教育年報1975年(S50)-114/303page
(4) 本県のへき地学校の概要
本県はへき地学校が多く、人事委員会、県へき地教育振
興会指定のへき地学校を合わせると、県全体の学校数に対
して、小学校は34.5%、中学校は22.6%であり、このほか
に教育事務所指定のへき地校が、小学校14校、中学校5校
あり、これを含めれば、本県のへき地学校は実に33.2%に
なる。
また、へき地学校は、会津地方に多く、次いで阿武隈山
系に分布しており、その多くは小規模校と分校である。
児童・生徒数について見ると、全児童・生徒数に対して
小学校児童数は7.8%、中学校生徒数は8.2%に当たり、
教職員数では14.3%の教職員がへき地学校に勤務している
現状である。
2 へき地教育の振興策
へき地の学校は、概して小規模校であり、かつ分校も多い
ため複式学級が多い。したがって教育条件の改善充実を図る
とともに、へき地学校に優秀な教職員を確保することが緊要
である。
(1) へき地教育充実の人事行政
「昭和50年度末小・中学校教職員人事に関する方針」に
おいて、「学校教育の充実と教職員の勤務の公平を期するた
め、各教職員が在職期間を通じて都市・平地・へき地等の
勤務経験をもつよう計画的な交流を推進する」ことを重点
事項にかかげ、へき地と各地域間との計画的な交流を推進
することとした。
また、へき地派遣制度の推進、管理職への昇任に、へき
地学校勤務を資格要件とするなどの施策もあわせて実施し
た。
1) へき地交流
ア、 地 域 区 分
県内の地域区分を次のとおりとする。
○ 特A地域 旧4市 (福島、郡山、若松、平)の学校
○ A地域市・主要町村の学校
○ B地域特A、A及びC地域以外の学校
○ C地域 へき地の学校(人事委員会、へき地教育
振興会、教育事務所の各指定学校)
イ、 交 流 基 準
(ア) 教員については、その在職期間中に2地区以上に
勤務し、その間、へき地学校に5年(人事委員会指
定の1級地については4年、2、3、4、5級地に
ついては3年)以上勤務することを目標とする。
(イ) 昭和28年度以降の採用者のうち、へき地学校勤務
のない者については、計画的にへき地学校に転出さ
せる。
(ウ) 相当期間へき地学校に勤務し、都市又は平地の学
校に転出を希望する者については、優先的に考慮す
る。
(エ) へき地学校の多い会津ブロックとの交流を積極的
に推進する。
昭和50年度末へき地交流件数
学校種別/転出入 へき地への転入件数 へき地からの転出件数 A→C B→C 計 C→A C→B 計 小学校 54 91 145 103 129 232 中学校 38 68 106 67 50 117 計 92 159 251 170 179 349
2) へき地派遣制度
へき地学校勤務満了教員で、都市又は平地の学校に勤
務する教員のうちから、成績優秀な中堅教員を厳選して
計画的にへき地学校に派遣し、その教育実践を通してへ
き地教育振興に役立てるととともに、当該教員が相当期
間勤務し、その勤務成績が良好の場合は、抜てき人事等
の優遇措置を講ずることとした。相当期間とは3年間で
ある。
(2) へき地学校教職員の経済的優遇策
1) 旅費配分における優遇措置
旅費の配分算定資料として、へき地学校の場合には、
教員1人当り4,000円の研修旅費を支給し、優遇してい
る。
2) 赴任旅費の支給
4、5級の高度へき地の学校に赴任する新採用教員に
対する赴任旅費を支給している。
3) へき地手当及びへき地手当に準ずる手当の支給
人事委員会指定のへき地学校に勤務する教職員に対し
給料と教職調整額と扶養手当の合計額に、その級地に応
じてそれぞれ4%、8%、12%、16%、20%、25%を乗
じて得た額が、へき地手当として毎月支給されている。
また、このほかにへき地手当に準ずる手当として、4
%、へき地学校長期勤務手当の支給がなされている。
4) へき地教職員の特別昇給制度の実施
指定区分/
勤務年数1年以上
2年未満2年以上
3年未満3年以上
4年未満4年以上 5級・4級 6月短縮 12月短縮 3級・2級 3月短縮 9月短縮 12月短縮 1級 3月短縮 6月短縮 9月短縮 12月短縮
(3) へき地学校教職員の配置に対する特別措置
へき地教育振興法第4条第2項に「都道府県は、へき地
学校に勤務する教員及び職員の定員の決定について特別の
考慮を払わなければならない。」とあるが、本県としてもへ
き地学校教職員の定数配置については、小規模校に対する
補正等の教員の配置及び養護教員、事務職員等の配置につ
いて特別措置を講じている。
3 今後の問題点
(1) へき地学校の教職員の充実を図ること。
へき地学校に勤務する教職員の年齢構成からみて、中堅
教員がすくない。このことの解決のため、へき地校に勤務
する教職員の優遇策、地元の受け入れ体制の整備、へき地