教育年報1977年(S52)-217/357page

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文 化

 第1節 概     要

 本年は県政二世紀のスタートの年にふさわしく、文化行政

および県民文化の振興が県政の焦点となり、県民の文化への

関心がいっそう高まり、その活動も活発化した特筆すべき年

度であった。県政においても「調和のとれた活力ある県政」

を基本理念に経済の安定成長期の県内状況を踏まえて、県民

の心にうるおいを呼び戻す施策として、文化の向上を重視し

県政総合調整担当の企画開発部と本庁との共管のもとに、「文

化を考える県民会議」が設置されたことは、文化行政進展に

大きな成果をもたらした。43名の委員は、全体会と部会を通

じて、県民文化の実態を踏まえて後世に引き継ぐべき文化や

文化の創造及びそれらの条件整備について考察し、県民文化

の基盤に関わる行政を文化的視点から見直し、更に個人・家

庭・団体並びに行政に対する提言を行った。これらの提言は

県長期総合計図及び第2次長期総合教育計画の策定に際し、

反映され、提言の具体化等は、新年度において、新組織で検

討されることとなった。かくして、新しい県民文化づくりは

県政の重点として位置づけられ、施策の充実が期待されるに

至った。

 県や県民の文化志向の高まりに伴い、市町村、文化団体、

報道機関での文化的行事も活発となり、県民の参加する文化

活動は、いっそう盛んになった。

 今年度は、県教育委員会の重点施策のひとつに「芸術文化

の振興」をかかげ、本県の伝統的文化との調和に配慮しなが

ら、芸術文化活動の普及と向上に努め地域風土に即した県民

文化の創造活動伸長のための諸条件の整備に努めた。その主

なものは次のとおりであった。

 1 芸術文化活動の普及と向上

(1)芸術鑑賞の機会拡充

  従来の巡回美術展を「県展移動展」とし、新たに彫塑、

 工芸美術部門の作品も加え、六会場に拡充して実施した。

 また、特別展「日本伝統工芸展」を開催するとともに、新

 規「県収蔵美術品巡回展」を実施した。更に、本県初の「日

 展・福島展」を福島民報社と共催したほか、「青少年劇場

 特別公演」 ((財)日本青少年文化センター、

 (財)県文化センター共催)を県南方部へき地校で実施した。

(2)参加する文化活動の促進

  国の「参加する文化活動費補助」 (新規)を会津若松市

 に導入し、県も奨励助成した。また新たに「高校音楽祭」

 を開催し高校生の文化活動の高揚に努めた。「県芸術祭」

 は県南方部全市町村共催のもとに開催、特に、主催方部持

 回り方式、市町村の経費負担等開催のしかたについて共通

 理解が得られた。また、詩の県組織団体結成の萌芽や、

 県歌人会共催の短歌祭の実現等の成果があった。

(3)創作活動の普及・向上

   「県文学賞」の応募数が最高を記録し、青少年の応募が

 積極的になった。

(4)文化施設の整備促進

  会津若松市文化センター建設事業を促進し、9月着工、

 53年10月竣工することになった。

  県文化センター事業補助を増額し、事業拡充及び、各地

 開催を促進するとともに、新規「地域文化振興協力事業」

  (指導者派遣)を促進した。

(5)そ の 他

   「北海道・東北地区著作権講習会」を開催したほか、

 西独フランクフルト女声合唱団県内公演、天津歌舞団公演、

 スイスアルペン民族芸術団公演、浮世絵名品展等来日文化行事

 を後援した。

  また、「文化を考える県民会議」は43人の委員で設置さ

 れ、第1回(6月15日)、第2回(9月22日)、第3回(分

 科会10月31日、11月1日、11月2日)、第4回(1月24日)

 に会議を開催し、「福島県の文化振興について」(提言等)

 がまとめられた。

 2 文化財の保護

(1)文化財指定の促進

  文化財を保護するための指定調査をはじめ、文化財基礎

 調査を実施し、県内に所在する文化財の実態のは握に努め

 るとともに、市町村・県・国指定の促進を図った。また、

 市町村文化財保護条例の設置と適正な運用の促進について

 指導した。

(2)指定文化財の管理、保存の強化

  文化財パトロール事業を実施し、指定文化財及び遺跡の

 実態は握と保全に努めるとともに、文化財の保存修理、防

 災、環境整備等の事業に対する助成を充実し保護施策の強

 化を図った。

  また、広く県民が直接、文化財に対する理解を深め、愛

 護思想の高揚を図り、文化財をとおして、郷土を愛する心

 と、住民の連帯感をはぐくむため、文化財研修バスの運行

 県民俗芸能大会の開催、文化財愛護モデル地区の指定など

 文化財愛護思想の高揚に努めた。

(3)開発に対応する埋蔵文化財包蔵地の周知と保存の強化

  諸開発事業に対応し、埋蔵文化財包蔵地の保存を図るため

 には、事業に先行して包蔵地の所在を確認し、それを周知

 させることがたいせつである。本年度は、国営総合農地開

 発事業に関し、包蔵地の所在確認とその範囲確認を含む分

 布調査を実施し、事業者側との再三の協議により、地区除

 外、工法変更等の措置をとり包蔵地の保存に努めた。


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