教育年報1975年(S50)-280/303page
第3節 館 内 奉 仕
一般の利用については、昨年と特に変った数字はなく若干
下回っているが、これは一般の利用者にとってもっともほし
い新刊書特に文学、時事的なものが、需用に応ずるまでに至
らなかったことからではないかと考えられる。そういった意
味で5月19日(月)に利用アンケート調査を実施したが、次のよ
うな意見が出されている。
(1) 実施対象者
136人 (入館者313人 回収121人 回収率43%)
(2) 実施対象者内訳
勤め人 43人 35.5%
自営業 4 3.3
主 婦 3 2.5
無職 12 10.0
学生 39 32.2
生徒 20 16.5
計 121 100.0
(3) 調査内容(図書館に対する希望・意見)
1) 開閉館時間
○ 開閉館時間を延長してほしい。 12人
2) 資料及び貸出
○ 新刊書の増冊 14
○ 新聞雑誌の増加 4
○ 貸出冊数の増加、同期間の延長 7
3) 施設設備
○ 施設設備の改良 19
○ 閲覧席の増加、新設 12
4) そ の 他
○ 読書相談、教育相談の実施 3
○ PRをせよ 2
○ 利用してよかった
A コピーサービス 1
B 求めた資料があった 3
C 職員がよく相手になってくれる 7
というような結果がでている。開閉館時間、新刊書、施設
等一挙に解決のつくことばかりではなく、職員としては、
現環境をふまえて、利用者の要求を満たすよう今後も極力
努力する所存であるが、現状では資料費、施設の老朽、狭
隘化などこれらの要求をかなえることはかなりむづかしく
なってきていると考える。
1 利 用 状 況
利用状況は昨年に比し、いくらか減っているが、大きな変
化は見られない。公開図書室の利用者が減った反面、2階調
査相談室の方は増えてきている。資料利用の記入されたもの
は1日平均119人となっているが、総入館者数は5月半ばか
ら8月半ばまで正確に数えたところ、平均して450人が入館
している。4分の3は全然資料を利用しないかというと、そ
うではなく、これらのうち約半数は、新聞、雑誌、あるいは、
参考図書等を利用していることになっている。館外個人貸出
登録者数も、昨年とほぼ同じで、桜の聖母学院の中・高校生
が移転のため、来館者がほとんど見られなくなったが、総数
において変りはなかった。館外の登録者は県内といっても、
福島市在住者が大半を占め、20万人に対する4,000人は多い
とは言い得ないかも知れないが、川崎市にある神奈川県立川
崎図書館が10,500人という実情から比べれば、まずまずとい
うところであろう。しかし、東京都下近辺の各市立図書館の
近年のこれらの利用者の増加は目をみはるものがあり、それ
らは単なるPRではなく、真に地域住民の要求する資料を大
量にそろえるといった姿勢が利用の増大につながってきてい
るのであり、市立県立の相違等をうんぬんする前に、公立図
書館としての方途のあり方をとり入れるべきではないかと思
われる。詳細な数字は〔表1〕以下のとおりである。
2 調査相談業務
単なる図書の貸出しから、自己の調査研究のために図書館
を利用するといったほんとうの図書館利用といわれるもので
コピーサービスとあいまって、年々利用者が増大し、職員も
その応待にいとまない実情であり、利用者直接の来館もさる
ことながら、電話、文書等による利用者に代っての職員の業
務が著しく多くなってきている。
これらの応待には、いかなる資料がいつか役に立つときが
あるかも知れなく、資料については、入手したものはすべて
整理のうえ、保存される訳であるが、収容する書庫もいっぱ
いになり、或る程度処分をしなければならなくなってきてお
り、その是非をめぐって、将来のことを考えながら、検討し
ている。しかし、簡単に現状だけで処理することはさけなけ
ればならないと考える。
相談業務に関しての利用状況は〔表4・5・6・7〕であ
る。
3 展 示 会
今年度は、郷土作家展といったようなことで、次の三作家
の図書、原稿、遺品等の展示を行った。
東野辺 薫 6月2日〜8月29日
斎藤 利雄 9月11日〜11月15日
天田 愚庵 12月8日〜1月30日
東野辺、斎藤両氏については、遺族の好意で、芥川賞の時
計、未発表の原稿、その他数々の貴重な品を借用でき、また
愚庵についてはいわき市の中柴、鈴木両氏の配慮でこれまた
貴重な品を展示することができ、来館者の目を十分に楽しま
すことができた。
4 入館者実態調査
5月19日から8月16日にわたって実施した実態を平日と土
曜日とに分けて、その平均値を求めたものが、表8〜9であ
る。1時間毎に入退館、在館、資料利用者等を出して見ると
平日と、土曜日とでは、そのピーク時が土曜日が早くなって
きていること以外は大きな差は見られない。"在室者数"の
3階は学習を主とした学生・生徒であり、1〜2階は資料利
用者と見なしてよい。在室者の約半数は新聞雑誌、参考図書
等を利用している。資料利用者は記入されたものだけである。