教育年報1973年(S48)-201/273page

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保健体育

第1節概要

 保健体育課においては、昭和48年度の県教育委員会の重点

施策として掲げた「健康・体力の増進と安全教育の強化」を

目指して、保健、体育、給食の分野で緊密な連けいをとりな

がら施策の推進を図った。

 その概要は次のとおりである。

  1.学校体育の充実

 体育の授業における指導力を高め、児童・生徒の体力の向

上を図るため、各種実技の講習会の開催、体育研究学校によ

る実践と研究、学校訪問による指導等により、学校体育指導

者の資質の向上を図った。

 特に、本年は、学習指導要領に示された中学校および高等

学校における格技の授業を充実するため、県内5地区におい

て学校体育格技指導者講習会を開催した。さらに中学校・高

等学校のクラブ活動のねらいを確実には握し、その活動を効

果あらしめるため、文部省山川岩之助教科調査官を特別講師

に招へいして、クラブ活動指導者講習会を開催した。

 また、10月3・4日の両日には、保原町において、第16回

学校体育研究大会を開催したが、小・中・高等学校の体育関

係者約400名の参加があり、文部省高田典衛体育官の特別講

演を含めて、本県学校体育向上のため、多大の成果があった。

 2.スポーツ選手の競技力向上

 各種体育大会での県代表選手の成績は、県勢の象徴ともい

われ、県民の士気に及ぼす影響力が大きいので、選手の競技

力向上については長年努力してきたところである。特に本年

は、第29回国民体育大会各季大会スキー競技会が猪苗代町で

開催された関係もあり、県民のスポーに寄せる関心と期待は

一段と高まった。

 この意味で、千葉国体における自転車競技の三連勝、馬術

競技六段飛越の優勝、高校野球軟式の部双葉農高の準優勝、

弓道競技女子選手の入賞、バドミントン競技高校男子の準優

勝、また、県民注目の第29回猪苗代スキー国体における女子

の初の皇后杯得点等、着実にその成果がみられた。

 中でも、猪苗代スキー国体の選手強化を契機に、スキーの

競技力が一段と向上し、アルペンにおける教員の部、平山・

三橋、少年組の佐藤孝二選手、距離における小林史歩を中心

とする少年組、相原・小林の女子組等、今後の活躍が期待さ

れる選手が育ったことは大きな収獲であった。

 また、国際大会では、射撃の五十嵐芳三選手が、日本代表

としてメキシコで開催された世界選手権大会出場。また国体

優勝の一翼をになって活躍した。

   3.社会体育の振興

 県民の体育・スポーツに対する欲求の高まりは、スポーツ

の日常生活化への定着となって現われつつあり、地教委・市

町村体育協会等が中心となって開催する各種スポーツ大会・

行事等に参加する人達が急激に増えている。特に青壮年層に

おけるO・L愛好者が急増していることは注目すべきことで

ある。

 このような県民のスポーツ欲求を背景に第26回県民総合体

育大会は、いわき市を中心に28種目、スポーツ少年団8種目、

ママさんバレーボール、壮年ソフトボール等に総計12,000余

名が参加して実施された。

 さらに、(財)福島県体育協会は、新規加盟団体として、空手

道連盟・アーチェリー協会の加入を認め、計38団体とその門

戸を拡げた。

 また、5月3日から6日まで開催された、復帰記念沖縄特

別国体には59名の選手団を派遣し、スポーツを通しての親善、

交流に大きな役割を果たした。

 4.体育施設の整備

 東日本一の規模を誇る郡山体育館が12月に完成して、1月

19日、盛大な竣工式ならびに記念行事としてバレーボール日

本リーグ郡山大会を開催したほか、各季スポーツの振興を図

るため、国設猪苗代スキー場に48名の宿泊能力を持つスキー

センターを建設した。

 更には、懸案の総合運動公園建設については、建設準備委

員会が発足し、マスタープランの策定に着手した。

 また、既設の県営体育施設をそれぞれの地域の実情に応じ、

地域住民の効果的な活用に供するため、49年度からそれらの

施設が設置されている市町村に管理、運営を委託した。南会

津野外活動センターおよび猪苗代町のスキーセンターは、財

県体育協会に事務委託することにした。

 市町村の施設としては、運動広場4か所、体育館3か所が

新設され、学校体育施設としては、小・中・高校で54のプー

ル、2高校の体育館と10高校の格技場が完成した。

 5.学校給食の普及充実

 本年度の学校給食の実施状況は、本編第7節の1「学校給

食実施状況」の項に記載のとおりであり、完全給食の実施率

は、前年度と比較すると児童・生徒数に対して小学校2.7%

中学校4.1%、学校数に対しては、小学校5.1%、中学校4.7

%とそれぞれ上昇を示し普及が図られている。

 しかし、中学校の実施率は、生徒数に対して54.3%とよう

やく過半数に達した状況であるので、今後なお一層、市町村、

学校およびP.T.A等と連携を密にして、地域の特性に応じ

た完全給食の実施を推進し、「学校教育の一環」として学校

給食が全児童・生徒に行われるよう努力する必要がある。

 給食費については、1食当たり県平均小学校72円30銭、中

学校82円79銭で前年度比17%の増額が行われている。しかし、

本年度下半期における異常な物価上昇は、給食用物資にまで

大きく波及し年間計画に基づく給食運営が非常に困難となり、

年度中途で給食費の改定を行い食事内容の確保につとめた学

校等が生じ経済的には困難な年度であった。


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