教育年報1971年(S46)-245/255page

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年同様で、各部門にわたる資料の整備に図書館は一層の配慮

をしなければならない。特に本年は最も多岐にわたってわれ

われの生活に結びついた「社会科学」部門について、政治、

法律、経済等の各権威ある方々に診断してもらい、それらの

充実につとめた。

 また9月から、一昨年から開始した郷土紙(民報、民友)

のマイクロ化されたものについて、その公開を実施したが、

これらの資料を利用する者にとって、従来の新聞そのものを

めくるより便利であると大変好評をはくしている。そしてそ

のコピー化もあわせ行なったことにおいて新聞、雑誌の利用が

極めて高い数字を示している。

 児童図書の昨年比50%増の30,958冊は当然のことではある

が、僅か3,000余冊の図書からすると実に10倍の利用率を示

しており、新刊の補充が追いつかなかった実情であった。

→〔表2〕


(3) 館外個人貸出登録者

 児童生徒の登録が行きわたって、その人数は大きな飛躍を

見せた。昨年600余人であったものが、児童934人中学417

人とそれぞれ3倍、2倍となり、全体の29.2%を占め、これ

に高校生の21.2%、大学生の25.2%を加えると実に81.8%が

勉学を目的とする人達となっており、まだ一般人の図書館利

用は程遠い感じがする。これらの人達を如何に図書館に引き

入れるかについては、よほど思いきった方法を打ち出さなけれ

ばならないものと考えられる。→〔表3〕


 

 2.調査相談事務

(1) 回答事務

 郷土に関するものが年を追いその度合いを大きくしてきてい

るが、これらは県内に生まれ、あるいは育った人達が成長し、

そして生まれ故郷に関心を示すものが大半であり、内容もむ

つかしくなり(極めて特色的になり)館内に所蔵されるもの

だけでは処理しきれず、それぞれの地方の関係機関や研究家

に再依頼するものも多くなっている。

 特に資料面においては福島大学図書館に依頼して協力をあ

おいでいるものが目立っている。 →〔表4〕


(2) 特許関係サービス

 他県の図書館においてはたいへんその利用がふえてきてい

るということであるが、本県においては他の資料に比しては

低いようである。これはひと頃の発明ブームが去ったのか、

また特許に対する関心がそこまで行なっていないのか、あるい

は、図書館が資料公開などを通じてPRすべき面が不足して

いるのか、今後原因をつきつめ利用を高める方策を検討すべ

きであろう。

 本県の人達が出願した特許およひ実用新案出願公告は年度

ごとに一覧表を作成しているので、将来参考になることが予

想される。 →〔表5〕


(3) 複写サービス

 この複写サービスは、当館の中でも利用度が高くなっ

てきている。 今年は特に新しい機械の導入によって、利用

者に待ってもらうことなく提供できることがその理由であろ

う。処理件数は昨年376が605、枚数は7,207が14,451とな

り、まず増加の一途をたどるであろうから、それに対処する

新しい機械、処理方法等はもっと手軽に扱えるよう検討する

必要があると考えられる。 →〔表6〕


(4) 特別貸出

 ほぼ昨年同様の処理であるが、県史関係が落着したので、

官公庁、報道機関、会社、事業所等が主な利用先となってい

る。ただコピーできるものは、コピーですます方向にもって

行くべきものと考える。 →〔表7〕


(5) 補助資料(ツール)の作成

 1) 郷土関係新聞記事索引、2) クリッピンク等は続けて

実施するが、さらに県内における文学者文献目録、県人著作

目録といったことも当然本館がなすべきものとして考慮して

いる。これらのためにも、県内における出版物の所在を知る

ことが先決であるので、これら所在については、つとめて御

連絡をいただくなり、 現品を寄贈してもらうような方法を

関係機関に特にお願いいたします。


(6) 相互協力

 図書館間における資料の貸借はまださしたる件数には至っ

ていないが、貸借される資料はその図書館にだけ所蔵される

貴重なしかも古いものということになる。当然郵便にて貸借

されるが、その費用も相当なものであり、コピーの普及した

今後においては、必要な個所をコピーにて送付するという方

法にもって行くべきではないかと思われる。


  3.過去5カ年間の利用状況の推移

 利用人員、利用冊数とも同じ傾向を示している、すなわち

単に館に出入りする者の数は減っているが、図書の利用はふ

えているということである。このことは多少とも図書館とは

図書を利用するところであるということが市民にも理解され

て来たことと、図書館側としてはその努力を自認するもので

あるが、さらに"開かれた図書館"というモットーのもとに、

従来の観念をあらため、積極策をとる時期に来ているとも思

われる。今年はこれらのことについて館員全員の創意を寄せ

合って研究討義をつくしたので、明年度はぜひ"開かれた図

書館"に向かって運営を進めたい。 →〔表8〕


〔表1〕 利用者数  (昭和46.4〜47.3)

職業別\人員 資料を利用した者 資料を利用しない者 構成比
館内 館外
1.勤め人 1,546 3,352 2,336 7,234 7.2
2.自家営業 261 412 418 1,091 1.2
3.主婦 128 1,065 106 1,299 1.5
4.無職その他 1,126 2,693 6,421 10,240 10.9
5.学生・生徒 3,715 14,048 42,432 60,195 64.4
6.児童 5,415 8,031 258 13,705 14.8
12,191 29,601 51,972 93,764 100
男女別内訳 (男) 7,216 15,093 29,218 51,527  
         (女) 4,975 14,508 22,754 42,237  
1.勤め人 (男) 1,389 2,375 1,866 5,630  
       (女) 157 977 470 1,604  
2.自家営業 (男) 242 326 388 956  
        (女) 19 86 30 135  
3.主婦 (女) 128 1,065 106 1,299  
4.無職その他 (男) 919 1,747 4,525 7,191  
          (女) 207 946 1,896 3,049  
5.学生・生徒 (男) 1,781 6,416 22,284 30,481  
         (女) 1,934 7,632 20,148 29,714  
6.児童 (男) 2,885 4,229 155 7,269  
     (女) 2,530 3,802 104 6,436  


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