教育年報1979年(S54)-276/319page
持った」、「校内の研究組織による」、「事前研究会(2時間
以内)一研究授業観察(1時間)」、「事後研究会(2時間内
外)の三段階をふんだ」、いわゆる「2-1-2方式の授業
研究」を実施しており、その実施上の問題点として、「時
間がとれないこと」、「研究授業の指導案の作成が難しいこ
と」、「授業のねらいがどれだけ達成されたかの判定が難し
いこと」の三点が浮き彫りにされた。本年度は、「時間が
とれない」という現実をそのまま認めて、「2-1-2方
式の授業研究」により、実施上の他の問題点を解決し、こ
の授業研究のより効果的な方法を追求しようとした。
(2)本年度の研究概要
「2-1-2方式の授業研究」では、1時間の授業の中
で、「本時の目標の達成」のほかに「研究主題の解決」と
いう課題を持ち、上述の問題点は、この後者の課題に付随
するものであることをまず解明し、これらを、「与えられ
た研究主題に対する解決策を、本時の内容に適した形に具
体化して学習指導案の中に明示し、それらが、授業の中で
いかに効果的てあったかを観察すること」によって解決を
はかり、新しい形の学習指導案兼授業観察記録用紙を案出
した。
3 福島県標準学力診断検査問題の研究
(1)研究の視点
この研究は、教育課租の改訂に伴い、当教育センターの
標準学力診断検査問題を、全面的に改訂 作成するための
研究で、継続研究事業である。
そのため、新教育課程に沿った検査問題とすること、及
び県内各校で、自校の児童の学力の実態を診断 把握し、
教育課程の改善や、学習指導の改善に役立て得る検査問題
とすることを視点として研究を進めた。
(2)研究内容と方法
1) 福島県標準学力診断検査問題の研究
所員と小学校教員からなる研究委員会を構成し、社会
科 理科については4 5 6年用の問題及び手引きを
作成し、国語科 算数科については、1 2 3年用の
問題作成の基本構想を検討した。
2) 学力分析報告書の作成
昭和53年度末に県内小学校(層化無作為2段抽出法に
より抽出した30校)において実施した、標準化のための検
査の結果を分析し、問題ごと、領域ごとの正答率や誤答
分析とその結果に基づく対策の視点をまとめた。
3) 福島県標準学力診断検査の実施
4 5 6年用社会科 理科の検査問題を標準化する
ために、層化無作為2段抽出法により小学校16校を抽出
し、検査を実施した。
4 教育相談の基礎的研究
(1)研究の視点
いろいろな症状で来談する件数が増加している現況から、
教育相談についての基本的な考え方を明らかにし、事例を
通して、問題点の解明を図り、その底に流れている教育相
談のあるべき姿を研究した。
(2)研究の内容
事例を通した教育相談のすすめ方
(3)研究の概要
1)教育相談とは何か
2)学校における教育相談
3)子供を理解する基本的態度
4)問題をもつ子供の発見と診断
5)問題をもつ子供の指導
6)面接のし方
7)事例
・多動性
・場面かん黙
・起立性調節障害
・車(バス)酔い
第3節 教職員研修
昭和54年度は、県教育委員会が教職員研修の体系化と効果
的な推進を図るために策定した「教職員現職教育計画」実施
の初年度に当たり、教育センターは、県教育委員会が行う基
本 専門 特別研修のうち、「専門研修」を担当することと
なった。また、昭和55年度から小 中 高等学校の順に新教
育課程が実施される。このような状況を踏まえ、教育センタ
ーでは、教育庁関係各課、校長会等、その他関係機関との連
携の上に立って、教職員の研修事業を整備 計画し、実施に
移した。その概要は、次の通りである。
1 新設講座 ( )内の数字は、人員を示す。
小学校道徳講座(40)、特別活動講座(60)
中学校 道徳講座(30)、中 高教育相談講座(20)
高等学校 理科B講座(20)、理科実技講座(20)、書道講
座(15)、生徒指導講座(20)、中 高教育相談
講座(10)
2 拡充講座
学校経営B講座(6人増)、教育研究法講座(3人増)の
対象を、従来の小 中学校から高等学校にまで拡充した。
3 研修内容の充実
(1)各講座に、新学習指導要領の趣旨 内容についての研
究を取り入れた。
(2)研修の形態に、研究協議・実技・実習 観察 実験
調査 演習等を取り入れ、研修内容の充実を図るととも
に、研修の効果が高まるようにした。
(3)小学校の教科に関する講座には、小学校の学級担任制
による全領域 全教科指導の現状に基づき、教育工学の
手法、特別活動または教育相談に関する内容を組み込み、
多面的な指導が行われるように配慮した。
(4)中学校講座では、演習 実技 実習 実地調査等によ
って、研修内容が更に深まるとともに、研修の効果が指
導の実際に結びつくように努めた。
(5)高等学校の教科の講座には、生徒指導の基本に関する
内容を組み込み、教科指導と生徒指導の融合を図れるよ
うにした。
4 研修者の学校における組織上の分担、学年分担、教科担