教育年報1982年(S57)-191/316page
保 健 体 育
第1節 概 要
第2次福島県長期総合教育計画、第2期実施計画に基づき
保健体育課においては、昭和57年度福島県教育委員会重点施
策の一つである「健康と体力の向上をめさす社会体育の推進」
を柱として、体育、保健、安全、給食の各分野において相互
に連携を密にしながら各施策の推進を図った。その概要は次
のとおりである。
1 学校体育の充実
学校体育担当教員の資質の向上のため、各種体育実技講習
会を開催するとともに、学校体育指導の手引き(中学校総則
編)を発刊し、指導資料の提供に努めた。
児童・生徒の体力の向上については、学校体育指導の手引
き(小・中学校総則編)を資料として、創意を生かした教育
活動並びに活動の時間における体育的活動の推進を図った。
また小学校運動競技奨励事業を通して体力の向上を図るほ
か、文部省指定の「体力つくり推進校」「格技指導推進校」県
教委指定「体力つくり研究推進校」の実践研究及び公開発表
を契機として体力の向上の推進に努めた。
スポーツテストについては、県下全児童・生徒について実
施し、体力・運動能力の実態把握に努めた。また本年度は中
学校においては、新指導要領実施二年目であり、高等学校に
おいては学年進行一年目てあり、それぞれ趣旨の徹底を図っ
た。なお、中学校では教育課程運営改善講習会を開催した。
2 学校保健の振興
学校における保健教育、保健管理の充実を図るために学校
保健関係教員を対象として、保健主事講習会(県内2地区)、
保健安全指導者資質向上講習会(県内2地区)、児童・生徒疾
病異常対策研究会(県内2地区)、新採用養護教諭研修会(県
教育センター)、養護教員経験者研修会(県教育センター)、中
堅養護教諭研修会(県教育センター)等を開催し、資質の向
上に努めた。
また、教職員、児童・生徒の疾病・異常者の早期発見に努
めるとともに学校保健委員会の設置促進と活動の活発化を図
り、学校保健の充実に当たった。
さらに、児童の健康状態に対応した運動のさせ方等の実践
的研究を推進するため、福島市立瀬上小学校、白河市立白河
第一小学校を研究協力校に依頼し、児童の健康増進に努める
とともに児童のむし歯予防の実践的研究を推進するため昭和
57〜59年度の3年間にわたって、喜多方市立松山小学校を研
究指定校として依頼し、児童のむし歯予防の推進に努めてい
る。
また、学校環境の衛生についての意識高揚と環境の衛生的
管理を図るため、公立小・中学校及び県立学校を対象に環境
衛生検査の実施状況について調査を行い、健康的な学校環境
衛生の維持・改善に努めた。
3 学校安全の徹底
学校の安全教育、安全管理の強化を図るため、保健安全指
導者資質向上講習会(前掲)、交通安全教育指導者講習会(県
内3地区)、高等学校生徒自転車・二輪車安全運転講習会(延
46校7,849名)を開催した。
また、高校生の自転車・二輪車安全運転を推進するため学
校訪問(10校)を実施するとともに高校生の交通安全指導資
料(高校生のための自転車安全運転の手引)を各高等学校に
配布し指導の充実に努めた。
さらに、学校環境の安全についての意識高揚と安全確保を
図るため、公立小・中学校及び県立学校を対象に校舎内外の
施設・設備の安全点検及び防火診断の実施状況について調査
を行い、学校安全の改善・充実につとめ事故防止の徹底を図
った。
4 学校給食の改善充実
本年度の学校給食の実施状況を児童生徒数で見ると、完全
給食は小学校0.2ポイント、中学校0.3ポイント、米飯給食
は小学校1.3ポイント、中学校2.1ポイントそれぞれ上昇を
示し、普及が図られた。なお、1週間あたりの米飯給食の平
均実施回数は、およそ2.0回で全国平均を上回っている。
また、学校給食費は小学校192円58銭、中学校224円50銭
となっており、全国平均をかなり上回った値を示している。
前年度と比較した上昇率は、小学校3.1%、中学校6.1%と
なっている。
学校給食の適正な管理運営と改善充実及び給食関係職員の
資質向上を図るため、各種の研修会等を開催し、それぞれ所
期の目的達成に努めた。更に、学校給食において懸念される
食中毒、労働災害等の事故防止を図るため、文書、研修会等
により、衛生思想の啓蒙、安全管理の指導強化に努めた。
現在、学校給食をとりまく情勢は、量的普及拡大から質的
充実への過度期にあると言ってよい。このため、地域の特性
に恨ざした学校給食を実現するため、食事内容の多様化、ラ
ンチルーム(学校食堂)やドライシステム(特別調理室)の
導入、学校と家庭との連携推進等を今後とも図る必要がある。
また、中学校の完全給食実施配は、小学校と比較して依然
として低いので、小学校の完全給食未実施校と併せ、全児童
生徒が、教育の一環としての学校給食を受けられるよう
関係市町村を指導した。
5 県研究大会の開催
幼児・児童・生徒の健康増進と体力の向上をめざすととも
に、学習指導の改善充実を図るため、学校体育、保健安全及
び給食の調和のとれた指導等について総合的に研究を進める
ため約700名の参加を得て、福島市公開堂を主会場にして2
日間の日程で開催し、所期の目的を達成した。