教育年報1980年(S55)-171/289page

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 文化

 第1節 概     要

 近年「地方の時代」「文化の時代」といわれ、地方の主体性、

独自性を持った自主的・創造的な文化活動が活発化するとと

もに、地域の伝統や生活に根ざした文化を再認識し、大切に

継承・発展させていこうという気運が高まってきている。こ

のため一昨年の「文化振興会議」での提言等をふまえ、文化

二年目としてこの要請に応えるため行政の全分野を文化的視

点から見直しを行い、積極的に文化行政を推進した。

 本年度は昨年6月に創設した財団法人福島県文化振興基金

の助成事業や顕彰事業の充実を図り成果をあげた。

 また、文化課課内室として文化施設整備室を設置し、県民

文化活動の拠点となる県立美術館・図書館を福島市に建設す

ることと郡山市に展示場を設けることが決定され、建設事業

に着手、県立博物館については、「県立博物館建設基本構想」

が作成され、会津若松市に建設を決定するなど、県民文化振興

の条件整備は大きく進展した。

 こうしたなかで、県芸術祭が県中地区を中心に実施され、

地域性を生かした優れた内容で県民の文化志向を盛り上げた。

さらに文化財保護については、「福島県の文化財」及び「指導の

手引」を発刊し学校教育等における学習指導の充実をはかる

とともに、福島県民謡まつりが初めて福島市で好評のうちに

開催され、県民文化活動は一層進展した。

 本年度は、第二次長期総合教育計画の第1期実施計画の最

終年度に当り、計画にのっとり「豊かな心を育てる県民文化

の推進」をテーマとして、諸施策を推進したが、その成果は

次のとおりである。

  1 文化活動の促進

 県民の自主的な文化活動は、いっそう活発化し、文化団体数

・会員数の増加、市町村文化団体連合体結成の動き、公立

文化施設の整備など、民間・行政とも文化への志向が高まり

さらに県民の積極的な文化活動への参加が促進された。

 また、これに伴い財団法人福島県文化振興基金の事業に対

する理解も進み、その活用も順調に増加するとともに、民間

篤志家よりの寄付により基金造成も進み、県民の自由で創造

的な文化振興の条件整備が進められた。

 県芸術祭は、県中地区を中心に開催され、地域の伝説を素

材にした創作舞踊の公演が行われるなど、県民参加の文化活

動成果発表の総合的な場として大きな成果を上げるとともに

芸術祭への県民の関心を高めた。

 また、県民に優れだ芸術文化を鑑賞してもらうため、県収

蔵美術品巡回展、県展移動展、さらにはこども芸術劇場、

青少年芸術劇場、移動芸術祭巡回公演などについて積極的に取

り組み好評のうちに実施され、県民に多大の感動を与えた。

  2 文化施設の整備

(1)県立美術館・図書館建設の推進

  年度当初に文化施設整備室を設置し、室長ほか10名(う

 ち1名嘱託)の職員によって建設事業を進め、

 「県立美術館収集評価委員会」を設置した。5月に第1回の委員会を開

 催して取得の方針を定め、以後3月までに6回の会議をも

 って作品の選定収集にあたった。収集作品は、日本画9・

 日本洋画34・海外洋画1・版画334・彫刻1・美術資料27

 計406点にのぼった。

  県立美術館・図書館ともに建築基本設計を委託し、56年

 3月25日に納品された。

(2)県立博物館建設の推進

  前年度から引き続き基本構想の策定を進め、5回の委員

 会を開催して、56年1月26日福島県立博物館建設基本構想

 報告書が提出された。

  建設場所は、56年2月3日会津若松市とすることが決定

 し、同日知事から発表された。

(3)県文化センターの施設、設備の整備と機能の充実

  昭和45年開館以来、利用人員は年間30万人を越え延べ330

 万人に達しているが、この10年間に施設設備、備品等が老

 朽化し機能が劣化していること、さらに使用者の高度化、

 多様化に対応できなくなってきているため、年次計画によ

 り音響設備等の改修に着手している。

  また、自主企画事業は、開館10周年を記念し亜欧堂田善展外21事業

 を実施し、全県的に文化亨受の機会を提供する

 ことに努め大きな成果を上げた。

  3 文化の伝承の充実

(1)文化財保護体制の充実

  各種開発事業の増加に対応し、(財)福島県文化センター遺跡調査課

 の職員を前年度に引続き増員し、埋蔵文化財の

 調査体制の強化を図った。

  また、指定文化財管理(文化財パトロール)の強化を図

 るとともに、文化財の保護管理指導及び重要遺跡の保全管

 理に努めた。

(2)文化財指定の推進

  文化財を保護するための文化財基礎調査をはしめ、指定

 調査を積極的に実施し、県内に所在する文化財の実態を把

 握するとともに、新たに13件を県指定文化財に指定した。

(3)文化財保存の充実

  指定文化財等の保存修理、史跡の環境整備及び埋蔵文化財

 の発掘調査等の事業に対する助成を行うとともに、国・

 県営農用地開発に伴う開発地内遺跡の発掘調査及び

 東北新幹線建設に係る遺跡の記録保存を図るなど、文化財の保存

 の充実に努めた。

(4)文化財活用の促進

  文化財に対する理解を深め、愛護思想の高揚を図るため


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