教育年報1972年(S47)-105/285page

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(3)本校のへき地学校の概要

 本県のへき地学校はきわめて多く、人事委員会、県へき地

教育振興会指定のへき地学校を合わせると県全体の学校数に

対して、小学校は36.1%、中学校は22.8%であり、この外に

教育事務所指定のへき地校が、小学校16校、中学校7校あり

これを含めれば本県のへき地学校は実に34.5%になる。

 また、へき地学校は、会津地方に多く、ついで阿武隈山系

に分布しており、その多くは小規模校と分校である。

 児童・生徒数についてみると、県全体の児童・生徒数に対

して、小学校児童は10.3%、中学校生徒数は10.2%にあたり、

教職員数では約16%の教職員がへき地学校に勤務している現

状である。

 2.へき地教育の振興策

 へき地の学校は、概して小規模校であり、かつ分校も多い

ため複式学級が多い。したがって教育条件の充実改善をはか

るとともに、へき地学校に優秀な教職員を確保することが緊

要である。

(1)へき地教育充実の人事行政

 「昭和47年度末小・中学校教職員人事に関する方針」にお

いて、「へき地学校の教職員組織の充実をはかるため、各地

域の実態に応じ、都市、平地、へき地相互間の交流を計画的

に推進する。」ことを重点事項にかかげ各地域間の計画的な

交流を推進することとした。

 また、へき地派遣制度の推進、管理職への昇任にへき地学

校勤務を資格要件とするなどの施策もあわせて実施した。

 1)へき地交流

  ア 地域区分

   県内の地域区分を次のとおりとする。

   特A地域区旧4市(福島、郡山、若松、平))の学校

   A地域  市、主要町校の学校

   B地域  特A、A及びC地域以外の学校

   C地域  へき地の学校

  イ 地域交流

   (ア)昭和28年度以降の採用者のうち、へき地学校勤務

    の経験のない者については、計画的にへき地学校に

    転出させる。

   (イ)相当期間へき地学校に勤務し、都市または平地の

    学校に転出を希望する者については、優先的に考慮

    する。

   (ウ)へき地学校の多い会津ブロックとの交流を積極的

    に推進する。

    昭和47年度末へき地交流件数

学校種別\転出入 へき地への転入件数 へき地からの転出件数
種 別 A→C B→C C→A C→B
小学校 86 111 197 96 171 267
中学校 53 85 138 84 76 160
139 196 335 180 247 427

 2) へき地派遣制度

   都市、または平地の小学校、中学校に勤務する教員の

  うち、とくにへき地教育に熱意を有する優秀な中堅教員

  を選考し、計画的にへき地学校に派遣し、その教育実践

  をとおしてへき地教育の振興に役立て、当該教員が相当

  期間勤務し、その勤務成績が良好の場合は抜てき人事等

  の優遇措置を講ずることとした。相当期間とは3年間で

  ある。

 3)管理職の適材登用と適所へと配置

   小規模学校およびへき地校に勤務する優秀な教員の中

  から適格者を管理職に登用するとともに、適所への配置

  につとめた。

(2)へき学校教職員の経済的優遇策

 1) 研修旅費の支給

   へき地学校勤務教職員の研修旅費として、人事委員会

  指定校に勤務する教員1人に対し3,000円が支給される。

 2)赴任旅費の支給

   4、5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員に

  対する赴任旅費の支給

 3)へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給

   人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対し

  給料と扶養手当の合計額にその級地に応じてそれぞれ

  4%、8%、12%、16%、20%、25%を乗して得た額が

  へき地手当として毎月支給されている。また、この外に

  へき地手当に準ずる手当として4%の支給がなされてい

  る。

 4) へき地教職員の特別昇給制度の実施

   交通条件及び自然的、経済的、文化的条件に恵まれな

  い山間地、その他の地域に所在する学校に勤務する教職

  員の功績に報い、あわせて人事交流の促進と適正化を計

  るため昇給期間の短縮措置を行なっている。

指定区分\勤務年数 1年以上2年未満 2年以上3年未満 3年以上4年未満 4年以上
5級・4級 6月短縮 12月短縮    
3級・2級 3月〃 9月〃 12月短縮  
1級 3月〃 6月〃 9月〃 12月短縮

(3)へき地学校教職員の配地に対する特別措置

  へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき地

 学校に勤務する教員および職員定員の決定について特別の

 考慮を払わなければならない。」とあるが本県としてもへ

 き地学校教職員の定数配置については、小規模校に対する

 分校補正教員の配置及び養護教員、事務職員等の特別措置

 を講じている。

 3.今後の問題点

(1)へき地校の教職員の充実をはかること

  へき地校に勤務する教職員の年齢構成から見て中堅教員

 が少ないことにかんがみ、このことの解決のためへき地に

 勤務する教職員の優遇策、地元の受け入れ体制の整備、へ

 き地派遣制度の推進が必要である。


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