教育年報1979年(S54)-275/319page
福島県教育センター
第1節 概 要
福島県教育センター組織規則の一部改正(昭和54年4月1
日)により、昭和54年度から業務担当の次長が新たに配置さ
れて、研究と研修両事業の一体化が大きく推進された。
また、本県の学校教育の充実と発展を図るため、県内にお
ける教育関係職員の研修並びに教育に関する専門的 技術的
事項の調査研究を行う場として、更に、教育研究のための図
書及び研究資料センターとしての役割を果たすべく、次の事
業を推進してきた。
(1)教育関係職員の研修
教育センターで行う研修講座は、教育関係職員の専門的
職能と資質の向上を図るために、県教育委員会が行う研修
計画のうち、学校経営 教育研究法 教育工学・各教科
道徳 特別活動・生徒指導 教育相談及び情報処理教育等
に関する専門的内容について研修を行うものである。
特に、昭和54年度は、道徳(小中)、特別活動(小)、
中高教育相談、理科B(高)、理科実技(高)、書道(高)、
生徒指導(高)の8講座を新設するほか、学校経営B講座
と教育研究法講座の対象を高等学校にまで拡充するなど、
研修講座の質 量両面の一層の充実を図った。開設講座数
は92講座、研修人員は2,203人であった。また、義務教育
課、高等学校教育課、養護教育課、社会教育課、保健体育
課等の主催による各種研修会が、教育センターの施設を利
用して45回行われ、研修人員は4,128人に及んだ。
(2)教育に関する調査研究
本県が当面している教育的課題及び学校における教育実
践上の問題を取り上げ、それぞれプロジェクトチームを組
んで次の調査研究を進めた。
学校経営に関しては、「学校経営評価に関する研究」、学
習指導に関しては、「学習指導改善に関する研究」 学習
の成果に着目した「福島県標準学力診断検査問題の研究」、
小 中学校で行われている授業研究の実践に関する「授業
研究と評価に関する研究」 高校生の多様化に応した「習
熟度別学習指導に関する研究」、また、教育相談の事例分析
による「事例を通した教育相談のすすめ方」等の調査研究
を進め、それらの研究成果の一部は、紀要 報告書として
刊行し、学校及び関係教育機関等に配付して普及を図った。
その他「OHPの活用とTP製作の手びき」、「自然の教材
化の手びき」を刊行した。
更に、各自研究課題をもち、個人研究にも取り組んだ。
(3)情報処理教育に関する研修及び実習
教育センターに設置されている中型電子計算機及びNC
工作機械を使用して情報処理教育講座を開設し、109人が
研修したほか、教員個人研修等自主研修330人を受け入れ、
更に、高校生延べ2,329人の実習が年間を通して行われた。
郵送によるOMR利用は、86人を数えた。
(4)教育相談事業
幼児 児童 生徒の教育上の諸問題について、学校及び
親からの相談に基づき、臨床心理学やその他科学的理論
方法(遊戯療法、行動療法、カウンセリング等)によって、
診断、指導、治療、矯正等を行い、解決のための援助を図
ってきた。年間相談延べ件数は、1,198件であった。
(5)教育図書・資料の収集・整理及び活用
教育に関する情報 資料を県内各学校に提供するため、
教育図書、教育資料を広く収集し、これを整理 保管して
当センターの研修者を中心にその利用に供した。
また、教育に関する情報及び研究・研修の成果を、所報、
紀要等によって学校その他教育関係機関等に提供し、研究
並びに実践活動の援助に努めた。
更に、教育に関する照会は、150件を超過した。
第2節 教育研究
1 学校経営改善に関する研究
(1)研究の視点
学校経営を計画―実践―評価の一貫した過程として
とらえることが近年強調され、中でも経営における評価活
動が特に重視されている。県内でも学校経営評価について
研究的な実践に取り組もうとしている学校が多くあるが、
その実際においては、経営評価実施のよりどころとなる資
料の不足と自校化できる経営評価試案についての要望が叫
ばれている。
そこで、学校経営評価の理論とその実際について調査研
究し、特に学校経営評価の事例分析を基に、小中学校で実
施できる学校経営評価方法を提案し、県内の学校経営方策
の改善やその研究に寄与しようとする。
(2)研究の内容
学校経営評価の方法に関する研究(3年研究)
(3)研究の概要(第2年次)
1) 学校経営評価基本構想の設定
○ 学校経営過程の構造化と経営評価領域の設定
○ 学校経営評価用具(案)の作成
○ 学校経営評価実施手順と組織のモデル作成
2)基本構想を基にした研究協力校による研究実践と検討
○ 研究協力校 11校(小学校7校、中学校4校)
3)学校経営評価試案の作成
2 授業研究と評価に関する研究
本研究は、昭和53、54年度の2か年計画で行ったものであ
る。
(1)本年度の研究の視点
前年度実施した本県小中学校における授業研究の実態調
査から、本県小中学校では、その大部分が、「研究主題を