教育年報1977年(S52)-235/357page
を実施し、条里制に関連あると思われる溝を検出した。
また、国見町矢ノ目地区において5C後半の祭祀遺跡を
発見し、おびただしい祭具を検出した。
・ 国営総合農地開発事業母畑地区
本年度事業施行地域内に存する東村赤根久保、佐平林
谷地前Cの3遺跡4地点の発掘調査を実施し、奈良時代
から平安時代にかけての竪穴住居址と平安時代の掘立柱
建物跡が検出された。
ウ 市町村の遺跡発掘への協力
記録保存のための発掘調査を実施した市町村に調査員
を派遣した。主な遺跡は三貫地遺跡(新地町)、中悪戸遺跡
(石川町)、三斗蒔遺跡(平田村)、薊ノ内遺跡
(長沼町)、夏窪遺跡(梁川町)、三芦城址(石川町)、
泉廃寺跡(原町市)、広谷地遺跡(葛尾村)である。
エ 開発機関との保存協議
国営総合農地開発事業母畑地区の事業施行に伴う埋蔵
文化財包蔵地の取り扱いについて、事業者側の東北農政
局母畑開拓建設事業所、県農地整備課との協議をし、分布調
査、試掘調査の結果に基づいて工法変更、設計変更等に
より遺跡の保存を決めた。更に、東北電力株式会社等と
も埋蔵文化財包蔵地の取り扱いについて協議を重ねてい
る。
(4)埋蔵文化財保護体制充実のための研修
1) 国の埋蔵文化財センターでの研修参加
ア 埋蔵文化財発掘技術者研修(一般課程)
7月25日~8月27日
小豆畑毅(県立石川高校教諭)
イ 埋蔵文化財発掘技術者専門研修
・遺跡調査課程
5月9日~5月28日
柴田俊彰(福島市教育委員会社会教育課主事)
・分布調査課程
11月11日~11月19日
西徹雄(県教育庁相双教育事務所社会教育主事)
・遺跡保存整備課程
12月15日~12月21日
日下部善己(県教育庁文化課文化財主事)
・遺跡測量課程
2月13日~3月25日
佐藤満夫(郡山市教育委員会社会教育課主事)
2) 第5回福島県埋蔵文化財発掘技術講習会
8月1日~8月10日
参加人員 10人
実習場所 郡山市中央公民館、郡山市柿内戸遺跡
(5)埋蔵文化財保護の普及活動
・考古資料 考古解説用パネル貸し出し
・福島のあけぼの展
9月28日~10月5日、福島県教育委員会
・第8回福島市西方部総合文化祭
11月12日~13日、福島市西公民館
(6)東北新幹線遺跡発掘調査
東北新幹線の建設によって、破壊消滅する遺跡の発掘調
査を日本国有鉄道からの委託によって、次のとおり実施し
た。
遺 跡 名 時 期 種 別 所 在 地 期 間 発掘担当者 成 果 柿内戸遺跡 縄文・奈良~平安 集落址 郡山市富久山町福原 4.18~9.8 生江芳徳 青銅製か帯金具巡方1個竪穴住 菅原文也 居内より出土 柿内戸B遺跡 奈良~平安 〃 〃 9.9~11.30 生江芳徳 竪穴住居址の検出 御山千軒遺跡 奈良~平安 〃 福島市仲屋敷 4.18~12.21 木本元治 集落址端部の沼地状湿地帯から 多量の木製品出土 (7)県内の遺跡発掘調査
文化財保護法による届け出のあった発掘調査のうち、東北
新幹線関係を除いたものは、次のとおりである。前年度に
比し2件の減少になっているが、発掘調査面積の増大と長
期間におよぶ傾向がみられる。
方部別・原因別発掘調査届出件数
方部原因 県北 県中 県南 会津 南会津 相双 いわき 計 農業開発 2 14 2 5 ― 1 ― 24 農業開発(個人) ― 2 ― ― ― 1 ― 3 道路建設 2 ― ― 2 ― ― ― 4 土石採取 ― ― ― ― ― ― 1 1 宅地造成 ― ― ― 1 ― 1 ― 2 市町村史調査 1 ― ― 1 2 ― ― 4 保存調査 ― 2 1 ― ― 1 ― 4 その他 ― 3 1 ― ― ― 1 5 計 5 21 4 9 2 4 2 47