教育年報1969年(S44)-221/241page
2 調査相談事務
(1) 回答事務
近代図書館の大きなウエートを占めるこの業務もようや
く利用者に理解が行きわたって、記録された件数も年々増加
してきている。特に参考資料を大幅に公開し、また精選収書
したことによって、来館した利用者は、自由に調査をしてい
るので、これらをも記録されるならば相当数になるものと思
われる ただ文書による本県関係に関する調査依頼は、多分
に研究的なものが多く、単に資料によるだけでは回答しかね
るようなものもあり、利用者に代わってこの業務をなすこと
が使命とはいうものの、その範囲を越えるようなものもあり、
あまり丁寧に回答することが、つぎからつぎへと調査を依頼
されることになるということもあったようである。こういつ
たことからマニア的な回答に対する労力の度合をどの程度ま
でにとどめるか将来検討する必要がある。今後は困難なある
いは未解な問題等はカード化して整理し、この業務の能率化、
組織化を図らなければならない。 →(表4)
(2) 特許関係サービス
工業化が進むにつれて、これらに対する関心も高まり、そ
の利用もまた数年前と比較すると著しいものがある。特に複
写によるサービスが実施されて以来、もっとも便利になった
のがこの部門であろう。幸い当館では各部門にわたって明治
以来のものがあり、県外からの閲覧者も多い。昨年度からは
いわき市図書館にも配置されることになるので、会津若松市
とともにより相互連絡を密にして業務能率をあげるような方
策をとる必要がある。 →(表5)
(3) 複写サービス
本格的に実施した昨年度から、エレクトロニック・リコピ
ーによるサービスは利用者に大変喜ばれ、その件数は急速な
伸びを示し、処理に追われる現状となり、専門の係を置かな
ければ処理しきれなくなっている。 →(表6)
(4) 補助資料(ツール)の作成
1) 郷土関係新聞の記事索引
昨年まではクリッピングを実施してきたが、これをより体
系的に、広く索引化することによって、新聞の利用を便利に
するためにこの方法にふみきったのである。はじめてのこと
であり、他館のものを参考とすることも、また十分とは言え
ず、試験的実施段階として2〜3年はかかるものと思う。400
に近い件名を作成、1)読者の投稿によるもの、2)他の資料
でより確実にわかる統計類、3)一団体、一機関の部内の記事
4)単なる季節の記事、5)公告、公示など、6)解説記事、7)予
告的記事、8)他の事件に関連のない小さな記事、9)日常的に
連載される記事等をのぞき、カード化し、件名を付して、排
列するのであるが、本年度はとりあえず昭和44年度の民報、
民友両紙において実施、約10,000枚のカード化を行なった。
今後は45年度以降と43年度以前との両方向ヘカード化を実施
して行き、これが冊子を作成することによって、閲覧に供す
るようにするとともに、新聞のマイクロ化の索引として重要
なものになると考えられる。
2) 特許関係県内出願者名簿
これも前記県内3館の所蔵により、本館が中心となって、
ますます重要になるものと思われ、本年度からは資料の確実
性を尊重する意味からも、複写コピー化をすることにした。
(5) 過去5カ年間の利用状況の推移
利用者数を見るとさしたる動きもなく、むしろ、若干少な
くなっているかも知れないが、これは入館者の80%を占める
学生生徒の場所借り的数字がそのままでており、現在の館の
規模からこの位の人員が限度であることを示しており、図書
館奉仕としてさして問題とすべき数字ではない。利用図書冊
数における年々の延び率は上昇の一途をたどり、特に館外個
人貸出の数は5年前とは約3倍となっている。これはいかに
現代人が忙しく、また読書というものは、本来個人がなすべ
きかを如実に示しているものであり、利用者の立場を考えて
図書館が積極的姿勢を打ちだしたことと自負しても差支えな
いものと思う。しかしながら全県的立場に立って見るならば、
まだまだ低い数字であり、現代人の生活に図書館がもっと密
接に結びつく努力は予算面においてまだまだ不十分であるよ
だ。
〔表1〕 利用者数 (昭和44・4〜45・3)
職業別/人員 館内 (人) 館外 (人) 計 (人) 構成比(%) 1 勤め人 4,605 3,423 8,028 8.3 2 自家営業 355 325 680 0.7 3 主婦 174 1,118 1,292 1.4 4 学生・生徒 64,678 13,901 78,579 81.4 5 児童 4,451 4,451 4.6 6 無職その他 2,466 1,024 3,490 3.6 計 76,729 19,791 96,520 男女別内訳 (男) 44,733 10,714 55,447 57.4 (女) 31,996 9,017 41,073 42.6 1 勤め人 (男) 3,777 2,611 6,388 (女) 828 812 1,640 2 自家営業(男) 355 325 680 3 主婦 (女) 174 1,118 1,292 4 学生・生徒 (男) 35,996 6,921 42,917 (女) 28,682 6,980 35,662 5 児童(男) 2,504 2,504 (女) 1,947 1,947 6 無職その他 (男) 2,101 857 2,958 (女) 365 167 432
開館日数278日、1日平均347人
〔表2〕 利用図書冊数 (昭和44.4〜45.3)
分類別/冊数 館内 (冊) 館外 (冊) 計 (冊) 構成比(%) 0 総記 3,625 668 4,293 6.3 1 宗教・哲学 1,243 1,557 2,800 4.1 2 歴史・地誌 2,554 2,147 4,701 7.1 3 社会科学 3,279 4,248 7,527 11.8 4 自然科学 2,153 2,228 4,381 6.5 5 工学・工業 1,218 1,086 2,304 3.4 6 産業 745 611 1,356 2.1 7 芸術・娯楽 1,437 2,115 3,552 5.1 8 語学 613 566 1,179 1.9 9 文学 3,873 13,917 17,790 26.3 児童 13,281 2,580 15,861 23.2 雑誌 1,296 176 1,472 2.2 計 35,317 31,899 67,216
1日平均利用冊数、人員 240冊 347人
(うち 館内 127〃 279〃
館外 113〃 68〃