教育年報1971年(S46)-244/255page

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も参集し、各地においても予想をはるかに上まわる参集者が

みられ、盛況を呈した。このことは、図書館でなくては実施

できないことがらであり、これを契機として、母親達の研究

グループが生まれ、以後毎月2回、図書館において作品につ

いての研究討議が行なわれているという、喜ばしい姿が生まれ

ていることは特筆しておく。



  第2節 整理事務

  1.図書館資料の収集

 図書館資料の収集は、一般資料については、司書をもって

構成する収書委員会を定期的に開催し、蔵書構成を勘案しつ

つ適書の選定にあたり、一方44年度から開始された専門家に

よる図書選定委員会を踏襲し、本年度は社会科学部門の政治

・法律・経済・財政・統計・社会・教育・民俗の各分野につ

いて、それぞれの専門家を委嘱し専門的立場から蔵書診断を

お願いするとともに、適書の推せんをいただいた。

 蔵書診断による主な意見を掲げると

○全般的に発行年次の古いものが多い。

○行政の特殊分野たとえば公害、交通事故・行政争訟・国家

 賠償・行政不服申立などに関する図書の購入を図られたい。

○県学事年報、福大教育学部の「論集」・福大教育研究所の

 「研究紀要」など教育機関から刊行される資料の収集を図

 られたい。

○統計理論および統計学に関する蔵書が主として昭和20年代

 以前のもので占められ、新刊が少ない。社会統計学、統計

 思想史に関するものも少ない。

○民俗学の入門書は比較的揃っているが、昔話類やわかり易

 い入門書が少ない。

○逐次刊行書は、予算の都合もあるが、毎年整備されたい。

 とくに官公庁出版物は重要資料であるので補充することが

 大切である。

 限られた予算の枠内で各分野にわたって適切な蔵書構成を

図ることは、なかなか至難であるが、意見を尊重し蔵書構成1

に一層の努力を傾注したい。

 一方、地方の過去及び現在の資料を網羅的に収集し、将来

の県民に継承することは、県立図書館として重要な任務であ

るとの観点に立って、同人誌、雑誌、ローカル紙、行政資料、

市町村史、県人著作等あらゆる分野のものについて積極的に

その収集にあたった。

 昭和46年度 福島県立図書館図書選定委員名簿

委嘱分野 氏   名 職     名
政治学 岩重政敏 福島大学助教授
法律学 永山昭夫 県文書学事課長
長田弘 弁護士
経済学財政学 小野賢一 福島大学教授
統計学 新家健精 福島大学助教授
社会学 畑孝一 福島大学助教授
教育学 宮口春雄 福島大学教授
民俗学 秋山政一 県北民俗研究会長


  2.マイクロンステム

 新聞資料のマイクロ化作業は2年目を迎え順調に進行し、

46年10月には、2階公開図書室の一隅にリーダープリンター

を配置して、一般公開を開始した。

 本年中に撮影を完了したものは次のとおりである。

 福島民報 昭和6年〜9年 ネガ17リール ポジ17リール

 福島民友 昭和6年〜9年 ネガ17リール ポジ17リール

 また、「全国紙マイクロ版」は、極度に圧縮された近代日

本文化史の基礎史料であるということから、これが購入受入

れについては、早くから検討されていたが、関係方面のご

尽力で予算措置が講じられ、現在ある日本の日刊新聞では最

古の歴史と伝統を持つ「毎日新聞マイクロ版」1セット(明

治5年2月〜昭和37年12月)650リールを購入し、自館製の

福島民報、福島民友とともに46年10月から一般公開を開始し

た。


  3.蔵書目録の刊行

 昭和45年4月から46年3月までの間に増加した図書館資料

約4300冊を収録した増加図書目録の昭和45年度版を刊行し、

都道府県立図書館、主要な大学図書館、市立図書館、県内地

教委、公民館などに配布した。



  第3節 館内奉仕

  1.利用状況

 昨年の利用状況から特に目立ったことは、児童の利用増、

それと複写サービスの増加ということであった。

 利用の著しく要求の強いものに対しては、十分公共図書館

としては応えるべきであるという考えに立って図書館奉仕を

実施し、更にその奉仕体制は如何にあるべきかを研究した年

でもあった。館内に各業務の研究会を設けてそのあるべき姿

を論義し追求したことは必ずや明年度からの運営に反映され

るものと思われる。以下各分野について詳説する。


 (1) 利用者数

 児童に対する館外個人貸出は昨年は始めたばかりというこ

ともあったが、2年目にはいり、それが急激に増えたという

ことである。その利用人員も実に昨年の2倍を越す8,031人

となり、それは通学の帰途、図書館に寄れる子ども達である

にせよ、連日部屋を満員にするばかりでなく、予約する希望

図書が待ちきれないといった状況であった。このことは"現

代の子どもは本を読まない"という単純な一般論をくつがえ

すばかりか、良い本を与え、指導を加えるならば、いかにT

V時代とはいえ、子どもたちは、読書の楽しさを味わい知る

ものであり、もっとも知識欲に燃えるこの時代に読書がいか

に大切であるかをまざまざと見せつけられた感があった。

 さらに子ども達に加えて母親達がともに児童図書に関心を

持つに至った姿を見るようになったことも見のがせない。そ

の他の分野についてはほぼ昨年同様の数字を示している。た

だ「学生生徒」に比し「無職その他」が増えているのは、い

わゆる浪人と呼ばれる人達がはっきりつかめなかったためで

あろう。 →〔表1〕


 (2) 読書傾向(資料の利用状況)

 文学、児童部門を除き、各部門が均等化していることは昨


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