教育年報1981年(S56)-171/308page

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     文 化

  第1節 概   要

 近年の社会環境の急速な変貌の中で人々は物質的な豊か

さとともに精神的な充足を求め、自主的・創造的な文化活

動が活発化するとともに、地域の伝統や生活に根ざした文

化を再認識し、大切に継承・発展させていこうという気運

が高まってきている。こうした県民の文化志向の高まりに

ともない、この要請に応えるため財団法人福島県文化振興基金

の助成事業や顕彰事業の充実を図り成果をあげた。

 また、県民文化活動の拠点となる県立美術館・図書館の

整備事業も3年目に入り実施設計もまとまり、また、周辺

整備事業一についても福島市において計画が進められて

いる。

 一方県立博物館は会津若松市鶴ヶ城跡の  会津総合運動公園内

に建設することに決定し、  県民文化振興の条件整備は大きく進展した。

 こうしたなかで、県芸術祭が相双地区を中心に開催され、

地域の特性を生かした各種事業が実施され、大きな成果を

あげた。さらに文化財保護については、本年度から3年継

続で県指定文化財に標柱等を設置し、文化財に対する理解

と愛護思想の高揚を図るとともに、国の重要伝統的建造物

群保存地区として選定された南会津郡下郷町大内宿の保存

整備に努めた。

 本年度は、第2次長期総合教育計画の第2期実施計画の

初年度に当り、「伝統を生かし創造性をはぐくむ文化活動

の推進」をテーマとして、諸施策を推進したが、その成果

は次のとおりである。

  1 文化活動の促進

 県民の文化活動は、いっそう活発化し、文化的遺産や優

れた芸術に接して精神的充足を求める活動に止まらず、自

ら文化創造の場に参加しようという気運が高まっている。

 こうした県民文化志向の高まりに対応して、参加する文

化活動の促進、芸術鑑賞機会の拡充さらには財団法人福島県文化振興基金

の充実などにより県民文化振興のための条

件整備に努め、大きな成果をおさめた。

 県芸術祭は、相双地区を中心に開催され地域の特性を生

かした各種事業が実施されるとともに、県内一円で61の参

加行事が実施され、県民参加の文化活動成果発表の総合的

な場として大きな成果を上げた。

 また、県民に優れた芸術文化を鑑賞してもらうため、移

動芸術祭巡回公演、国立美術館所蔵内外美術名品展、県収

蔵美術品巡回展等を実施し、県民に多大の感動を与えた。

  2 文化施設の整備

(1)県立美術館・図書館建設の推進

  昭和55年設置された文化施設整備室は、職員も室長ほ

 か12名(うち嘱託1名)となり、建設の推進に努めた。

  県立美術館収集評価委員会を4回開催し、作品の選定

 収集にあたった。

  収集作品は、日本画7・国内洋画13・海外洋画6・彫

 刻1計・27点にのぼった。

  県立美術館・図書館の実施設計を委託し、昭和57年3

 月25日に納品された。また、本県の生んだ国際的な版画

 家・斎藤清画伯からの寄贈を記念して斎藤清展を開催した。

(2)県立博物館建設の推進

  福島県立博物館収集展示委員12名を委嘱し、うち6名

 を展示計画作成委員として選任し、収集展示委員会4国、展

 示委員会4回計8回の検討を経て、昭和57年2月18日

 福島県立博物館総合展示及び部門展示計画が報告された。

  建設場所は、6月23日会津若松市鶴ヶ城跡の会津総合運動公園内

 とすることが決定し、知事から発表された。

  また第1回県立博物館学術調査を泉崎村で行い、同村

 原山古墳の発掘調査を実施し埴輪多数が検出された。こ

 の大量の埴輪多数が検出された。この大量のの埴輪群は、

 県立博物館を飾る中心資料として注視されることになろ

 う。

(3)県文化センター施設、設備の整備と機能の充実

  昭和45年開館以来、利用人員は年間30万人を越え延べ

 370万人に達しているが、この10年間に施設設備等が老

 朽化し機能の劣化等により、年次計画により音響設備等

 の改修に着手している。

  また、自主企画事業については、近代日本画の歩み展

 など18事業を実施し、全県的に文化享受の機会を提供す

 ることに努め大きな成果を上げた。

  3 文化の伝承の充実

(1)文化財保護体制の充実

  各種開発事業の増加に対応し、(財)福島県文化センター遺跡調査課

 の職員を増員し、埋蔵文化財の調査体制の強

 化を図った。

  また、指定文化財管理(文化財パトロール)の強化を

 図るため、パトロール員を増員し文化財の保護管理指導

 及び重要遺跡の保全管理に努めた。

(2)文化財指定の推進

  文化財を保護するための文化財基礎調査をはじめ、指

 定調査を積極的に実施し、県内に所在する文化財の実態

 を把握するとともに、新たに12件を県指定文化財に指定

 した。

(3)文化財保存の充実

  指定文化財等の保存修理、防災施設及び埋蔵文化財の

 発掘調査等の事業に対する助成を行うとともに、国・県

 営農用地開発に伴う開発地内遺跡等の発掘調査及び

 東北新幹線建設に係る遺跡の記録保存を図るなど、文化財の保存

 の充実に努めた。

  また、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定さ

 れた南会津郡下郷町大内宿の保存を図るため、国庫補助

 対象外の環境整備事業に対し県費助成に努めた。


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