教育年報1973年(S48)-262/273page

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  なくなってしまうから、その日の第一番目に来てほしい

  ということである。

  図書館としてはすべてのグループに均等に新刊書が配

  本されるよう配慮をしているが、余りにもその数が少な

  いために、口先の説明だけでは納得されないものと思わ

  れる。

   そのほか、読書グループの指導、連絡懇談会等をもっ

  てほしい意見も、ようやく話し合いによる学習の習慣が

  身についてきたことのあらわれであり、こうしたことに

  対するテコ入れを行うことが読書普及の推進にも結びつ

  くものと考えられる。

   以上のようなアンケートから考えられることは、都市

  活発、郡部おっとりの形が見られ、都市と郡部の生活の

  差ということも読書生活にあらわれている。しかし、意

  見のあるなしは別として、利用そのものにおいては、密

  ・疎の差こそあれ、ひとしく利用されていることであり、

  図書館としては、これらの資料を生かして"地域の実状

  に即した奉仕"を適切に行ってゆかなければならない。

   このことが県民の図書館への信頼ともなり、拡大発展

  につながることと考えられる。

   利用者の希望をまず適確に満たすこと、これが図書館

  のPRである。

 1.移動図書館巡回

年度中途において石油危機という予期しない事態に当面し

たが、幸いその影響もさほど被ることなく、会津方部3コー

ス1回削減ということできりぬけることができた。

 利用総冊数は次ぺージ表〔8〕の示すとおり、43,895冊と

昨年より若干下回っているのはこのためであるが、総巡回に

対する貸出し取扱い冊数においては変りはない。

 また各担当乗務者の判断によって、利用状況を考えて削減、

新設等を行って、利用者側のマンネリを防止し、利用の効率

化を図った。

 2.貸出文庫

 本館においては、絶えず配架図書を更新したことによって、

利用冊数も昨年の2,400冊から一挙に2倍の4,113冊になっ

た。実に一昨年の4倍に当たる訳である。

 一方各分館においては、今年度は一館当たり70冊の新刊配

本ということもあって、利用数ものびてはいない。漸次計画

的に配本の更新を考えて行かねばならない。表〔9〕次ペー

ジ参照

 3.親子読書普及活動

 昨年試みたこの活動も2年目ということで、受け入れてく

れたそれぞれの利用先の積極的な姿勢により、図書館側が期

待した以上の利用を見せてくれたことは喜ばしい。

 その運用のもっとも理想的な形として、県北の伊達郡国見

町の例をあげると、まず公民館長や主事が、子ども達の世話を願

える主婦の内池和子さんに協力を依頼し、この人を中心とし

て、藤田地区の子ども達へ小学校を通じてPR、集まった子

ども達に本より先に人形劇を見せ、読書への導入を図り効果

をあげたことである。

 貸出しは個人宅でもあるので、毎週土曜日の午後とした。

そして最初はその子どもの年齢よりも低い内容の本を選んで

やり、回を重ねるにつれて、自分で選び出せるよう指導助言

を行ったが、2か月もすると子ども達は、自分の興味に合っ

たものを選び出せるようになった。そして、機会をとらえて、

「お話しをきく会」「読んだ本を利用しての紙芝居」等も行

った。一年後は、感想文を書ける子どもがでてきたので、ガ

リ版印刷で会報をつくり、配布したところ、親達も関心を持

つに至った。

 現在まで図書館から借りた本約550冊、利用人員1,050名、

冊数2,300冊ということである。

 このほか町内各学校でも、感想文の記述等、良い効果をあ

げており、他地区からのよい参考事例となっている実状であ

る。

 4.広報・普及事業

 館報"あづま"は5回の発行にとどまったが、最終号の北

日本地区読書普及活動研究集会特集号は、今後各地でめざす

読書活動への適切な事例等も掲載されており、じゅうぶん参

考にしてほしいものである。

 また11月12,13の両日第3回北日本読書普及活動研究集会

が、読書推進運動協議会の後援を得て福島市中央公民館で開

催された。

 記念講演 「子どもの生活と読書」 児童作家 寺村輝夫

 事例発表

 1)私たちの読書グループ

           福島市余目 主婦 島貫久良

 2)親子読書を実施して

           伊達郡国見町 〃   内池和子

 3)福島子どもの本勉強会について

           福島市郷の目 〃   藤田浩子

 4) フランスの児童図書館を訪ねて

           福島市森合  〃   中脇久子

 5) 分科会

  ア 読書活動を推進していくために地域や職場での組織

   づくりと運営はどうしたらよいか

  イ 家庭における子どもの読書はどうしたらよいか

 6) 実技指導

   幼児に対する本の与え方について

    東京・博報児童教育振興会おはなしきゃらばん

 7)参加者 北日本地区図書館関係者、公民館、学校、

  社会教育関係者、母親等140名

   県北地区におけるそれぞれ異った形の事例の発表、ま

  た「おはなしきゃらばん」によるストーリーテリング映

  画、人形劇等、子ども達に対する実演は参集者にとって

  大いに得ることの多かった集会であった。


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