教育年報1983年(S58)-038/323page

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3年間にわたる研究調査の結果を昭和57年10月、文部省初等

中等教育局長に報告した。

 この報告では、「精神薄弱者の後期中等教育は、社会生活

を営む上で必要な知識、技能、態度を生徒の実態に即して身

につけさせ、社会性の発達を促し、将来、可能な限り社会的

自立を図る上で大きな意義がある。」と述べ、その具体的施

策については、各種の教育機関及び社会福祉施設等の適切な

対応や条件整備と関連して後期中等教育の在り方が提言され

ている。

 一方、精神薄弱の養護学校高等部の教育については、学習

指導要領に大綱が示されており、高等学校に準ずる教育目標

を掲げているほか、教育課程の編成、教科・領域の内容等に

種々の特例を設けて障害から生ずる問題の改善を図ることと

されている。

 次に、本県の養護教育における後期中等教育の現状をみる

と、県立学校に高等部が設置されているのは、盲学校、聾学

校、肢体不自由の養護学校及び病弱の養護学校であり、精神

薄弱の養護学校の高等部は、福島市立福島養護学校及び福島

大学教育学部附属養護学校に設置されているが、その位置が

県北地区に集まっている。

 本審議会は、このような状況にある「県立養護学校(精神

薄弱)高等部の在り方」について諮問を受け、専門調査員会

を設置し、その調査・検討に基づき慎重に審議をすすめ、下

記の結論を得た。

 なお、この審議を通じて、中学校の精神薄弱特殊学級及び

精神薄弱の養護学校中学部卒業者の進路が高等部のほか、一

般の高等学校、職業訓練校、各種学校及び社会福祉施設等に

わたっている現状に鑑み、これらの機関との連携が重視され

るべきであると考え、これを付言することとした。

            記

1 具体的検討事項

 (1) 県立養護学校(精神薄弱)高等部設置の必要性

 本県の現状について調査研究の結果、次のような実状を

 勘案して、高等部の設置が必要と認められる。

  1) 本県における中学校の精神薄弱特殊学級卒業者の進路

   状況をみると、高等部の設置されている県北地区におい

   ては、その障害の程度により、高等学校と高等部にそれ

   ぞれ進学しており、県北以外の地区においても、高等部

   設置の要望が高まっていること。

  2) 本県における精神薄弱の通学制養護学校中学部卒業

   者の進路状況をみると、高等部が設置されている福島

   市立福島養護学校及び福島大学教育学部附属養護学校

   では、その大部分が同一校の高等部に進学しており、

   この2校の例からみて、自力通学が可能な程度の者に

   対する進学機会の拡充が望まれること。

  3)福島市立福島養護学校及び福島大学教育学部附属養

   護学校高等部卒業者の就職状況をみると、障害の程度

   に相応した実績をあげ、また、福島市立福島養護学校

   の追跡調査では、卒業時の就職者の84%が現在も就労

   していることなどからみて、自力通学可能な程度の者

   に対する高等部の教育は、社会的自立を図る上での効

   果が認められること。

  4) 精神薄弱者の教育は、抽象的思考力等の発達には多

   くを期待することができないが、社会的生活能力等は

  障害の程度により、相応の発達を期待することができ

   る。特に、将来、社会的自立の可能性をもつ者に対し

   て、高等部の教育は、社会生活に適応する能力を育て

   る上で最も有意義であること。

(2) 高等部を設置する場合の対象とする障害の程度

   障害の程度の軽重に対応する教育的施策を総合的に検

  討した結果、現状においては、次の各項に該当する程度

  の者を高等部の対象とするのが妥当であると考えられ

  る。

 1) 自力通学が可能な程度に身辺自立能力がある者

 2) 集団活動が可能な程度に生活自立能力がある者

 3) 将来、社会的自立の可能性があるとみられる者

(3) 高等部を設置する場合の教育目標と教育内容

  高等部の教育目標は、「社会的自立能力の伸長を図り、

 可能な限り社会生活への参加を図る。」とすることが適

 切であり、教育内容は、次の各項によることが望ましい。

 1) 学習指導要領に基づき、障害の実態に即して、内容

   を精選すること。

 2) 作業学習等、実践的活動を重点とする教育課程を編

  成し、社会的自立のために必要な職業的知識・技能を

  養うこと。

 3) 学校生活の全体を通じて、望ましい人間関係を形成

   する態度及び自律的生活習慣を養うこと。

    なお、高等部の教育課程の実施に当たっては、障害

  者の特性を考慮して、弾力的な対応がなされるよう配

  慮することが望ましい。

(4) 県立養護学校(精神薄弱・通学制)の適正配置

  県立養護学校(精神薄弱・通学制)の適正配置と高等

 部の位置については、次の方向で検討することが望まし

  い。

 1) いわき養護学校は、県立養護学校では唯一の通学制

  の学校であり、現在の児童・生徒は、その障害の程度

  からみて、将来、社会的自立の可能性があるものと考

  えられるので、当面、同校に高等部設置をすすめるこ

  と。

   また、今後の高等部の設置については、対象生徒数

  の推移や地域の実態を考慮して検討すること。

 2) 県立養護学校(精神薄弱・通学制)については、障

  害児童・生徒数の今後の推移や地域の実態を考慮し、

  市立養護学校の県立移管等も含めて、全県的視野に

  立って検討をすすめること。

2 関係機関との連携

  中学校の精神薄弱特殊学級及び精神薄弱の養護学校中学

 部卒業者の中には、就職する者、社会福祉施設に入所する

 者、更に、各種学校、職業訓練校に進む者がある。これら

 の事業所や社会福祉施設及び教育訓練機関においても、社

 会性の育成を目指した適切な対応が求められるのであっ

 て、その充実に期待するとともに、高等部の設置に当たっ

 ても、これらの関係機関との連携がより緊密に保たれるよ

 う努めることが望ましい。


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