教育年報1978年(S53)-055/372page
第11節 訴訟事件
昭和54年3月31日現在、県教育委員会所管の争訟事件は、
訴訟事件として裁判所に係属中のもの5件、県人事委員会に
不利益処分審査請求事件として係属中のもの7件、計12件で
ある。
現在、係属中の訴訟事件、不利益処分審査請求事件の概要
及び進行状況は以下のとおりである。
なお、昭和36年以来争われてきた教育課程の改訂をめぐる
教職員の一連の妨害行動に関する昭和36年行第9号懲戒処分
取消請求事件は、本年3月7日実に18年ぶりに結審した。
また、勤務評定実施に関する昭和34年行第2号懲戒処分事
件についても近々結審の見込みである。
その他昭和53年度において解決した事件は、聾学校の高等
部廃止等に係る行政・民事事件の2件である。これは、いず
れも原告が訴を取り下げたことによる。
新規事案としては1件である。
1 訴訟事件の概要及び進行状況等
番号 事 件 名 事 件 の 概 要 進 行 状 況 等 1 懲戒処分取消請求事 昭和33年9月15日、同10月28日、同11月26日教職員に対する勤 口 頭 弁 論 中 件(福島地裁昭和34 務評定実施に反対するため県下において多数の教職員が上司の許 年行第2号) 可なく職場を放棄し、そのため多数の学校において正常な運営が 阻害され非常な混乱が生じた。当教育委員会としては、このよう な行為は地方公務員法に違反するものとして、当時の県教員組合 執行委員に対し懲戒処分を行ったが、加藤林外27名はこれを不服 として、昭和34年1月20日福島地方裁判所に訴の提起をなした ものであるが、昭和47年9月19日白岩正吉を除いて訴の取り下げ がなされた。 2 懲戒処分取消請求事 昭和34年7月29日県立会津工業高等学校において県教育委員会 結 審 件(福島地裁昭和36 主催の中学校の技術家庭研究協議会が開催された際、当時県教組 年行第9号) 両沼支部書記長白岩正吉外約30名が会場に浸入し妨害した。…(イ) 昭和34年8月13日から16日までの3日間、上記白岩正吉が8月 14日から16日まで開催された県教育委員会主催の昭和34年度小学 校教育課程研究協議会にっいて話し合いを求め、そのまま数度に わたる退去要請にかかわらず、県教委両沼出張所会議室にすわり こみ、同出張所の正常な運営を阻害した。……………………(ロ) 昭和34年10月6日から9日までの3日間飯坂町で開催された東 北北海道地区中学校教育課程研究協議会を阻止するため、県教組 の指令のもとに県下教職員(他労組、県教組のものを含む約300 余名)が動員され妨害行動に参加した。また一部教職員はこの妨 害行動に参加するため上司の許可なく無断で職場を離脱した。…(ハ) 昭和34年9月8日、伺11月27日、同12月10日の3回にわたり、 勤務評定反対のための措置要求と称し、県下において多数の教職 員が職場を離脱し、そのため多くの学校において正常な運営が阻 害された。………………………………………………………(ニ) 上述(イ)(ロ)(ハ)(ニ)の四つの行為は全体の奉仕者たる教育公務員とし ての服務に違反するものであるとして、昭和34年12月末当時県教 組両沼支部書記長自岩正吉外52名に対し懲戒処分を行ったが、こ れを不服として昭和36年12月25日福島地方裁判所に訴の提起をな したものてある。(昭和47年9月19日、白岩正吉を除いて訴の取 り下げがなされた。) 3 退学処分取消請求事 県立磐城高等学校長は元同校生徒Aが正当な事由なくして無断 結 審 件(仙台高裁昭和47 欠席を重ねたのに対し自宅謹慎に処したがAは服することなく、 年行ウ第8号) かえって処分は不当であると称して、学校において不法集会、ハ ンストの支援等を行い学校の秩序を著しく乱した。そのため学校 長は無期停学、更に学則第29条第2項第4号に該当するとして退 学処分を行った。本件はその取り消しを求め請求した事案である。 4 損害賠償請求事件 昭和45年7月25日の小野川湖における女生徒溺死事故が教員の 証 人 調 中 (仙台高裁昭和53年 過失行為によるものであるとして国家賠償法に基づき、県に対し (ネ)第114号) て3,500万円余の賠償を求めるもの。 5 損害賠償請求事件 昭和50年7月27日の薄磯海岸における男子生徒(19歳)溺死事 口 頭 弁 論 中 (福島地裁昭和53年 故が引率教諭の過失行為によるものであるとして、国家賠償法に (ワ)第227号) 基づき県に対して3,500万円余の賠償を求めるもの。