教育年報1978年(S53)-335/372page
福島県立図書館
第1節 概 要
1 はじめに
当図書館は、県民の学習センターとして、増大する資料要
求に対処し得る資料の整備充実を図るとともに、市町村立図
書館、公民館図書室への資料の援助、読書普及活動の推進等
に重点を置いてきたが、本年度も引き続いて、下記の重点目
標を設定して、運営に当たった。
(1)図書館資料の充実
自然科学部門について専門家による蔵書診断を実施し、
基本図書の収集整備を行い、更に県人著作の収集に努めた。
(2)調査相談の充実と目録の整備
各部門にわたる参考資料の整備に努めるとともに、法律
関係「小野崎文庫」の目録を完成した。これによって貴重
な法律関係図書の利用が今後期待される。
(3)相互協力事業の推進
資料の相互貸借業務を推進するとともに、県内図書館の
調査相談への協力を積極的に行った。
(4)あづま号の運用
駐車場毎の利用実態を分析し、市町村の実態に応じた資
料の援助によって、自主的に運用する体制づくりを試行し
た。
(5)親子読書文庫の充実
図書の更新を図り、配本時において運用上の問題点等に
ついて積極的に助言指導を行った。
(6)読書普及活動の推進
関係団体との連絡協調、県図書館大会、子供の本研究講
習会等の開催をとおして、読書活動の推進に努めた。
(7)職員研修事業の強化
全国奉仕部門研究集会をはじめ、各分野にわたる研究会、
講習会を実施し、資質の向上に資した。
2 図書館協議会
昨年度の委員が2年目を迎えて、議長に辺見正治氏(福島
市教育委員会教育長)、副議長に小林忠道氏(福島商工会議
所専務理事)が再選され、図書館運営等について貴重な提言
がなされた。
第1回(昭和53年8月25日)
・53年度予算及び事業について
・県立図書館の早期改築に関する請願について
第2回(昭和54年1月31日)
・北日本図書館協議会の理事の推せんについて
・そ の 他
第3回(昭和54年2月22日)
第4回(昭和54年2月23日)
・県立図書館の建設構想について
・そ の 他
第2節 整理事務
1 資料の収集
(1)一般資料の収集
利用者の多様な資料要求に対応して、各部門の基本図書
や事典、年鑑、年表、各種索引等の参考図書の整備を図っ
たが、とくに工学、工業部門に重点をおいた。
受入れ状況は下表のとおりである。購入図書について見
ると、総体的に前年度比で24%の増であるが、館内用の一
般図書が減少し、児童図書が大幅に増えている。
児童図書については、館外用でも増加の傾向にあり、全
県的な親子読書活動の進展による需用の高まりをしめして
いる。
資料の受け入れ・整理状況 (昭和53.4〜54.3)
区 分 購 入 寄 贈 編 入 管理換 計 一般図書 (館内) 3,192冊 2,010冊 252冊 2冊 5,456冊 (館外) 3,593 1,014 0 0 4,607 児童図書 (館内) 1,073 4 0 0 1,077 (館外) 6,180 201 0 0 6,381 計 (館内) 4,265 2,014 252 2 6,533 (館外) 9,773 1,215 0 0 10,988 計 14,038 3,229 252 2 17,521 (2)郷土資料の収集
県内出版物は官公庁から刊行される、いわゆる行政資料
と民間の出版物に大別できるが、53年度中に収集したのは
約1,300点である。
行政資料の中には「図説福島市史」「五十沢村誌」「西郷村
史」「矢吹町史」「三春町史」など、市町村史の刊行が続き、
文化財や歴史探訪のガイド的なものも多い。その他では
「福島競馬六十年」「福島県議会百年史」「福島県信金30年史」
など、記念誌的なものもわりあい目についた。
2 図書館資料の整備
(1)蔵書の検討
蔵書構成についてはしゅうぶん留意しているが、より適
切な蔵書構成を図るために、専門家による蔵書診断を年次
計画で進めている。53年度は自然科学部門について実施し
たが、委員は次のとおりである。
柴昌明 福島大学助教授 数学
吉田俊博 〃 物理学
人見三男 福島大学講師 化学
木村吉幸 福島大学助手 生物学
大木俊夫 福島大学助教授 天文・地球物理学
真鍋健一 福島大学講師 地質・鉱物学