教育年報1971年(S46)-157/255page

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第5章 社会教育

第1節 社会教育一般

 1.概  要

 産業経済の高度成長や技術革新の進展は、まことにめざ

しく、産業構造の変革、余暇や消費の増大、都市化現象の進

行と相まって本県のいたるところの地域にも、その影響を与

えて、県民の生活様式に大きな変容をもたらしている。

 この急激にして多面な社会の変ぼうに対処し、すべての

地域住民にその職能を磨き、教養を高め、生活にうるおいと

生きがいとを与える組織的な学習の機会を学校を終えて後も

生涯を通して提供するために、社会教育は改めてその重要性

を確認されるとともにその再編成が強く望まれている。

 社会生活の規範としての価値観が多様化し、地域住民の連

帯感を稀薄にしつつある一般的な傾向は、地域開発計画推進

上にも大きな障害をなしており、新たな秩序を確立する上の

市民性の啓培に寄与する地域の健全な社会教育関係団体や各

種の集団の育成を奨励する必要がある。また、住民の実生活

の必要に即応する広範な学習内容を魅力ある学級・講座等に

組織し、青少年より成人、老人にいたる一貫した学習課程に

編成し、とくに家庭生活のあり方を明確にして生涯教育の構

想を樹立する必要がある。

 本年度は下記6つの重要施策により、市町村教育委員会な

らびに関係機関団体との協力体制を強化して、本県社会教育

の進展に努力した。


(1) 社会教育施設の拡充整備をはかる

  社会教育における学習活動の中心的場である社会教育施

 設は、質的・量的にじゅうぶんとはいえない。

 社会教育の発展をはかるため、その基幹的施設である公民

 館の計画的整備について指導し拡充をはかった。

 1) 公民館等の整備をはかるため、県費補助(1100万円)

  国庫補助による公民館新築(10館)図書館一館(600万円)

 2) 県立少年自然の家建設のため県費補助(6,690万円)

 3) 公民館活動の充実促進のための調査


(2)指導体制の充実強化をはかる

  社会教育施設の充実と相まって、指導者の資質の向上と

 その体制の充実はきわめて重要である。各市町村の社会教

 育主事、公民館長、公民館主事の専任化を促進するととも

 に研修を強化し、民間指導者との提携を図り、指導者層の

 拡充に努めた。

 1) 青少年教育指導体制の確立と関連行政との調整

 2) 社会教育関係職員の専任化の促進と研修機会の提供

 3) 青少年教育指導員、婦人教育指導員の市町村設置の推進

 4) 青年教育研究協議会、研究委員会等による資料の作成

 5) 市町村社会教育委員研究協議会の開催


(3) 学級・講座等の内容の刷新充実をはかる

  地域の自主的団体が相互研修の場として、集団による組

 織的な団体活動により、地域の生活に密着し、新たな秩序

 を確立し、市民性と活気を回復する健全な団体となるよう

 積極的に助成を行ない、指導の養成に努めた。とくにPTAの

組織運営については、その本来の目的により再検討し、

 社会教育の中核的な組織団体として育成した。

 1) 指導者の育成と研修機会の提供

 2) 団体指導者のための指導資料の作成

 3) 団体育成助長のための県費補助

 4) 研究PTAの委嘱、PTA研究協議会等の開催による

  PTA活動の助長


(5) 芸術文化活動の推進をはかる

  地域の社会構造および生活意識の変化は、文化条件に大

 きな影響を及ぼしているが、なかでも都市化・過疎化に伴

 なう文化行政のすすめ方は時代に即応した施策が要請され

 ている。このようなことから本年度は長期展望にたって、

 県および市町村が緊密に連けいし、次の施策を推進した。

 1) 芸術文化の基本的事項を審議するための文化振興会議

  の設置

 2) 文化事業の推進をはかるための文化活動者の養成

 3) 福島県文化センター等文化施設の効果的活用

 4) 文化事業の奨励をはかるための文化団体の助成・発表

  機会の提供


(6) 文化保護施策の充実をはかる。

  郷土の文化遺産である文化財は県民の宝である。

  将来に大切に保存するとともに、文化的活用をはかり、

 県民の文化財に対する愛護の精神の高揚をはかった。

 1) 地域開発に関する保護、保護施設の推進

 2) 指定文化財の保存事業の推進と管理の充実

 3) 文化保護の緊急性に対応する指導層の充実

 4) 文化財公開施設の建設促進と活用、機会の提供

 5) 県民の文化財愛護思想の高揚


 2.市町村社会教育主事等研修会

(1) 目 的

  急激な社会構造の変化に即応し、本県社会教育の振興充

 実を期するため、県下市町村の社会教育主事等に対し、今

 日の社会教育を進めていくために必要な基礎的、専門的研

 究を行ない、もってその資質の向上と指導力の強化をはか

 る。


(2) 期日・会場・参加者数

  1) 期  日 9月8日〜9月10日

  2) 会  場 福島市飯坂町 婦人会館

  3) 参加者数 78名


(3)講 師

 ○立教大学教授         岡本包治

 ○東北大学教育学部助教授  塚本哲人

 ○宮城教育大学助教授     雪江美久

 ○猪苗代町公民館長      熊倉老瑞

 ○県教育庁社会教育課主幹  富塚有吉


(4)参加者

 ○市町村教育委員会社会教育主事


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