教育年報1974年(S49)-108/303page
(4)本校のへき地学校の概要
本県のへき地学校は極めて多く、人事委員会、県へき地教
育振興会指定のへき地学校を合わせると、県全体の学校数に
対して、小学校は35.1%、中学校は23.1%であり、このほか
に教育事務所指定のへき地校が、小学校14校、中学校5校あ
り、これを含めれば、本県のへき地学校は実に33.7%になる。
また、へき地学校は、会津地方に多く、次いで阿武隈山系
に分布しており、その多くは小規模校と分校である。
児童・生徒数について見ると、県児童・生徒数に対して、
小学校児童数は9.4%、中学校生徒9.6%に当たり、教職員
数では、16%の教職員数がへき地学校に勤務している現状で
ある。
2 へき地教育の振興策
へき地の学校は、概して小規模校であり、かつ分校も多い
ため複式学級が多い。したがって教育条件の改善充実を図る
とともに、へき地学校に優秀な教職員を確保することが緊要
である。
(1)へき地教育充実の人事行政
「昭和49年度末小・中学校教職員人事に関する方針」にお
いて、「学校教育の充実と教職員の勤務の公正を期するため、
各教職員が在職期間を通じて都市、平地、へき地等の勤務経
験を持つよう計画的な交流を推進する。」ことを重点事項にか
かげ、へき地と各地域間との計画的な交流を推進することと
した。
また、へき地派遣制度の推進、管理職への昇任に、へき地
学校勤務を資格要件とするなどの施策もあわせて実施した。
1) へき地交流
ア、地域区分
県内の地域区分を次のとおりとする。
○特A地域 旧4市(福島、郡山、若松、平)の学校
○A地域 市・主要町村の学校
○B地域 特A、A及びC地域以外の学校
○C地域 へき地の学校(人事委員会、へき地教育
振興会、教育事務所の各指定学校)
イ、交流基準
(分教員については、その在職期間中に2地区以上に
勤務し、その間、へき地の学校に5年(人事委員会
指定の1級地については4年、2、3、4、5級地
については3年)以上、勤務することを目標とする。
(イ)昭和28年度以降の採用者のうち、へき地学校勤務
の経験のない者については、計画的にへき地学校に
転出させる。
(ウ)相当期間へき地学校に勤務し、都市又は平地の学
校に転出を希望する者については、優先的に考慮す
る。
(エ)へき地学校の多い会津ブロックとの交流を積極的
に推進する。
昭和49年度末へき地交流件数
転出入 へき地への転入件数 へき地からの転出件数 学校種 A→C B→C 計 C→A C→B 計 小学校 53 86 139 83 124 207 中学校 49 61 110 83 47 130 計 100 147 249 166 171 337
2)へき地派遣制度
へき地校勤務満了教員で、都市又は平地の学校に勤務
する教員のうちから、成績優秀な中堅教員を厳選して計
画的にへき地学校に派遣し、その教育実践を通してへき
地教育の振興に役立てるとともに、当該教員が相当期間
勤務し、その勤務成績が良好の場合は、抜てき人事等の
優遇措置を講ずることとした。相当期間とは3年間であ
る。
(2)へき地学校教職員の経済的優遇策
1) 旅費配分における優遇措置
旅費の配分算定資料として、へき地学校の場合には、
教員1人当り4,000円の研修旅費を支給し、優遇してい
る。
2)赴任旅費の支給
4、5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員に
対する赴任旅費の支給
3)へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給
人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対し、
給料と教職調整額と扶養手当の合計額に、その級地に応
じてそれぞれ4%、8%、12%、16%、20%、25%を乗
じて得た額が、へき地手当として毎月支給されている。
また、このほかにへき地手当に準ずる手当として、4%
の支給がなされている。
4) へき地教職員の特別昇給制度の実施
勤務年数
指定区分1年以上 2年未満 2年以上 3年未満 3年以上 4年未満 4年以上 5級・4級 6月短縮 12月短縮 3級・2級 3月短縮 9月短縮 12月短縮 1級 3月短縮 6月短縮 9月短縮 12月短縮
(3)へき地学校教職員の配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき地学
校に勤務する教員及び職員の定員の決定について特別の考慮
を払わなければならない。」とあるが、本県としてもへき地学
校教職員の定数配置については、小規模校に対する分校補正
等の教員の配置及び養護教員、事務職員等の配置について特
別措置を講じている。
3 今後の問題点
(1)へき地学校の教職員の充実を図ること
へき地校に勤務する教職員の年齢構成から見て、中堅教員
が少ないことにかんがみ、このことの解決のため、へき地校
に勤務する教職員の優遇策、地元の受け入れ体制の整備、へ