教育年報1980年(S55)-256/289page

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 ち、自分の力で学習に取り組むようにする一つのきっかけ

 を与えるものとして、「個を認める働きかけ」をとらえ、

 仮説「授業ごとに、あらかじめ3〜4人の子供を決めてお

 き、その子供たちを授業の中で"認める"場を意図的・計

 画的に設定し、短時日のうちには、少くとも1回は、どの

 子供も"認める"ようにする。このことを継続して行う。」

 を、およそ3ヵ月間、小学校の国語、算数の授業におろし

 て、その効果を確かめたものである。

  ここで、「個を認める働きかけ」とは、子供の性格や学

 力などを十分考慮した上での賞賛、励まし、共感、叱責な

 どの、個を生かすことをねらった働きかけをいう。

(2)研究の内容

  「個を認める研究」 (4年研究の第1年次)

(3)研究の概要

  本研究の仮説の効果は、研究前と研究後にそれぞれ実施

 したアンケートの結果の比較、教師の児童観察結果の比較、

 児童の作文の比較等で判定したが、わずか3ヵ月間という

 短期間であったにもかかわらず、効果を認めることができた。

  紀要「個を認める研究」を刊行した。

 3 習熟度別学習指導に関する研究

(1)研究の視点

  能力・適性・進路等多様化しつつある高等学校生徒の教

 育に対応するよう教育課程の編成・実施に関する検討を深

 め、特に学習内容の習熟の程度に応じた適切な指導のあり

 方について研究を進めた。ここで、習熟度とは、ある時点

 における教科・科目の学習目標の達成度という意味にとら

 え、いわゆる習熟度別学習を、単に、習熟度別学級編成と

 する狭い意味には解さず、広く、教育課程全般に及ぶ学習

 指導法の改善として、体系的に追求しようとした。

(2)研究の内容

  習熟度別学習指導の基礎理論(2年研究の第1年次)

(3)研究の概要

  習熟度別学習指導に関する情報の収集と研究先進校の実

 態調査をもとに、問答形式からなる研究資料「習熟度別学

 習研究の手引き」として刊行した。

 4 福島県標準学力診断検査問題の研究

(1)研究の視点

  この研究は、学習指導要領の改訂に伴い、当教育センタ

 一の標準学力診断検査問題を、全面的に改訂・作成するた

 めの研究で、継続研究事業である。

  そのため、新学習指導要領に沿った検査問題とすること、

 及び県内各校で、自校の児童の学力の実態を分析・把握し、

 教育課程の改善や、学習指導の改善に役立て得る検査問題

 とすることを視点として研究を進めた。

(2)研究内容と方法

 1) 福島県標準学力診断検査問題の研究

   所員と小学校教員からなる研究委員会を構成し、国語

  科・算数科については、1・2・3年用の問題作成、社

  会科・理科については、4・5・6年用の問題の修正を

  行った。

 2) 学力分析報告書の作成

   昭和54年度末に、県内小学校(層化無作為2段抽出法

  により抽出した16校)において実施した、4・5・6年

  の社会科・理科の標準化のための検査の結果を分析し、

  前年度にまとめた学力分析報告書に一部修正を加え、学

  力分析報告書として刊行した。

 3) 福島県標準学力診断検査の実施

   1・2・3年用国語科・算数科の検査問題を標準化す

  るために、層化無作為2段抽出法により、小学校7校を

  抽出し、検査を実施した。

 5 教育相談の基礎的研究

(1)研究の視点

  心理検査を実施することは、手段であって目的ではない

 という観点から、心理検査について基本的な考え方を概説

 するととも、活用のあり方を事例を通しながら、テスト・

 バッテリーの組み方、総合的な解釈、教育相談への生かし

 方等を述べ、解明を図った。

(2)研究の内容

  教育相談における心理検査の活用

(3)研究の概要

 1) 心理検査とは

 2) 学校における心理検査実施上の問題

 3) テスト・バッテリーの編成

 4) 教育相談と心理検査

 5) 事例

  ・登校拒否

  ・自閉的な子供           

  ・家庭内暴力

  ・シンナー等乱用

 第3節 教職員研修

 昭和55年度は、県教育委員会が教職員研修の体系化と効果

的な推進を図るために策定した「教職員現職教育計画」の実

施第2年次に当たり、教育センターと本庁関係各課との教職

員研修に関する連絡調整は極めて円滑に運ばれ、研修計画の

実施・運営も一段と軌道に乗って行われた。教育センターは、

県教育委員会が行う基本・専門・特別の三研修区分のうち

「専門研修」を担当することとなっているが、昭和55年度か

ら小・中・高の順に新教育課程が実施されること等も踏まえ

て、教職員研修の内容については特に検討を加え、研修事業

の整備・充実に努めた。その概要は次の通りである。

1 研修講座の整備・拡充

  学校経営(A)講座(2人増)、学校経営(B)講座(2人増)、

 教育研究法講座(2人増)、中・高教育相談講座を前期・後

 期2回の年間8日にわたる断続研修とした。

2 研修内容の充実

 (1)全講座について、今次改訂の新学習指導要領のねらい

  と趣旨を生かした内容を組み入れると共に、学校が当面

  している課題と要望等にこたえうるよう研修内容の見直し

  を行い、充実したしかも魅力ある内容にするように努め

  た。


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