教育年報1980年(S55)-255/289page

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福島県教育センター

  第1節 概     要

 昨年度から業務担当の次長が新たに配置されたことに伴い、

本年度の教育センターの研修と研究の両事業は大きくその一

体化が図られ、内実のある事業が推進された。教育センター

は、本県学校教育の充実と発展を図るため、教育関係職員の

研修並びに教育に関する専門的・技術的事項の調査研究を行

う場として、また教育研究のための図書及び研究資料センタ

ーとしての役割を果たすべく、次の各種事業を推進した。

(1) 研修事業

  教育センターは、教育関係職員の専門的職能と資質の向

 上を図るために、県教育委員会が行う研修計画のうち、学

 校経営・教育研究法・教育工学・各教科・道徳・特別活動・

 生徒指導・教育相談及び情報処理教育等に関する専門的内

 容について研修事業を実施した。本年度は、昨年度新設し

 た8講座の一層の内容充実に努めるほか、学校経営(A)・(B)

 講座、教育研究法講座の定員増と中・高教育相談講座を前

 期・後期2回の断続研修とするなど、講座の拡充を図った。

 一方、全講座について、新学習指導要領の趣旨と学校が抱

 える課題・要望等を踏まえて、研修内容の刷新に努め、研

 修事業の量・質両面の強化・充実を図った。開設講座数は

 91講座、研修者定員は2,169人であった。

  また、本庁各課等の主催による各種研修会が、教育セン

 ターの施設を利用して54回行われ、研修人員は4,207人に

 及んだ。

(2) 研究事業

  本県が当面している教育的課題及び学校における教育実

 践上の問題等を取り上げ、プロジェクトチームを組むなど

 して、次の研究を進めた。1)学校経営改善に関して、

 「学校経営評価に関する研究」、2)学習指導に関しては、

 「学習指導の個別化に関する研究」「習熟度別学習指導に関する

 研究」、3)学習の成果に着目した「福島県標準学力診断検査問題の研究」、

 4)教育相談の事例分析による「教育相談における心理検査の活用」、

 5)新教育課程実施上の配慮事項等にかかわる研究として

 「新教育課程の実施に関する研究」等。

 これらの研究成果の一部は、紀要・報告書として

 刊行し、学校及び教育関係機関等に配付して普及を図った。

 その他「教師のための統計入門」、「中通り・会津の地層と川原」

 等を刊行した。また全所員各自研究テーマをもって

 個人研究にも励み、研究報告書としてまとめた。更に当教

 育センター発足初の所内研究報告会を開催した。

(3)教育相談事業

  幼児・児童・生徒の教育上の諸問題について、学校及び

 親からの相談に基づき、臨床心理学やその他科学的理論・

 方法(遊戯療法、行動療法、カウンセリング等)によって、

 診断、指導、治療、矯正等を行い、解決のための援助を図

 ってきた。また本年度より移動教育相談を会津・いわき教育事務所管内

 の児童・生徒を対象に実施した。年間相談延

 べ件数は1,014件であった。

(4)教育図書・資料事業

  教育に関する情報・資料を各学校に提供するため、教育

 図書・資料を広く収集し、整理・保管して研修者を中心に

 その利用に供した。また教育に関する研究・研修の成果を

 所報、紀要等によって学校及び教育関係機関等に普及し、

 研究並びに実践活動の援助に努めた。教育に関する照会は、

 直接来談以外に電話、郵便によるもの年間74件に達した。

(5)情報処理教育に関する研修及び実習

  教育センターに設置されている中型電子計算機及び

 NC工作機械を使用して情報処理教育講座を開設し、109人が

 研修したほか、教員個人研修に71人を受け入れ、更に高校

 生延べ2,325人の実習が年間を通して行われた。郵送によ

 るOMR利用は150人を数えた。

 第2節 教育研究

 1 学校経営改善に関する研究

(1)研究の視点

  学校経営の合理化を図りながら教育効果を一層高め

 ようとする動きが年々強まってきている。特に経営理論の

 導入と相まって学校経営を総合的かつ円環的にとらえ、調

 和のとれた経営をすることによって実効を期すというかま

 え方の学校が多く見られるようになったが、そのような施

 策の前提として経営の見直しをすることがぜひ必要であり、

 客観的な学校経営評価法の開発が待たれている。

  そこで、学校経営評価の理論とその実際について調査研

 究し、特に学校経営評価の事例分析に基づいた評価の方法

 をまとめて提案し、県内小中学校経営改善の一助にしよう

 とする。

(2)研究の内容 

  学校経営評価の方法に関する研究(3年研究)

(3)研究の概要(第3年次一研究のまとめ)

 1) 学校経営評価の基本的事項のまとめ

  ○ 学校経営評価の構想

  ○ 学校経営評価の領域・対象

  ○ 学校経営評価用具・評価の方法

 2) 研究協力校による実践資料のまとめ

  ○ 実践結果の処理と考察

 3) 学校経営評価試案の作成

  ○ 紀要「学校経営評価に関する研究」刊行

  2 学習指導の個別化に関する研究

(1)研究の視点

  本研究は、「自ら考え、正しく判断できる力をもつ児童

 生徒の育成」を目さす一視点として、学習意欲の高揚に目

 を向け、子供が真に学習そのものに興味と関心と喜びを持


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