教育年報1977年(S52)-308/357page
2) 道徳教育に関する研究
51年度「道徳教育全体計画の改善」の研究をしたが52
年度は学校の全教育活動の中で養う道徳性及び特設の道
徳の時間でねらう道徳性の評価のあり方について研究し
た。
2 教科における学習能力の発達と授業
に関する研究
(1)研究の視点
この研究は、児童・生徒の学習能力開発の一環として調
査研究したものである。本年度は3年次計画の最後の年と
して51年度に引き続き、児童・生徒の学習能力が授業を進
めていく中で、どのような形成過程をとるかをさらに究明
するために、従来の学習方式を生かしながら、指導のたし
かめをどう行い、どのように生かすかという観点から研究
を進めた。
(2)研究内容と方法
小学校の2教科(3年生国語・6年生社会)を対象にし
て、主として実際の授業の面から、当面の学習において伸
ばしたい能力と、先行経験によって得られた前提能力の両
面を考え、学習活動を通して伸びつつある能力や、伸びな
やんでいる児童・生徒の学習能力の実態や問題点を究明し
た。
1) 前提となる能力の研究
2) 学習過程における子供の反応に即した指導の方策の研
究
3) 形成的・総括的評価のあり方についての研究
4) 教科における到達度目標設定の研究
5) 研究協力員(福島市立第三小学校・同森合小学校)に
よる実証授業
(3)研究の概要
1) 国語科
文章構成能力を小学校3年「手紙文」の教材をもとに
して「段落ごとにまとめる能力」の観点から授業を通し
て追求した。
研究の内容は次のとおりである。
・事がらを段落ごとにまとめて書く場合、児童がつまず
く困難点を明らかにし、それに対する指導の研究
・文章を書く場合の構成メモの指導
・授業過程における「たしかめ」の研究
授業前、授業展開過程、教材終了時、単元・学期終
了時に行う評価の相互の関連と、各々の評価独自の機
能を明らかにし、本年度は主として授業展開過程にお
ける評価のあり方について研究した。
2)社会科
資料活用能力の効果的な評価のあり方を、小学校6年
の授業を通して追究した。
研究の内容は次の通りである。
・指導過程の中で「望ましい資料」 「資料提示の機会」
についての研究
・資料活用能力の評価のあり方の研究
評価の観点とその方法
3 福島県診断標準学力検査問題の研究
(1)研究の視点
当教育センターの学力検査問題を継続して検討しながら
県内の小・中学校児童・生徒の学力の実態をは握して、そ
の変容をとらえ、教育課程や学習指導改善のための資料と
する。
特に今年度は、新教育課程実施に対応するための学力テ
スト問題の全面改訂と、テスト所要時間40分の問題作成を
行った。
(2)研究内容と方法
1) 福島県診断標準学力検査問題の研究
ア 国語・算数科について小学校4・5・6学年用の問
題を作成し、県下小学校50校4,000人を地域区分A・
B・Cの各層より抽出して、標準化のための予備テス
トを行った。
イ 社会・理科については同じく小学校4・5・6学年
用の問題を作成し、県下小学校より地域区分A・B・
Cの各層より14校抽出し、検査問題の妥当性検討のた
めの第一次予備テストを実施した。
2) 福島県診断標準学力検査の実施
小学校第6学年の課程終了時における児童の学習の
習得状況をは握するため、中学校1年生を対象に国語
・算数の2教科で生徒数1,000名を地域区分A・B・
Cの各層より24校抽出し実施した。データ処理にはコ
ンピュータを使用し、教科指導の手がかりを究明した
結果は報告書による。
4 教育相談の基礎的研究
(1)研究の視点
教師の教育相談はどのような態度で、実践されているか
の具体的な状況を知るため、幼稚園、小学校・中学校・高
等学校の教師に、自作した「スクール・カウンセラー・テ
スト」を行い、それぞれの場面における反応の実態をは握
し、教師の相談に取り組む態度の概要をとらえることを
目的として実施した。
(2)調査の方法
1) 調査対象
昭和52年度教育センターの各種講座受講者660名及び
郡山女子大学短期大学部保育科学生40名の協力を得て、
計700名を対象とした。
2) 調査内容
調査は、質問紙法により実施したが、その内容は次の
とおりである。
ア 設定された相談場面における相談態度の傾向
イ 学校における相談活動の実態
(3)結果の考察
1) 教育相談を行う上で最もたいせつであるといわれてい
る、理解的態度をとる教師がきわめて少ない。
2) 叱責よりもほめてやることの基礎となる支持的態度も
不足している。
3) 早期幼児教育をあずかる教師集団の教育相談への理解
と関心を深めることが急務である。