教育年報1969年(S44)-220/241page
の導入が企画されたのは、昭和37年であったが、本年度に至
って関係方面のご尽力によりようやく設備され図書館業務の
近代化に大きく寄与することとなった。
設備された主要機器
ミニコピーカメラ 1台 自動現像機 1台
ポジプリンター 1台 リーダープリンター 4台
マイクロフィルム作業計画・概要
〇 方針
新聞資料のマイクロフィルム化を主とし、新聞以外の資料
については緊急のものを除いては行なわない。
〇 準 備 作 業
(1) 欠号調査等の作業
欠号の所在調査、欠号調査、資料の解体、整備などはマ
イクロ作業の主要な部分を占めるものであり、とくに欠号
調査と所在調査は重要である。可能な限り欠号を補充し、より完
全な形で収録する。そのために次のようなことを考慮する。
1) 報道機関 (新聞、放送、テレビ)への協力依頼
2) 新聞協会、国会図書館、東大新聞研究所等の所蔵資料の
調査と協力依頼
(2) 各種ターゲットを作成する
(3) 撮影簿、破損、部分取り直し記録簿、欠号調査簿、フィ
ルム受入簿等の諸記録簿を作成して備える。
(4) 主要記事索引を作成する。
〇 撮影作業
1) 作業の手順
撮影→現像→検査→ポジプリント→主要記事索引→ファイル
以上の作業を1本毎に反復して行なう。
2) フィルム化すべき新聞
福島民報 明治25―昭和20
民友新聞 明治28―昭和20
福島新聞 明治42―昭和12
福島日日新聞 大正 3―大正10
朝日、毎日、読売各新聞福島版
3 蔵書目録の刊行
昭和42年4月から44年3月までの2カ年間に増加した各部
門の図書約7,700冊を収録して刊行し、関係方面に配布した。
4 館外用資料
館外用資料については選定委員10名を依頼、十分利用する
側の意向を尊重して、毎月一回の選書にあたった。特に児童
用図書、従来とかく顧みられなかった芸術等に関するものも
購入して、県民の教養に資するような方向づけをとった。
増加冊数、選定委員は次のとおりである。
〇 3,555冊 (購入3.044冊、寄贈511冊)
〇 選定委員
石井善十 (理科センター)
遠藤保吉 (福島市立第1小)
柴生田潤 (医 師)
須田四郎 (福島食糧事務所)
西山泰三 (県立農業短大)
遠藤浩子 (主 婦)
三瓶マス (主 婦)
田村由岐 (主 婦)
八木美代子 (主 婦)
安田紀子 (主婦・新浜町郵便局)
5 整 本
新聞雑誌などの合本製本、利用のはげしい移動図書館用資
料、館内閲覧用の一般資料などの補修が整本の主たる業務で
あるが、本年度は、一般資料1,020冊、新聞合本360冊、雑
誌合本620冊、その他640件であった。なお本年度は、小・
中学校、公民館職員で、本館にきて直接技術指導を受けた者
が多数にのぼった。
第3節 館 内 奉 仕
1 利 用 状 況
(1) 利用者数
しばしば内外より「図書館はPRが不足である…」といわ
れ、PRにはじめて積極的に外に出る方法をとった。利用案
内の手引きを作成して福島市内(旧市内)9小学校3〜4年
の児童の手を通して2,500の家庭に配布した。その結果特に
主婦の利用の増加が目立ち、児童室も終日利用者が絶えない
という状況となった。ただPRとは必ずしも広告的にだけ行
なうことではなく、あくまで資料においてなされるべきもの
と思う。せっかくPRによって希望をもって足を運んだ利用
者が要求を満たし得ないようなことになれば、何のPRかと
いうことになりかねないし、要はより多くの資料を揃えるこ
とが、とりもなおさず図書館のPRなのである。
利用者の区分は1)勤め人、2)自家営業、3)主婦、4)学生、
生徒、5)児童、6)無職、その他というふうに分け、従来その他
に分類していた予備校、各種学校生等学習を目的とする者は
学生・生徒に分類した。その結果これらが81.4%となっているが、
昨年までと大きく変わったということではない。男女別に見
れば、男が57.4%と各層にわたって優位をしめている。今ま
で12月から2月にかけて受験追込み期で連日満員札止めであ
ったが、今年度はそうした日が数える程しかなかった。→(表1)
(2) 読書傾向 (資料の利用状況)
昨年度各部門にわたって、1,000冊を越えたものを更に増
大させ、館内外ともに30,000冊台を越したということであり、
特に館外利用が高校生達にも行きわたってきて、純文学、哲
学関係図書を利用する高校生も増えており、読書相談に追い
まくられるようになってきた。また古い新聞、雑誌類の利用
が多く、特に新聞のマイクロの利用は1日も早く実施できる
よう努めなければならないものと思われる。→(表2)
(3) 館外個人貸出登録者
年度当初において館員が3,000人台突破を目標にしたのだ
ったが、それがようやくかなえられて、3,135人となった。
その構成比もわずかながら、一般人が高くなってきているこ
と、主婦が昨年の88人から128人と50%も増えたことが目立
つ。明年度においては中学生、児童への貸出を実施して、図
書館利用をたとえ周辺の児童たちに限られるとしても、幼少
時より読書の習慣をつけるような姿勢を打ち出したい。
→(表3)