教育年報1977年(S52)-307/357page
第9章 福島県教育センター
第1節 概 要
福島県教育センターは、本県の学校教育の充実と振興を図
るため、県内における教育関係職員の研修並びに教育に関す
る専門的・技術的事項の調査研究を行う場として、また、教
育研究のための図書及び研究資料センターとしての役割を果
たすため、昭和52年度は次の諸事業を進めてきた。
(1)教育関係職員の研修
教育センターが行う研修は、教育関係職員の専門的職能
と資質の向上を図るために、県教育委員会が行う研修計画
のうち、学校経営、教育研究法、各教科、生徒指導、特別
活動、情報処理教育及び教育相談に関するものであった。
昭和52年度は86講座を開設し、受講者2,209人が全員宿泊
して研修を行った。研修講座は、講義、協議、演習、実習
観察、実験等を通して、専門的内容を深めるとともに、宿
泊研修及び実践体験を通じ、親和を深め合い成果をおさめ
た。
また、義務教育課、高等学校教育課、養護教育室、保健
体育課等の主催による各種の研修会が34回行われ、2,850
人が、教育センターの施設を利用して宿泊研修を行った。
(2)教育に関する調査研究
本県の当面する教育的課題の解決及び学校における教育
実践上に役立つ問題を取りあげた。学校経営については、
「学校経営改善に関する研究」、児童・生徒の能力開発に
関しては、「教科における学習能力の発達と授業に関する研
究」及び学習成果に着目した「福島県診断標準学力検査問
題の研究」と「学習指導の改善に関する研究」などを進め
それぞれの研究成果を紀要又は報告書として刊行し、各教
育機関・学校等に配布して普及を図った。
(3)情報処理教育に関する研修及び実習
教育センターに設備されている中型電子計算機及びNC
工作機械を使って情報処理教育講座を開設し、650人が受
講したほか、高等学校教員延べ112人の自主研修を受け入れ
更に生徒延べ3,973人の実習が年間を通じて行われた。
(4)教育相談事業
幼児・児童・生徒の教育上の諸問題について、学校及び
親からの相談に基づき、専門家の臨床心理学やその他科学
的理論・方法(遊戯療法、カウンセリング等)によって、
診断、指導、治療、橋正等を行い、解決への援助を図って
きたが、相談件数は前年度をはるかに上回って、年間延べ
1,062人に達した。
(5)教育図書・資料の収集・整理及び活用
教育に関する情報、資料を県内各学校に提供するため、
教育図書、教育資料を広く収集し、これを整理、保管して
当センターの研修生を中心にその利用に供した。
また、所報、紀要等により研究成果を提供して、学校や
教育関係者の研究活動の援助に努めた。
第2節 教育研究
1 学校経営改善に関する研究
(1)研究の視点
学校経営は、年々その内容が高度化し、機構も複雑にな
り、加えて児童・生徒の質的変化も著しい。本年度は昨年
度との関連で、学校経営の中核であり、教育活動展開の基
盤である学年・学級経営について取り上げ、それに関する
研究資料の提供や検討を行った。
(2)研究の内容
1) 学年・学級経営に関する調査研究
2) 道徳教育に関する研究
(3)研究概要
1) 学年・学級経営に関する調査研究
教育革新の動きは、学年・学級経営についても、いわ
ゆる「閉ざされた学級」的経営から学級の集合体として
の「学年」経営への移行を重視し、学年経営が学校経営
における重要な課題として、これに対し積極的な取り組
みを要求している。
学年経営は学校経営の実践的展開であり、その目指す
ところが学校の教育目標の具現化にあるとき、学校経営
の実態をは握し、学校が現在抱えている学年経営上の問
題点をとらえることは、望ましい学校経営を志向する上
で重要なことと思われる。
本調査は望ましい学年・学級経営に焦点をあて、下記
の要領で研究を進めた。
・調査対象…県下小・中学校の校長及び学年主任
・調査校数…県下の小学校100校
県下の中学校100校 計200校
地区別・規模別・層別により抽出
・抽出校の選定条件…小学校12学級以上
中学校9学級以上
・調査内容
ア 学年主任の性別・年齢別構成及び学年会・学年主
任会の校務分掌組織上の位置づけ
イ 学年会・学年主任会開催の時と機会、回数、所要
時間、場所、出席者
ウ 学年会の内容及び進め方、学年会記録簿
エ 学 年 団
オ 学校教育目標の学年への位置づけ
カ 校長が学年主任に望む職務及び校長として期待す
る学年経営
キ 学年・学級経営の問題点及び学年経営充実のため
の方策
研究協力校として2校(福島市立渡利小学校・渡利中
学校)を委嘱し、研究成果については「研究紀要」をも
って報告した。