教育年報1973年(S48)-097/273page
(3)本校のへき地学校の概要
本県のへき地学校は極めて多く、人事委員会、県へき地教
育振興会指定のへき地学校を合わせると、県全体の学校数に
対して、小学校は36.7%、中学校は24.1%であり、このほか
に教育事務所指定のへき地校が、小学校14校、中学校5校あ
り、これを含めれば、本県のへき地学校は実に35.1%になる。
また、へき地学校は、会津地方に多く、ついで阿武隈山系
に分布しており、その多くは小規模校と分校である。
児童・生徒数についてみると、県全体の児童・生徒数に対
して、小学校児童数は100%、中学校生徒数は9.6%にあた
り、教職員数では、約15%の教職員数がへき地学校に勤務し
ている現状である。
2.へき地教育の振興策
へき地の学校は、概して小規模校であり、かつ分校も多い
ため複式学級が多い。したがって教育条件の改善充実を図る
とともに、へき地学校に優秀な教職員を確保することが緊要
である。
(1)へき地教育充実の人事行政
「昭和48年度末小・中学校教職員人事に関する方針」にお
いて、「へき地学校における教職員の組織の充実と適正な交
流をはかるため、各地域の実態に応じ、都市、平地、へき地
相互間の異動を計画的に推進する。」ことを重点事項にかかげ
各地域間の計画的な交流を推進することとした。
また、へき地派遣制度の推進、管理職への昇任に、へき地
学校勤務を資格要件とするなどの施策もあわせて実施した。
1)へき地交流
ア、地域区分
県内の地域区分を次のとおりとする。
○ 特A地域 旧4市(福島、郡山、若松、平)の学校
○ A地域 市、主要町村の学校
○ B地域 特A、A及びC地域以外の学校
○ C地域 へき地の学校(人事委員会、へき地教育
振興会、教育事務所の各指定学校)
イ、地域交流
(ア)昭和28年度以降の採用者のうち、へき地学校勤務
の経験のない者については、計画的にへき地学校に
転出させる。
(イ) 相当期間へき地学校に勤務し、都市または平地の
学校に転出を希望する者については、優先的に考慮する。
(ウ) へき地学校の多い会津ブロックとの交流を積極的
に推進する。
昭和48年度末へき地交流件数
学校種別\転出入 へき地への転入件数 へき地からの転出件数 A→C B→C 計 C→A C→B 計 小学校 57 102 159 100 136 236 中学校 62 69 131 98 70 168 計 119 171 290 198 206 404
2)へき地派遣制度
へき地校勤務満了教員で、都市又は平地の学校に勤務
する教員のうちから、成績優秀な中堅教員を厳選して計
画的にへき地学校に派遣し、その教育実践をとおしてへ
き地教育の振興に役立てるとともに、当該教員が相当期
間勤務し、その勤務成績が良好の場合は、抜てき人事等
の優遇措置を講ずることとした。相当期間とは3年間で
ある。
(2)へき地学校教職員の経済的優遇策
1) 旅費配分における優遇措置
旅費の配分算定資料として、へき地学校の場合には、
教員1人当たり3,000円の研修旅費をあげ、優遇している。
2) 赴任旅費の支給
4、5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員に
対する赴任旅費の支給
3)へき地手当およびへき地手当に準ずる手当の支給
人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対し、
給料と教職調整額と扶養手当の合計額に、その級地に応
じてそれぞれ4%、8%、12%、16%、20%、25%を乗
じて得た額がへき地手当として毎月支給されている。ま
た、このほかにへき地手当に準ずる手当として4%の支
給がなされている。
4) へき地教職員の特別昇給制度の実施
指定区分\勤務年数 1年以上2年未満 2年以上3年未満 3年以上4年未満 4年以上 5級・4級 6月短縮 12月短縮 3級・2級 3月 〃 9月 〃 12月短縮 1級 3月 〃 6月 〃 9月 〃 12月短縮
(3)へき地学校教職員の配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき地
学校に勤務する教員および職員定員の決定について特別の
考慮を払わなければならない。」とあるが、本県としてもへ
き地学校教職員の定数配置については、小規模校に対する
分校補正等の教員の配置および養護教員、事務職員等の配
置について特別措置を講じている。
3.今後の問題点
(1)へき地学校の教職員の充実を図ること
へき地校に勤務する教職員の年齢構成から見て、中堅教
員が少ないことにかんがみ、このことの解決のため、へき
地検に勤務する教職員の優遇策、地元の受け入れ体制の整
備、へき地派遣制度の推進が必要である。
(2)都市と平地との人事交流を推進すること
高度へき地に勤務する教職員の転出についての優先人事、
およびへき地勤務未経験者についての計画的へき地転入等
をすすめてきたが、今後さらに計画的広域交流を推進する
必要がある。
(3)施設・設備の充実と学習指導法の改善を図ること
教育機器の導入、施設・設備、教材器具等の充実により、
学習指導法を改善し、学習の能率化や個別化を促進し、教
育水準の向上を図る必要がある。
(4)福島県へき地教育振興会との協力をいっそう強化する