務所として発足した。

 これまでは、出先機関の規模が一般に小さく、職員が分散

 配置され、職員ひとりの担当事務が多岐にわたり、その能

 力がじゅう分発揮されないなどの問題点が多くあったので、

 統廃合の結果、組織が充実強化されることから行政効果が

 期待される。

  新発足の教育事務所には新たに主幹と課長を配置し総務、

 指導、管理の3課を設けた。(南会津教育事務所は総務、

 指導管理の2課で主幹をおかない。)

  指導課長のもとに、指導主事(4名〜10名)社会教育主

 事(1名〜4名)生徒指導主事1名(南会津教育事務所を

 除く。)ほかに、教科指導委員(4名〜10名)生徒指導委員

 (1名〜2名、南会津教育事務所を除く。)を配置して、小・

 中学校の指導のほか、社会教育の指導にもあたっている。

 特に生徒指導の充実を図るため、今年度より専任の生徒指

 導主事を6教育事務所に配置して管内の生徒指導にあたっ

 ている。

(2) 高等学校教育課

  昭和43年度の中途に発足した高等学校教育課は、44年度

 当初においてその陣容をすっかり整え、課長以下指導班、

 管理班、総務係の各職員が県立学校に関する指導・管理行

 政にあたり、各係の責任体制を強化するとともに、相互協

 力をいっそう緊密にし、その充実に努力した。

  なお、生徒指導担当指導主事7名のうち6名を各教育事

 務所(県北、県中、県南、会津、いわき、相双)に駐在さ

 せ、その機能をさらに充実させるようにした。また、指導

 委員は、各高校の教職員のうちから10名を委嘱し、各教科・

 科目等の指導活動にあたった。

  運営面では、県立学校の訪問、巡視指導を例年どおり実

 施し、各種研究学校や研究団体の研究会等には数多く出席

 して指導助言にあたるようにした。なお、各種研修会・講

 習会等を計画・実施し、県立学校教職員の資質の向上に努

 めた。また、各校における指導活動に対する資料を提供す

 るため、本年度「高校ふくしま」(年4回)を発刊し、さ

 らに「高等学校・学校教育指導資料」を編集配布した。

 3 学校教育指導の重点

(1) 義務教育課

  義務教育課としては、前記の目標達成をめざして、次の

 事業を実施した。

 1) 教職員の資質と指導力の向上につとめた。

  ア.  学習指導法講習会、各種実技講習会、各種現代化講

   座等のほかに、新採用教員講習会、中堅教員研修会、

   女子教員研修会等を実施し、教職員の資質と指導力の

   向上をはかった。

  イ.  各種長期研修講座に教職員を派遣し、資質の向上に

   つとめた。

  ウ.  小学校ならびに中学校学習指導要領の改正の趣旨徹

   底をはかるため、小・中学校別に学習指導要領趣旨徹

   底講習会を開催した。

  エ.  指導資料の作成配布による指導の充実につとめた。

  オ.  自主的研究団体の育成強化につとめた。

    福島県小学校教育研究会はじめ10団体に対して総額

   540万円の財政的援助を行ない、研究態勢の確立と研

   究活動の活発化をはかった。

    また、第12回東北社会科研究大会などの各種研究大

   会を共催し、その充実振興をはかった。

 2) 児童・生徒の学力向上をはかるとともに、知・情・意・

  体の調和のある青少年の育成につとめた。

  ア.  教育課程の研究と改善充実につとめた。


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