教育年報1974年(S49)-147/303page
制・通信制教育は、近年そのあり方について検討・改善が加
えられつつある。
すなわち、全日制高校への進学率は毎年上昇しているが、
定時制への進学は減少の一途をたどっており、更に都市部の
夜間高校に集中する傾向が見られる。また、通信教育は、独
特の教育形態を持っているのめ、情報化社会に適合する教育
として、単に高等学校教育の領域からだけでなく、生がい教
育の観点からも見直されている。
このような実態を踏まえ、ここに学ぶ必要のある勤労青少
年や成人のために、定通教育を担当する教員が教育内容や教
育方法を研究し、その資質を向上するため次の事業を行った。
1 高等学校定時制・通信制教育研修会
(1)目 的
定時制・通信制教育の諸問題について研究協議を行い担
当教員の資質の向上を目指し、定通教育の充実を図る。
(2)期 日 昭和49年5月9日(木)〜11日(土)
(3)会 場 福島県教育センター
(4)講師・講演題
「定時制教育の現状と今後の問題について」
全国定時制教育研究協議会理事長 織田富勝
(5)部会・研究内容
第1部会 「管理運営・通信制」
、1)定通併修、技能連携、多部制及び独立校舎の創設な
ど、多様なあり方にかかわりながら、定通教育が今後
どのような方向においてその充実の方策を見出すべき
かについて研究協議した。
2)通信制において、学習中断の原因は、個人ごとに千
差万別であり、定通教育において最も必要とされるの
は、学習指導、生徒指導の両面を総括した個別指導で
あることに視点をおき、実践例をもとにして研究協議
した。
第2部会 「学習指導・生徒指導」
1)夜間定時制の現状の中で、学習意欲を高め、学力を
向上させるため、個別指導を重視し、指導に当たって
の教材、教具の配慮とともに、必修クラブ実施に当た
っての問題点について研究協議した。
2) 定時制生徒は有職者であるため、卒業時における進
路指導はある程度限定されているが、在学中における
職業生活の相談が多く、また大学進学者もおるので、
この実態と今後のあり方について研究協議した。
第3部会 「昼間定時制」
1)大きな転換期を迎えている昼間定時制高校について
独自な立場において、管理運営並びに生徒指導の両面
から、そのおかれている現状と今後の進むべき方向を
研究協議した。
2 第23回東北地区高等学校定時制
・通信制教育振興総会並びに第
26回東北地区高等学校定時制・
通信制教育研究協議会
(1)趣 旨
高等学校定時制・通信制教育について、東北各県相互の
理解を深め、現状及び将来における種々の問題について研
究討議を重ね、今後の振興を図る。
(2)期 日 昭和49年6月17日(月)〜19日(水)
(3)会場及び参加人員
福島市市民福祉会館 約350名
(4)部会及び分科会
○ 管理運営部会(第1分科会)
○ 学習指導部会(第2分科会)
○ 生徒指導部会(第3分科会)
○ 昼間定時制部会(第4分科会)
○ 通信制部会(第5分科会)
なお、本県における現状説明を高等学校教育課指導主
事鈴木利明が行ない、また次のとおり研究発表をした。
「形態とその運営における問題点と対策」について
郡山工業高等学校教諭遠藤秀泰、「必修クラブ実施に伴う問
題点と今後の解決策」について会津第二高等学校教諭
吉武稔、「有職者の進路指導の実態と問題点」について
平工業高等学校教諭瀬谷正一、「昼間定時制高校の現状、
問題点及び今後の進路」について安達東高等学校教諭原田武臣、
「通信制課程における制度・形態並びに生徒の
学習習継続の維持させるための指導対策」について
会津中央高等学校教諭秋山仁平がそれぞれ研究発表をした。
3 全国高等学校定時制・
通信制教育研究協議会
(1)目 的
高等学校の定時制及び通信制教育に関する諸問題につい
て研究協議を行い、もって今後の勤労青少年教育の振興に
資する。
(2)主 催 文部省
(3)期 日 昭和49年9月12日(木)〜13日(金)
(4)会 場 国立教育会館
(5)部会及び研究協議議題・出席者
第1部会(行政部会)
定通教育の諸問題のうち、主に次の点について研究協
議を行った。
1) 就学を阻害する原因とその対策について
2) 定通併修実施上の問題点について
3) 技能連携運営上の問題点について
高等学校教育課程指導主事 鈴木悦郎
第2部会(定時制部会)
定時制課程における学習指導に関し、次の事項につい
て研究協議を行った。
1) 生徒の学習意欲を高めるための方策について
2) 視聴覚教材の利用上の問題点について